18.決戦② ではない
「多分戦闘にはならないよ」
扉を開ける前、ペンの使い方に頭を抱えてると翠さんがそんなことを言う。
「え、何でですか」
「紫水様倒れてる」
「!?」
クロウの所に帰れない。翠は呼んだって来ない。
前にもこんなことがあった。私がまだ王様で、ラズと未暗が居て、束の間の平穏の間。
あの時はラズの魔法科学の影響で翠とのテレパシーが通じなくなっていて。
未暗をシェンと間違えて泣いたりして、思い返すだけて恥ずかしい。
私はどうしてこうなのだろう。
人が居ても駄目だが、人が居なくても駄目だ。
「紫水様、ご無事ですか!?」
紫水さんは羽根も広げたまま仰向けにのびていた。
「長い間一人にしたりするから!」
え、長い間一人にしちゃ駄目なの?
「翠?」
「ここです紫水様!」
翠さんは駆け寄って紫水さんの手を握る。
紫水さんの頬には涙の跡がある。本物だ。
「どうして……
クロウには帰れって言われるし、どうして翠も居ないんだ。
クロウが、クロウが居ない。
シェンも居ない。みんな死んでしまった」
「ここに居ますよ紫水様」
「何で……
指輪もないし、私は魔物なのか? 羽根はあるのか?」
「あぁ指輪ね、指輪……」
翠さんが虚空を掴むと手の中に何か入ったように見える。アポーツって言うんだっけ?
「ほらありますよ指輪」
「うん……
私の好きなものはどうしてなくなってしまうんだろう。
居なくならないでくれ、翠」
翠さんが何か香を開けたようだ。
花の香りがしたら、紫水さんは眠ってしまった。
一度泉の表に出て作戦会議をすることになった。
「紫水がバテてるとか関係ないし。
いつの間にか春華と翠も終わってるなら、僕だけでも潜るよ」
「え、私終わってないよ」
「じゃあ春華も一緒にね」
「残念ですがまだ紫水が終わっていません」
「あー」
「一番根が深いのが」
「紫水の回想はさらにえぐいですからねぇ……
春華さんに見せるのはどうかと思いますし私が行きますか……」
「リリファが直々に出るなんて」
「私は管理者ですがただの泉の精ですよ。
ルースとクロウの時代は私も幼く二人を救えなかったのです。
ルースが寝ている今なら丁度良いですね。
少しルースと話してきましょうか。
春華さん、私の手が忙しくなるのでセーブするなら今がチャンスですよ」
「あ、はい!」




