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三人称練習シリーズ

記憶喪失の騎士と亡国の王女

作者: 秋雨そのは

初の3人称視点なので、ご了承ください……。

王女の容姿間違い!誤字修正!

 走っていた――


 黒く漆黒の様な鎧の男と小柄の銀髪の少女は、走っていた。

 周りは剣と剣がぶつかり合う音と、魔法による爆発音が鳴り響く街の中、2人は走っていた。


「居たか!?」

「こっちには居ない、まだ近くに居るはずだ!」

「王女はどこだ!」


 複数の声が聞こえると、慌てて少女の腕を引き、物陰黒い鎧の男は隠れる。

 男は額に汗を垂らしながら、様子を伺う。いざという時に切るつもりなのか、背中に背負った人の身長くらいある大剣に片手を添えながら。


「俺は正門を見てくる! お前らは、個々に別部隊と合流し別な入り口を塞げ! 王女を逃がすな!」

「「「了解!」」」


 2人を探しているだろうと思われる騎士は、1人の声かけで3人に入り口を塞ぐ様命令する。

 鎧の男は、傍にいる少女の手を引き。瓦礫で体が見えない様にしながら、静かにその場から、立ち去る。


 薄暗く、狭い路地を抜け物音を立てないように進む。

 開けた場所の正面には、門がありその周りには、多くの兵士がいた。


 男は、少女に何やら指示を出し。少女はそれに対し泣きながら、否定していた。

 男は、無理やり言い聞かせる。少女は暗い表情で頷く。


「誰も来てないか?」

「問題ありません」


 兵士のやり取りを見て、頃合いだと思い。鎧の男はでる。


「誰だ!」

「お前は! 王女を逃した反逆者だ!」

「迎え撃て!」


 50を超える、兵士は弓兵、魔法兵、歩兵が分かれ。鎧の男に対し、攻撃する。

 一方少女は、兵士の目が鎧の男に向いている間に、路地から、門の近い場所に移動し、兵士の中に紛れ門の外にでる。


 その直後、鎧の男の真上から巨大な塊が降り注いだ――


 少女は、門を抜けてから「――! ――!」誰かの名前を叫び、泣きながら、夜の暗い森に消えてった。


――――――――――――――


 草原の風を受けながら。黒髪の男が左手で眠い目を擦り、右腕を上へ伸ばす。

 男は「懐かしい夢だが、知らない夢だ」と呟いた。


 男が少し寂しそうな顔をしていた。

 奥から人の声が聞こえてくる。


「お~い、ブラッドそこにいたのか」


 男の名前はブラッドというらしい。

 ブラッドは下に見える小屋から、走ってきた男に「……相変わらず騒がしい、馬鹿か?」と小さく言った。


「今、俺の事馬鹿にしなかったか?」

「いや、多分してない」

「多分ってなんだよ!」


 ブラッドという男は、顔に傷があり……デカい図体だが、男とのやり取りに感情を持っていないようだった。

 男は「はぁ……」と溜息をついて、心配している様な顔で。


「ったく、記憶が無いんだから勝手にいなくなるなよ?」

「なんでお前に心配されなきゃなんないの?」

「酷いな! 俺じゃねぇよ、爺さんだ」


 爺さんがいる様だ、2人は小屋に走って行った……。

 小屋に走ると、お爺さんが小屋の前で立っていた。何処と無く、2人を見る目は懐かしい顔を見る表情だった。


 ブラッドは「世話になった、これから街に向かう」とお爺さんに真剣な表情で言った。

 お爺さんは「この時が来たか……」と呟いて、小屋の中に入っていった。


「お爺さんは、何で小屋に入ったんだ?」

「俺が知るかよ。大方何か渡すんじゃないか?」


 お爺さんが、小屋から出てくるまでの間、男がブラッドに話しかける。


「街に言って、騎士を目指す……か」


 ブラッドは「そんな訳ないだろ」と馬鹿にしたような目で見ている。

 男は、何故だ? と言いたげにブラッドを見て。


「いや、お前つぶやいてたろ? 街の方で過ごしたいって」

「なんでそこにつながるんだ?」

「いやいや、お前取り柄戦う事だけだろ」


 ブラッドは「違う、騎士なんてどうでもいい……俺は、夢で見た少女を探すだけだ」と言った。

 そんな話をしていると、小屋から包帯に巻かれた大きな剣の様な物を持った、お爺さんが出て来る。


「サンハイうるさいぞ! ほら、ブラッド……これを持っていけ」


 一緒に喋っていた男はサンハイというらしい。

 お爺さんにブラッドは「これは……?」と言って受け取った。


「ずっと隠しておったのじゃ、お主が記憶無くなる前……儂がお主を拾う前じゃ、持っていた物なんじゃ」

「この剣を……?」


 ブラッドは剣を持つと、軽々と振り回す。それは手に馴染んたというよりは、元から持っていた様な感覚だ。

 そしてブラッドは「ベルセルク」と呟いた。

 その瞬間、剣は黒く光だし……呼応するように、包帯が解け……禍々しい大剣が表にでた。


「これは……!」

「知ってるのか? 爺さん」

「知ってるも何も……この剣は、怒り狂う狼! 手に持つのもやっとの筈じゃ!」


 剣の名前はベルセルクで合っているようだ。

 お爺さんは、声を上げて驚いていた。ブラッドは不意に襲いかかる、目の前が眩んだのかで片肘を着いた。


――――――――


「追え! 王女を殺すんだ!」

「「了解」」


 浮かんだ映像には、1人の男が2人の鎧を着た人に対し命令をしていた。

 命令している男は、頭に王冠を被り……その横には、男女が2人倒れていた。


「もうすぐで私の念願である。私の手で、国を収める時が来たのだ! お前らも光栄だろう」

「「ははぁ! 光栄です!」」


 2人の顔は口元以外覆われてる兜を被っているため、見えないが……口は苦虫を噛みしめるようにギリギリ音がしていた。

 おそらく、凄く憎い顔をしていただろう。


「わかったらさっさと行け! 私の政治にあの王女は不要だ」

「「了解!」」


 2人は、そう言って王の間を出る。すると、隣にいた鎧を来た男が言った。


「――、お前も大変だな。お気に入りのあの王女を殺せなんて」


 ノイズの様に、名前は聞き取れなかった。


「俺は、王女を殺さない。あの男の裏を描く、王女をこの国から逃がすんだ」

「そうか……、殺せと命令が出てる以上。協力は出来ないが、今の発言くらい無視してやる」


 傍らにいた鎧の男は、口元が笑っていた。

 ――そこで映像は途切れた。


――――――――


 ブラッドは、立ち上がるとサンハイとお爺が覗いる2人に向き合う。


「お、おい大丈夫か?」

「お主今のは、記憶が戻ったのか?」

「いや、一部だけだった。ただ、王女? 俺は衛兵だったのか?」


 ブラッドは先程の映像で、混乱しているようだった。

 ただ、記憶の一部らしい。手に持った大剣を地面に指し、考え込んでいる。


「王女とな? お主が、ここに来る前喋っていた言葉と一致するのぅ」

「俺が記憶無くなる直前か!」

「そうじゃ、お主は血だらけで呟いていたのじゃ」


 お爺さんは「――を助けないと、じゃないとあの子は死んでしまう、例えこの命に変えても」っと呟いていたと言った、名前は聞き取れなかったらしい。

 ブラッドは、たった一人で何かを成し遂げようとしていた。


「ありがとう、教えてくれて、この大剣は前と同じ様に包帯に包んでいざという時に使おう」

「早く戻るぞ。馬車を待たせてる」


 サンハイはしれっと言ったが、馬車を待たせている? 俺を送り出すために?


 3人は歩いていくと、馬車が止まっていた。

 何故か凄く、言いづらそうな顔をしていた。


「ハンネルズ王国……に向かう、でいいんですね? 僕の名前はカルトというんだ」

「あぁ、俺はブラッドという、よろしく頼む」


 行き場所を訪ねてきたが、少し言葉に含みを感じる。お爺さんが「そこが良いだろう?」ということなので、行くことにした。


「道中は盗賊に襲われるかもしれないので、そこはお願いしますね」

「問題ない」


 治安があまり良くないらしい、どんなに裕福に暮らしても。他の人はそうだとは限らない。


 馬車に揺られること、目的地の姿を見えた所で――。


「止まれ!」

「ここを通りたければ、金品を置いて馬車を下りていけ」


 カルトは止まる。その時には、5人の盗賊に囲まれていた。


「なんですか、貴方達は!」

「俺らは、この辺りで盗賊してるんだ! 分かったら置いていけ」


 ブラッドは「自分で言うものなのか」と言いつつ、どういうやつなのかを見る。

 カルトは「あわわわ……」と困っていた。盗賊4人は荷物を漁る、それを見守るリーダーの男。


「お前邪魔だ、この馬車をもらうんだからな!」


 盗賊の1人が大剣に触れようした時。ブラッドが、腰にさした片手剣で盗賊の腕を切り飛ばす。

 盗賊の1人は、何されたのかも分からず。唖然としていたが、我に帰った時には悲鳴を上げてのたうちまわった。


「俺の腕がぁぁ!」


 ブラッドは冷たい目で盗賊達を見る「俺の愛剣に触れないで貰おうか?」と言い放ちながら。

 片手剣を再びさして、大剣を手に持つ。包帯に巻かれて禍々しい感じはしないが……異様な大きさは、それだけでも盗賊を圧倒していた。


「何だてめぇは! お前らやっちまえ」

「「「「うぉぉぉ!」」」」


 ブラッドは慌てた様子もなく、取り出した片手剣を構えると盗賊が突っ込んでくる。のたうち周っていた盗賊も含み突っ込んでくる。大振りな大剣を一閃。

 一瞬の静寂の後、突っ込んでくるのに参加しなかった。リーダーと思われる男は、尻もちを着いた。

 その男の顔の目の前に剣を向けて言う。


「立ち去ってくれ、俺は忙しいんだ」

「は、はぃぃ~!」


 リーダーの男はそういいつつ、土下座していた。

 ブラッドは「案内をしてくれれば、どうでもいいんだがな」と言い放つ。


「ブラッドさん強いんですね。盗賊だとしても多数だと難しいと思ってました」

「俺よりも、あのお爺さんに言ってくれ。あのお爺さんは、片手で今のを事も無く受け止めるからな」


 ブラッドはそんな事を喋っていた。お爺さんは何もなのか分からないが、只者ではないようだ。

 ブラッドは盗賊に「帰っても構わん」と言った。

 盗賊の男は「ありがてぇ……じゃあな兄ちゃん」と言いながら、去っていった。


「それより、早く向かってくれ」

「はい、後半分くらいです」


――――――――


 ハンネルズ王国……だったものがそこにあった。

 だったものという表現なのは、そこには……街では無く、完全な跡地になっていたからだ。


「どういうことだ?」

「この国は、ある戦争で王と王妃を殺されて。1人の独裁政治が始まったそうです」


 ブラッドは「記憶にあったあれか」と呟く。

 カルトはこの国跡を続けて説明する。


「反乱を起こした黒騎士は、必死に王女を逃したが……城門前で魔法によって処刑されたと言われてます」

「……王女は何処に?」


 カルトは横に顔を振る「分かりません」と呟くだけだった。

 ブラッドは不意に、目眩の様に片肘を再び着く。


 少しした後、意識が戻ったのか突然立ち上がる。


「そうだ! ここの先……城門は、西門は何処だ!」

「に、西門ですか? それならこっちです!」


 カルトに叫び、ブラッドは「早く行くぞ」と走って行った。

 辿り着くと、ブラッドは周囲を見渡して1点……森の中を見つめた。


「ブラッドさん、どうしたんですか?」

「記憶が正しければこの先に……」


 大剣を背中に背負い森の中に入っていく、大きな木の根本……そこには歪みが生じていた。

 魔法による細工だ。俺は手を触れ……歪みが解除され大きな穴が出てきた。


 2人は中に入っていく。


 そこには、銀髪で白いドレスを着た幼い少女が眠っていた。

 ブラッドは近づき、肩を揺らした。


「起きろ、俺のお姫さん」

「うぅん……」

「この人って! まさか……!」


 ブラッドは頷いた「ハンネルズ王国、元王女……カネリア・ヒア・ハンネルズだ」と答えた。

 カルトは「どうやって、ここで生活を……」と呟いていた。

 ブラッドは周りを見渡して、頷いた。


「ここは俺の秘密基地だ。逃げた後の、基地くらい作るだろ?」

「ガーロンド……何処?」


 誰をさして言っているのか分からない王女の寝言に、ブラッドが答えながら。

 強く、そして優しく抱きしめた。その感触で、王女が起きた。


「ガー……ロンド?」

「あぁ……待たせたな、お目覚めか? お嬢様?」


 王女は「ガーロンド!」と言いながら抱きついていた。男の本当の名前はガーロンドだった。



――数年後



 1人と男女は馬車に揺られながら、雑談をしていた。


「相変わらず、結婚してもお熱いですね。お2人は」

「当たり前ですよ!」

「……」


 馬車を操作しているのは、カルトだ。その後ろに寄り添う様に、王女と男が座っていた。

 カネリア元王女とガーロンドだった。


 馬車が止まると、1人のお爺さんと能天気な男が走ってきた。

 2人は見つめ合い。


「俺の恩人に挨拶を」

「うん!」


 そう言って2人寄り添っては、奥で走ってくるサンハイとのんびり歩いてくる助けてくれた恩人に会いに行く。

お読みいただいてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言]  葵枝燕と申します。  『記憶喪失の騎士と亡国の王女』、拝読しました。  ブラッドさんが記憶と名前を思い出した場面では、本当に安堵いたしました。それに、王女様が無事だったことも。でもまさか、…
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