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治療法

「シャロンが負担を肩代わりすればいいんだよ」


 そう出来るならしてやりたいが、そんな方法を私は知らない。


「そんな事が出来るのか?」


「この指輪で魂を繋げればいいのさ」


 シチは、どこからともなく取り出した二つの指輪を見せながらそう言った。


「どういう事だ?」


「この指輪は着けた二人の魂を繋げる力を持っているんだ」


「そんな物があるのか」


 指輪には透明な宝石が付いているだけで、他に特徴は無い。特別な何かは感じないが。


「からかっているんじゃ無いだろうな?」


「アハハ、本当だよ。取り敢えず着けてみてよ」


 片方を受け取ってじっくりと観察して見るが、やはりただの指輪にしか見えない。

 危険な物でも無さそうだし、試してみるか。

 そう思い指に嵌めた瞬間、強烈な、しかし不快ではない不思議な感覚が身体中を駆け巡った。


「なんだ!?」


 驚くあまり声を上げてしまった。


「その指輪は着けた人の魂と共鳴するように出来ているんだ」


 改めて指輪を観察すると、宝石が薄く光を放っている様だ。


「そして二人が対になった指輪を着けると、二人の魂を共鳴させて、繋げる事が出来るんだ」


「しかし、魂を繋げるという事は……」


「一生……いや、死んでも生まれ変わっても離れられなくなってしまうんだ。たとえ指輪を外したとしてもね」


「……他に方法は無いのか?」


「無いよ。少なくとも、ボクに出来るのはこの方法だけさ」


 この方法以外にナコが助かる方法は無いのか。

 ナコは指輪を嵌めてくれるだろうか。

 もしも嫌だと言われたらどうする。

 いや、どうしようもないことは分かっているが、その場合つまり私は少なくとも好かれてはいないということでそうなれば私はそれからどうするのかナコに付きまとってさらに嫌われるような事にはなりたくないがかと言ってナコから離れて他に何をするというのかあの暗く閉された陰鬱な雰囲気漂う地下空間に戻りいつ終わるともしれぬ肉体の滅びを待つのかそれならばいっそのこと根源に身を投げてしまえば全てから解放されるのではないかいやそれはあまりに安易に過ぎる考えではないのかいやいやしかしもしナコに拒絶されたなら試してみるのもいいかもしれないがいやいや簡単に諦めるのもいやいやいやいや……。




「シャロン!」


「ん?」


 暗い想像を膨らませている内に、どうやらナコが起きたらしい。いつの間にかシチはどこかへ行った様だ。

 大声で呼ばれたということはすでに何度か呼び掛けられていたのだろうか。


「すまないナコ、考え事をしていた」


「考え事?」


 やはり、はっきりと聞いておかなければならないだろう。良い返事が返ってくるといいのだが。


「ナコ、わたしの事は好きか?」


「え!? 急にそんな事聞かれても、えっと……」


「大事な事なんだ、答えてくれ」


 ナコの両肩を掴んで迫る。


「え、えっと、わたしは、シャロンのことが……」


 ナコの顔がどんどん赤くなっていく。


「私の事が、どうなんだ?」




「シャロンのこと……好き」

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