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トウドウ・ナコ《その三》

 昔いた施設では、わたしはまるでそこにいないかお化けみたいになっていた。

 話しかけると逃げ出されるか無視されて、皆で外に出るときは置いて行かれてずっと外には出してもらえなかった。

 私がちゃんとここにいるんだって思えるのはご飯の時と噂されてる時だけだった。

 わたしが怖がられていたのはきっとニュースを見ると絶対に出てる異能犯罪のせいだと思う。

 それと、異能者狩りっていうのがされてるらしくて、もしも見付かったらわたしは捕まっちゃうかも知れない。

 もしかしたらそのせいでわたしは外に出してもらえなかったのかも知れない。わたしは守ってもらえてたのかな。

 だからわたしは魔法少女みたいに悪い人を超能力でやっつけて、この力はきっと良いことに使うためにあるんだって皆に伝えたかった。

 でも、わたしの超能力は弱くて、喧嘩なんてしたこともないからきっと悪い人に負けちゃう。

 それで結局何も出来ないまま、何もしないうちにわたしはこの世界に連れてこられた。

 もし地球に帰れたら本当の魔法少女として悪者をやっつけられるのかな。でもわたしはもう帰れないし、もし帰れるようになっても帰らない。

 わたしはこの世界で生きるって決めたから。

 シャロンと二人で友達もたくさん作って、悪者をやっつけて、美味しいものを作ったり食べたりして、ワクワクするようなことをして、いつまでも一緒にいて。

 でも、ちゃんと考えてみたらやっぱり少しだけ不安になる。本当にわたしはシャロンと一緒にいてもいいのかな。シャロンは一緒にいたいって言ってくれたけど、どうしてだろう。わたしの事を好きって言ってくれた。どうしてわたしなの? わたしなんかなの?

 わたしはシャロンに嫌われたくない。嫌われたくないって思うのは、わたしがシャロンの事が好きだから? その好きは恋愛感情の好き? ……まだよくわからない。あの時はわたしは突然すぎて混乱してたし、もう一度考えてみてもなんだか胸がもやもやするような、頭がぼうっとするような感じで、わからない。

 でも、やっぱりわたしはシャロンと一緒にいたい。恋とか愛とかもよくわかってないけど、シャロンといればいつかわかるのかな。

 女の子どうしだけど、わたしはシャロンの事が、たぶん好き。このたぶんがはっきりしたら、わたしはシャロンみたいにはっきり伝えたい。

 わからないことだらけで、シャロンの事もよく知らなくて、頭がぐるぐるして自分でも何を考えてるのかわからなくなりそうだけど、もっと大人になれたらわかるのかな。

 でも大人にならなくてもわかることはきっとあるよね。シャロンの事をもっと知りたい。知れたら少しだけはっきりすると思う。


 はっきりしたらちゃんとシャロンに伝えよう。


 伝えたら、それからどうなるんだろう。


 まだ好きかどうかもわからないけど、わたしはもっとシャロンと一緒にいたい。

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