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この世の終わり

 人の気配をたどり近付いて行くと、数人が集まってなにやら蠢いているようだった。

 そしてさらに近付けば、それが人のようで人では無い事がわかった。


「オオオォ……」


 あれは何だ? 生気を全く感じない。

 もとからああいうものなのか? それとも人がああなったのか? 

 とにかく、丁度服を着ているようだ。

 あの様子なら貰ってしまっても構わないだろう。


「そこの、聞こえるか」


 念のため声を掛けてみるが、よたよたと腐臭を漂わせながはうろつくだけで反応が無い。

 しかし、目の前まで行くと突然襲い掛かって来た。


「オオオォ……」


「何だ、こいつら」


 気絶させようとはしてみたが、どうやら意味が無かったようだ。仕方が無い。

 こいつらは元人間だったとしても最早人間では無いだろう。

 殺しても……いや、壊しても問題は無いだろう。

 一体目、どの程度で壊せるのか試しながらバラバラに。

 二体目、頭をもいでも止まらなかったのでもいだ頭を潰し、体も踏み潰した。

 三体目、潰している時に後ろからよってきたので回し蹴りで真っ二つにして放置。

 四体目、押さえ付けて服を剥いでから魔法で火葬。

 三体目はゆっくりと服を着ている間に動かなくなった。

 服は臭いが、ナコは気にするだろうか。

 一応魔法で……何だ? 頭の中に声が響く……。


『聞こえますか?』


 周りには何も居ないが、どこから話しかけてきているんだ?

 ああ、と頭の中で返事をすると、どうやら届いたようだ。


『良かった……、お願いが有ります。私達を、この世界を助けて下さい』


 状況がよくわからない。何故私なのか、やはりさっきのは人間だったのか、ナコは何故この世界に来たのか。


『人間も動物も植物も、魔神によって汚染されてしまいました。生気を奪われてしまったのです。このままでは、大地も空も汚れ尽くしてしまうでしょう』


 魔神か、何人目だったかの勇者が言っていたな。

 どんな事を言っていたかは忘れたが。


『最早魔神を倒せるのはあなた達しか居ないのです。もしも助けてくれたなら何でも願いを叶えます、ですからどうか……』


 何でも、か。


『魔神はそこから真っ直ぐ森を抜けた場所に有る城にいます、お願いします。』


「ナコを呼んだのはお前なのか?」


『それしか無かったのです。……ごめんなさい、もう時間がありません』


 …………。もう聞こえないようだ。

 しかし、どうするもこうするも無く、やるしか無いようだ。

 それに、願いが叶えばナコは帰れるだろう。

 改めて眺めたこの世界は、空は淀み森は枯れ、大地は弱々しく今にも崩れそうだった。

 世界の終わり、か。普段がどんなものなのかはわからないが、今が異常な事はわかる。

 早くナコの所に戻ろう。

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