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 制御室に着くと、少女が制御装置とやらを操作し始めた。


「私はイヴ、助けてくれてありがとう」


 イヴと名乗った少女は改めてみるとこの国の標準的な服とは違った格好をしていた。


「イヴさんはお姫様なの?」


「じょ・お・う・さ・ま・よ!」


「ご、ごめんなさい。女王様かぁ……すごいね!」


「そうでしょ、すごいでしょ?」


 女王様か……。


「ちんちくりんだな」


「だれがっ! ……あ」


「どうしたの?」


「間違えた……どうしよう……」


 うっかり口に出したのがまずかったか。


「何かまずいのか?」


 辺りを警戒すると、地鳴りのような音が聞こえてきた。紐は止まったようだが、次は何が来るのだろうか?


「ここの守護ロボットが……なんとか出てくるのは一体だけに出来たけど、動いてるやつの止め方がわからない……どうしよう……」


 もうひとつ気配が近づいてくる。イヴを助けたときに気付いてはいたが、遠かったから後回しにした方だ。


「女王様ッ!!」


 走ってきたのは黒衣の少年だった。イブが罠を止めたからここまでこられたのだろう。


「あ、あんたなんでここに」


 どうやら二人は知り合いらしい。


「女王様の後をおって……」


「危ないっ、後ろ!」


 どうやらあれが守護ロボットらしい。太い腕と脚が逆三角系の胴体に付いていて、頭部のような物が胴体の上に乗っている。


「ッ!?」


 振り上げられた腕の先は高速回転している。その腕が降り下ろされる前に、構えを取った少年をイヴの元へ運ぶ。守護ロボットの動きは紐に比べると遅いようだ。それでもかなり速いのだが。


「あれは壊しても良いのか?」


「出来るなら良いけど! でも、逃げた方が……」


「自分がやります」


 少年が前に出ようとするが、イヴに止められた。


「あんたはすっこんでなさい!!」


「はい……」



 少年では敵わないだろうから、イヴの判断は正しい。


「ナコ、少し手伝ってくれ」


 こちらに手の先を向けて何かしようとしていた守護ロボットを結界に閉じ込め、結界の中に魔方陣を描き始める。

 魔力を操るのは距離が延びると消耗が大きく、精密な操作は難しくなっていくが、この程度の距離ならば全く問題は無い。

 守護ロボットはどうやら手の先から何かを撃ち出したようだが、結界で止まった。


「何をすれば良いの?」


 結界の中に魔方陣を描き終わったので、それを維持したままナコの前に魔方陣を構築する。


「守護ロボットでも破れない結界とあの距離に魔方陣二つ、やっぱり……」


「この魔方陣に思い切り魔力を流してくれ」


 守護ロボットを覆う結界で光と音を遮断する。


「わかった」


 ナコが頷いて杖を持った両手を魔方陣にかざすと、守護ロボットの攻撃とは違う衝撃が結界の内側を叩いた。


「一体何が起きてるの?」


「ナコ、もういいぞ」


 声をかけるとナコの体がぐらりと傾いた。変身が解けて制服姿に戻ったナコを受け止めると、ウサギ達も疲れたようで私の足元で眠ってしまった。


「よくやったな」


 結界を解除すると、現れたのは守護ロボットの残骸だった。


「わたし、にも……できたかな……?」


「ああ」


 眠ってしまったようだ。今日は頑張っていたからな、さあ帰って休ませてあげよう。

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