迷宮に突入!
試しに一歩踏み出してみると、紐が襲い掛かってきたので、撃退する。よし、今度は反応出来た。問題はナコだが、大丈夫だろうか?
「ナコ、どうするんだ?」
見ると、ナコの持っていた杖が剣の形に魔力を纏っていた。
「剣は使えるのか?」
「頑張る……えいっ!」
迷宮の内部に踏み出したナコが剣を振るうと紐が切り落とされた。どうやら変身して強化されるのは魔力だけではなかったようだ。
「よし、その調子……って待てナコ、一人で行くな」
「か、体が勝手に動いて!」
どんどん進んで行ってしまうナコを追いかけて先へと走る。
ひたすら走って切ってたどり着いたのは真っ白な何もない部屋だった。紐はいくらでも延びてきてきりがないので、結界を張ることにした。
「ナコ、少しこっちへ寄ってくれ」
「うんっ」
始めに小さめの結界を張り、部屋全体へと拡げていく。
「少し休憩するか、変身は大丈夫なのか?」
「うん、前より長くできるみたい。でもこれからどうしよう」
「この部屋には何か無いのか?」
辺りを見回していると、小さな気配に気付いた。子供のようだが、なぜこんな場所にいるのだろうか。壁の向こうに部屋があるようだが、壊しても問題無いだろうか?
「ナコ、壁を壊してみても良いか?」
「え!? なんで?」
「どうやら子供がいるようなんだが、道はわからないからな」
「うーん……こわすのは良くないけど、子供がいるの?」
「ああ、おそらくだが」
「じゃあ仕方ない……かな?」
「仕方ない……な」
よし、仕方がないから壊そう。壁に魔力の刃を突き立て、切り裂く。かなり頑丈に出来ているが、問題無い。壁に長方形の穴を開け、向こう側を見ると、頭に王冠を載せた小さな女の子が座っていた。こちらを見て口を開けたまま固まっている。
「ほんとに女の子がいた!」
「た、助けが来たの?」
「助けるよな、ナコ?」
「うん、もちろん。でも行けるの?」
一人を抱えていく位なら余裕だ。
「待って、連れていって欲しいところがあって……」
「どこだ?」
「制御室に行けばセキュリティを解除出来るから、そこに行きたいんだけど」
「制御室?」
「ここの隣の部屋……って、ちょっと何をしてるの!?」
急に詰め寄られた。
「壁を壊そうかと」
「ダメよ! 壁の向こうには装置があるし壁の中にも機械が有るんだから!!」
「そ、そうなのか?」
「さっきのところはたまたま何も無かったけど、もう何か壊したりしたらダメだからね!」
元気そうだな。
「悪かった。ナコ、結界を解除するぞ」
結界は便利だが、ナコが剣を振るのが楽しそうだったので使わないでおく。
「うん、いいよ」
女の子を背負って結界を解除する。途端に紐が襲い掛かってきたので、また切り落としながら進んでいく。
「すごい……」
制御室は隣だが、入り口は回って行かないといけないらしい。女の子に道案内してもらいながら走る。




