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授業&迷宮初日

 私達は普通の生徒として授業を受けることになった。他の生徒達には体験入学として紹介してもらったが、事情を知る教師達はどこかぎこちない。そのうち慣れるだろうか。

 私達の事に気付きかけた生徒が一人いたが、ファルナとマリーが上手く言いくるめて味方に引き込んだらしい。学院の情報屋と呼ばれるその生徒は中々の切れ者らしいが、二人は更に一枚上手だったようだ。

 迷宮の探索は午後からすることになった。夜あまり遅くならないうちに終わらせて帰ってくるつもりだ。一日で終わるかはわからないが、終わってしまえば楽でいい。

 授業の内容は幅広く、魔法の事だけ教えているわけでは無かった。この国の歴史や周辺国との関係、言葉や数字や生き物の事や、家事のやり方までとにかく何でも教えているようだった。今日教わったのはほんの一部だが、ナコは良くできているようで、周りの生徒達にも打ち解けられたようだ。

 私もそれなりに上手くやっておいた。話し掛けづらいのか、私に話し掛けてくる生徒はあまりいなかった。やはり教師の私を見る目が問題なのだろうか。それともそれ以外にも何かあるのだろうか。

 ナコは初日で友達百人を簡単に達成していた。ナコ自身は少し困惑しているようだったが、周囲は気付いていないのか関係無いのか、ナコの周りで楽しそうにしている。



 午後になったので四人で学院長室へ向かい、鍵を受けとった。学院長は自分も行きたそうだったが、あの姿では上手く魔力を操れないらしく、外に出るのを控えているらしい。

 元に戻そうかと提案したが、「やはり自分で答えを見つけてこそ」と断られた。まあそれも良いだろう。



 ついに迷宮の扉を開ける時が来た。ファルナが鍵を使い扉を開けると、中は一見何も無い通路に扉が並んでいるようだった。


「変わってない?」


「そうね」


「行ってみようか」


「気を付けるんだぞ」


「大丈夫よ、何も無い……きゃあっ!」


 通路を数歩歩いたファルナの足元から細い紐の様なものが飛び出し、脚に絡み付いた。全く気付くことも反応することも出来なかった。


「ファルナ……ってうわっ」


 ファルナに駆け寄ろうとしたマリーも捕まってしまった。ファルナの方は壁からも延びた紐の様なものが腕も拘束している。

 魔法で切ろうとしたが予想より強く、失敗してしまった。ファルナとマリーも失敗していた。もう一度、かなりの魔力を込めると切ることができた。更に数本の紐が延びるが何とか振り払い、二人を助け出す。


「大丈夫?」


「ビックリしたけど何ともないよ」


「ごめんなさい、この前は何も無かったから油断したわ」


 私も少し油断していた。しかし、これではナコとファルナとマリーは連れて行けないな。


「三人共、戻っていてくれないか? 私一人で行ってくる」


「うん……悔しいけど、これじゃあ無理だよね……」


「仕方が無いわね、私達の魔法も通用しないみたいだし」


「じゃ、帰ろ? ナコちゃん」


「嫌、わたしも行く」


「え?」

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