地下迷宮入り口
私達は学院を一通り見て回った後、地下にある迷宮の扉の前に来ていた。扉は真っ白な壁のようにしか見えない。
横には同じく白い四角い箱の様なものが付いているが、これがどうやら錠の役割をしているということだ。鍵は四角く薄い板で、箱のようなものにかざすと開くらしい。どうやら相当複雑な魔法と、私も知らないナコの超能力とも別の力が使われているらしい。
これほどの物を造れる奴には心当たりがあるが、でなければ神が造ったのだろう。
「綺麗だね」
「不思議だよねー、ずっとピカピカなままらしいよ」
「そうね、何度見ても変わらないままだわ」
これを造った奴はまだ生きているのだろうか。あれは人間では無かったが……そもそも死ぬのだろうか。そういえば、魔神が現れたときはあいつは現れなかったが、何故だ? 見逃しておくなど有り得ないはずだが、やはりあの時既に死んでいたのか?
「シャロン、どうしたの?」
「ん? これを造っただろう奴の事を考えていた」
「こんなものを造れるような人間なんていないわ。神様なら出来るかも知れないけど」
「じゃあこれは神様がつくったのかな?」
「中に入って何か見つけられればわかるんじゃないの?」
「見つけられれば、ね」
何も見つかっていないのか。隠されているのか、初めから無いのか、持ち去られたのか。
「ファルナはここに来たことあるの?」
「何度も来ているわ、マリーもね」
「中に入ったこともあるけど、何も見つからないんだよね」
「そうなんだ」
なるほど、何度調べても見つからない、形もわからない、あるのかどうかすらわからないものを探せ、か。
「ナコは宝探しは好きか?」
「うーん、やったこと無いからわからないけど、ワクワクするよね」
「だよね! ワックワクするよね!」
「フフッ、マリーって本当にお子様ね」
「もう、ファルナだってワクワクしてたじゃん」
「それは、そうだけど……」
「ほら、ファルナもお子様じゃん!」
「一緒にしないでよ。……そろそろ戻らないと」
「そうだね、お腹すいたし帰ろう」
「うん」
「ああ、そうだな」
本格的な調査は明日からだ。




