空中に突然魔方陣がっ その二
「あれ、三人で何をしているの?」
ファルナが来たようだ。ナコはまだ触っていないのか。
「ファルナ! 良いところに、実は空中に突然魔方陣がっ」
「何を言っているの? もしかしてとうとう頭が……」
「違うよっ!」
「そうよね、それは元からだものね」
「酷くない!? ねぇシャロンさん、ファルナにも見せてあげてよ」
まあ別に構わないが。
「ナコ、先に済ませてしまってくれないか」
「わかった……ん……」
全く反応しないな。ナコには魔力は扱えないようだ。
「だめみたい?」
「そうだな」
「え~……」
初めて駄々を捏ねたな。しかしナコよ。
「超能力があると言っていなかったか?」
「うん、でも怖くない?」
「大丈夫、誰も恐がったりしない」
魔法が当たり前な世界なのだ。
「本当?」
「ああ、なあ?」
「え、ああ、うん、だいじょぶ?」
「よくわからないけど、ナコちゃんを恐がったりするわけ無いわ」
「じゃあ、いくよ」
ナコが念じると枕が浮かび始めた。やはり魔力は全く感じられない。魔法では無いようだ。
魔法の無い世界ではこれは恐ろしいものとして捉えられるのだろうか。
「すごい!」
「本当?」
「ええ、本当にすごいわ。これは魔法じゃないのよね?」
「ああ、すごいぞナコ」
しかし不思議だ。仕組みがわからない。
「えへへ……」
「では、次はシャロンさん、お願いします!」
大袈裟な振りだな。
「ああ、わかった」
先程と同じではつまらないので、更に複雑な魔方陣を構成する。
「すごい、さっきよりすごい!」
「わあ、きれい……」
「嘘、空中に突然魔方陣がっ!?」
ファルナも言うのか。
「これは二人にも出来るはずだ」
人間でも使っている奴はいた。魔力の消費が大きくなるのと、かなりの集中力が必要なのが難点だろうが、素早く強力な魔法が放てるのは利点だ。
魔神も使っていたな。もっと近くに居たか、狙われたのが私だったなら防げたのだが。
「本当?」
「もちろん、練習すればできるようになる」
「それは今度教えて貰いたいわね。ところで、そろそろ学院を見に行かない?」
「そうだな」
「れっつらごー!」
「お、おー?」
さて、ナコがまた眠ってしまう前に行くか。




