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空中に突然魔方陣がっ

 国が運営しているだけあって校舎も校庭も寮も清潔で広く、この国では城に次いで二番目に規模の大きい施設らしい。

 そんなに広くとも寮には四人部屋一つしか空いていなかったらしく、城にあった部屋よりはさすがに狭いが、隣のファルナ達の二人部屋と比べるとかなり広い。

 部屋にはベッド、机、椅子、クローゼットが二つずつ置かれていた。他には許可さえ取れば持ち込みは自由ということだ。


「ここが二人の部屋だから、ファルナが来るまでくつろいでようよ」


 マリーが一番くつろいでいるな。話し方もだいぶ砕けている。


「マリーは魔法使えるの?」


 魔法か。マリーの魔力はあまり大きくない。人間にしてはファルナは大きかった。学院長はさらに強い魔力を持っていた。


「うんうん、使えるよ。見せてあげよっか?」


「見せて!」


 マリーが目を閉じて両の掌を上向きで突き出し、集中しだした。


「ほっ!」


 マリーの掌の上に白く光る球体が浮いている。魔力は小さいが、制御は上手いな。


「すごい!」


「えっへへ、ナコちゃんにも教えてあげよっか?」


「私にも出来るかな?」


 やってみなければわからないな。変身したときの魔力は絶大なものだったが、今のナコからは何も感じられない。


「ん~!」


 ナコがマリーの真似をしてみるが、何も出ない。ふむ、魔力が使えるかどうかを確かめるなら、いい方法がある。


「ナコ、この魔方陣に魔力を注いで見せてくれ。触って少し魔方陣に意識を集中させるだけでいい」


「く、空中に突然魔方陣がっ!?」


 元気なのは良いことだが、マリーは少しうるさい。


「そんなに驚く事か?」


「だってだって、紙も書くものも無しに空中に突然魔方陣がっ……」


また「空中に突然魔方陣がっ」って言っているぞ。


「落ち着け、魔法を使えば出来るだろう?」


「ええっ!? 魔法で魔方陣を?」


「魔力で空中に光の球を浮かべられるならば、魔方陣を描けてもおかしく無いだろう」


「だってこんなに細かくて綺麗で立体的で一瞬で空中に突然魔方陣がっ……」


 またまた「空中に突然魔方陣がっ……」って言っているぞ。


「一度深呼吸してみたらどうだ?」


「う、うんっ。すー……はー……すー……はー……」


「これも魔法なの?」


「ああ、簡単な魔法だ」


「簡単じゃなぁーいっ!!」


「私とっては、簡単な魔法だ」


「うぬぬ……」


 事実そうであることはどんなに唸られても変わりはしない。


「うぬぬぬぬぬぬ……!」


 変わりはしないぞ。


「うぬにゅぅ……」


 諦めたか。

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