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ナコVS黒仮面

 どうやら直感は当たってくれたようだ。

 光が収まるとナコは兎の耳と尻尾を付けて持ち手の先に赤い宝石の付いた白黒の杖を構えて立っていた。

 服もフリルの付いた白黒のドレスに変わっている。

 ナコからはとてつもない魔力を感じる。

 あれは人間に持てる魔力の量では無い。あの兎は一体?

 仮面は不粋にも攻撃を仕掛けていたが、私が壁の上から結界を張っておいたので全く問題は無かった。

 私はナコを見守る事にした。ナコが一人で戦いたいなら水を差す事はしない。

 ……さっきのは気付かれないようにこっそりやったから良いのだ。


「えいっ! えいっ!」


 詠唱無しで白いの槍や矢に黒い剣や斧を次々と放っていくナコに対して、仮面は剣と魔法で踊るように受け流して行く。

 躱し、剣で弾き、魔法で迎え撃つ。

 ナコは手加減をしているようだ。反撃を許さない程度に激しい攻撃だが、全て避けられている。


「いくよっ!」


 む? 一見先程までと変わらない槍だが、威力は違うな。

 ほう、空中で軌道を変えたか。

 仮面は油断していたようだが、ギリギリで反応したようだ。


「これで!!」


 光の檻が仮面を捕らえた。仮面は檻を破壊しようとしているが、全く歯が立っていない。

 うむ、少し強めの攻撃を弾かせてバランスを崩した後、すぐに檻で閉じ込めたのだ。やるな。


「ナコ、頑張ったな」


 また光に包まれたナコは倒れ込む。……寝ている。

 兎はナコに抱かれて一緒に寝ている。この兎は本当になんなのだろうか。


「救世主様!」


 近衛騎士団長が到着したようだ。そういえば、他の騎士達はどうしたのだろうか。


「申し訳ありません! ナコ様をお守り出来ませんでした、この失態は私が……」


 地面に額を付けながら謝罪の言葉を口にする。綺麗な鎧と顔が汚れてしまうぞ。


「良い、ナコは無事だったからな。立て」


「ですが!」


「それよりこの仮面の事だ」


「……はっ、シャロン様、犯人の捕縛を感謝いたします」


 女騎士曰くイケメンな騎士団長は鼻の頭に土を着けて敬礼した。

 それを指摘すると顔を赤くして土を払った。少し面白い。


「いや、ナコがやったんだ」


 驚くべき事だ。


「ナコ様がですか。失礼しました」


 そして喜ぶべき事だ。


「他の騎士達はどうしたのだ?」


「それが、皆気を失っていまして……」


「不甲斐ないな」


「全く面目無いです」


「それで、仮面はどうするのだ?」


 一応魔法を撃ち込んで気絶させておいたが。


「尋問の後、牢に入れられて裁判を待つことになるかと」


「仮面は何を狙っていたのだ?」


「それは尋問で明らかになるかと」


「とりあえずナコを寝かせてやらないと」


「では、後は自分が」


「任せた」


「はっ!」


 やっと解決できたか。少し気を抜きすぎていたかも知れないな。



 ナコと兎を抱えて部屋に戻ると、王が待ち構えていた。


「申し訳ありません、救世主様。この失態は騎士団長に--」


 長くなると面倒なので謝罪を遮る。


「--もういい、謝罪は受けた」


「寛大なお心、感謝いたします」


「ナコを休ませる。少し静かにしていてもらいたい」


「わかりました、では何かあれば申し付け下さい」


「ああ、そうさせてもらう」


 王は相変わらずの低姿勢だ。都合が良いのでこのままでいいだろう。


「明日魔道学院に行く、学院に伝えておいてくれ」


 ナコはまだ疲れているだろうが、ここに居てもゆっくり出来ないらしい。

 だからどこに居ても大して変わらないだろう。だがまあ……。


 ナコは私の側で安心して寝ていればいい。


 きっと守ってみせる。


 今度こそ、ナコがずっと笑っていられるように。

二章完

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