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平伏す王

 王にも聞こえたようで急に慌て出した。


「とびっきりの料理を用意せい! それから上等な服じゃ、それから……それから……」


 王の異様な雰囲気に辺りが静まりかえる。


「……何をしておる!!」


 王が一喝すると、またざわざわと身なりの良い者や鎧を着た者達が動きだし、慌ただしくなり始めた。


「こ、こちらへどうぞ」


 王というものは偉いと聞いていたのだが、それが自ら案内をするとはどういう事なのだろうか。

 周りの反応からするとやはり異常事態なようだ。

 ナコはまだ顔を隠して固まっている。


 --キュルルル~。


「はうっ」


「とりあえずナコに何か食べさせてあげて欲しいのだが」


「はい、ただいま用意させております、準備が整うまでこちらでお待ち頂ければ」


 王に案内されたのは長い机に椅子がずらりとつけられた部屋だった。とにかく一度落ち着かせてもらおう。


「こちらでお待ち頂ければ」


 遠慮なく座らせてもらう。


「さっきから気になっていたのだが、どうして王が私達に畏まっている?」


「ど、どうしてもこうしても、救世主であらせられるお二方に無礼な態度をとるなど出来るはずがありません」


「いや、あまり騒がれても困るのだが」


「し、しかし……救世主様……」


「私達は疲れている、ナコはまだあまり体を動かせないのだ」


 無理をさせられるようならナコを連れて逃げ出すか。

 しかし逃げ出すと言っても宛がないな。

 宛のない旅でもするか。しかしナコの負担が大きいか。


「わかりました、騒がないようにさせます。他に何かあれば何でも言ってくだされば」


 何でもか。


「ナコは何かあるか?」


「え、王さま? え? え?」


 混乱しているようだ。


 --キュルル~。


 お腹が空いているようだ。


「料理はまだだろうか」


「もう来る頃かと」


「私は今の所思い付かないので、少し考えさせて欲しい」


「では、今宵は城に泊まられては如何でしょうか」


 私は構わないが。


「ナコはいいか?」


「え? お城に泊まれるの、本当?」


「はい、勿論」


「ね、シャロンいいよね?」


「あ、ああ、構わないが」


 なんだかぐいぐいくるな。


「お待たせいたしました」


 料理が来たようで、いい匂いが漂ってきた。

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