表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者にされた(練習)

作者: 冷龍

目覚めよ・・・


(・・・いったい何なんだ?)


目覚めよ・・・


(・・・俺はいったいどうなったんだ?)


目覚めよ・・・!


(・・・あぁ、まったく)




「うるせぇ!!」


自分ではない怒鳴り声で目が覚めた。


「!?」


気がつけば自分(横にいる2人もか?)は、古臭い遺跡のようなところにいた。昨日は自分の家で寝たところまで覚えているが、なぜ自分がこんな場所にいるのかまったくわからない。

おそらく同じように周りをキョロキョロ見渡している横の2・・・なんだこのイケメンも何かを知っているわけではないだろう。


「あのー、すいません。これはいったいどういう状態なのでしょう?」


イケメンのうちの一人、爽やかっぽい奴が(今まで気がつかなかったが)これまた作り物のようにきれいな『お姫様』見たいなやつに話しかけた。

(・・・これネット小説で見るテンプレってやつか?)


「皆様混乱されていると思いますが、・・・どうか私の話を聞いてください。」


丁寧な物腰でお姫様が話しかけた。が、こちらは完全に意味不明な状態なのでこのいかにも「訳知り」っぽい姫様の話を聞くしかないだろう。


「オイオイ・・・。まさか『勇者様この世界を救ってください』とか、・・・言わねぇよな?」


もう一人のイケメン、目つきが鋭いヤンキー風が皆の胸の中にあった疑問を口に出してくれた。とゆーか、あんたもそういうの知ってるんかい。


「!まぁ・・・勇者様は一騎当千にして頭脳明晰と聞いておりましたが、本当なのですね!」


「嘘・・・だろ・・・。」「え・・・」「・・・」


どうやら嫌な予感的中らしい。ヤンキー君もかなりショックを受けてるみたいだ。・・・イケメンだし、元の世界でリア充だったのかもしれない。


「詳しい話は、私の父・・・・・・エルス王国国王ヴァン・K・エルスとともに」


これは物語の冒頭としては十分だろう。異世界で普通に高校生やってた少年が異世界に勇者として召喚される。魔物や魔王なんかを倒しに冒険に出かけなんだかんだで幸せになる。

暗い通路を歩きだしたお姫様について行きながら俺が考えることは一つだけだ。


「・・・テンプレ乙(生きたなぁ)」




「良くきてくれた勇者殿。」


まさに「THE・王様」っといった感じの人がいる王の間っぽいところに案内された。周りには豪奢な服を着た小太りの人や騎士みたいな人たちがいる。


「あんたがこの国の王だな?いきなりで悪ぃが・・・元の世界に返してもらうぜ!」


「!!貴様、王に向かってなんという・・・」


「やめい。勇者様がそう思うことも無理はないだろう。わしらは文字通り何の了承も得ずに異世界に召喚んだのだからな・・・」


この状態で一切引かない態度のヤンキー君には尊敬の念が湧いてくる。これは下手すれば自分が不利になるだろう。


「僕も出来れば帰らしていただきたいですね。いきなり勇者様とか言われても・・・」


「・・・あ、俺も帰りたいッス」


危うくこの流れに乗り遅れるところだった。ここまでほとんど喋ってないから完全に読者気分だった。なんで2人ともそんなにはっきり言えてるんだ・・・。こっちは見知らぬ土地で現実から目を背けているというのに。


「うむ。帰れる方法は初代勇者様が確立して下さっておる。」


初代様は本当に頭の良いお方・・・。帰れる方法確立したってことは初代は元の世界に帰ったのか?


「そうか。なら今すぐ・・・」


「だが、それを使えるのは3年後じゃ。」


「準備・・・ッハ?」


「ちょ!?それどういうことですか!」


3年か・・・。こそこそしながらカサカサしてれば無事に帰れるかねぇ?3年って期間がはっきりしてるってことは、魔力が足りないとかかな。


「今回の召喚の儀に使った分と同じだけの魔力が必要なのだ・・・。そしてそれだけ溜まるのには・・・」


「3年かかるってわけか・・・。」


当たっちまったよコンチクショー。けど、勇者を呼ぶほど切羽詰まってるんですよね?これは戦わなければ、帰れないってことになりそうだ。他2人も同じ見解に至ったようだ。


「ッチ!・・・で、俺たちは何をすればいいんだ?」


「知っているか分かりませんが、僕たちは普通の・・・戦いの素人なんですよ?」


「戦い方に関しては教導をつけるとともに、初代様が残して下さった強力な勇者のための武器を託そう。」


・・・・・・初代様カッケー!!!

帰り方がなくて、武器もない状態でこの世界に呼ばれて世界を救う。さらに後任のためのサポートまでばっちりって、やはり・・・天才か。


「さて、後は勇者様に頼むことなんじゃが・・・」


「魔王でも倒すのかい?」


「いや、ちがう。」


「え?」


魔王を倒すとかではないらしい。では、何をするんだろうか?他に考えられそうなのは魔物ぐらいか・・・?



「魔物の退治と・・・・・・我ら人族の敵を倒してほしい。」


「「人の敵?」」


・・・なんか不穏な流れになってきたな。

その後聞かされた話から現状を理解した俺たちは、その『勇者としてすることの大きさ』に茫然とした。

いくらなんでもそりゃないわー。



勇者にしてほしいことそれは、人族vs人族以外の亜人の戦争の勝利だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ