静止軌道上の物体X
ある日、地球の静止軌道上に未知の物体が現れた。各国の天文台が観測した結果、その物体は赤道上で地球の自転速度と同調していた。各国政府も注視し、国連では緊急の会議が開かれた。どこからともなく現れた物体は最初、小惑星と判断され、物体Xと命名された。
ある国がミサイルを発射したが、目標に到達する前に何故か消えてしまった。
粗暴な行為に反対した別の国はロケットに飛行士を乗せて小惑星を目指して打ち上げた。
飛行士は船外活動をして物体Xに近づいた。
飛行士は宇宙服の制御機器を操作して、窒素ガスを噴射し、Xの側にいく。それは表面がつるつるとした、とても自然の鉱物などには見えない人工の物体であると判断された。世界はその発表でもちきりとなった。飛行士はためしに宇宙服のポケットから取り出した器具で表面を削りとろうとしたが、物体Xの表面は硬く、まるでガラス玉のような感触でサンプルは採取できなかった。
その時、宇宙服に装着した機器の警告表示が点滅した。
またあらたな物体が近づいてきたのだ。今度の物体はかなりの大きさで迫ってきた。飛行士はロケットに戻ると回避行動をとった。燃料の噴射、最大加速………。
新たな物体はまっすぐにこちらに突進してくる。最初の物体Xを目標とするように進んできた。ロケットも巻き添えをくう危険が迫る。ロケットの飛行士は思わず声をあげた。
あらたに現れた物体が、最初にあらわれた物体Xをはじき飛ばし、コースを変えた物体Xがロケットに突進してきたのだ。地球で監視していた某国は再びミサイルをXに放った。
……宇宙空間のかたすみで、生命体と呼ぶには、あまりにも巨大な存在がおはじきに夢中になっていた。存在の一人が指で玉を弾くと、ねらいどおり、コースの先にある玉にぶつかった。ぶつけられた玉は別の玉にぶつかった。
また別の存在は、今度は他の玉よりも大きな丸く青い玉に目標を定めていた。ときおり、青い玉から針のような飛翔体が飛んできてわずらわしかったが、存在は手ではらってとりのぞいた。二人にとって、おはじきは、無限の時間の中で飽きずに傾倒できる遊戯だった。
コツンと、青い玉にめがけてあらたな玉がはじかれた………。




