表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳶職人×異世界転生_俺の手が世界を建てる~鳶職人、異世界で伝説の塔を築く~  作者: もしものべりすと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

第10章 獣人の力仕事師バルト 第11章 職人会議

王都に戻った蒼太は、早速全員を集めた。


建設予定地の広場。ゴルド、リーナ、バルト、そして数十人の作業員たちが、蒼太の前に並んでいる。


「今日から、本格的に仕事を始める」


蒼太の声が、広場に響いた。


「まず、自己紹介だ。俺は鷹野蒼太。この現場の責任者だ」


「次に、こいつらを紹介する」


蒼太はゴルドを示した。


「ゴルド。ドワーフの石工だ。基礎工事を担当する」


ゴルドは腕を組んで、ふんと鼻を鳴らした。


「次に、リーナ」


銀髪のエルフが、一歩前に出た。


「エルフの木工師だ。木材の調達と加工を担当する」


リーナは無言で頷いた。


「そして、バルト」


虎の獣人が、巨体を揺らしながら前に出た。


「獣人の力仕事師だ。重量物の運搬を担当する」


バルトは周囲を睨んだ。人間の作業員たちが、僅かに後退する。


「言っておく」


蒼太は全員を見回した。


「この現場では、種族は関係ねえ。人間もドワーフもエルフも獣人も、全員が『職人』だ。対等に扱う。差別は許さねえ」


ざわめきが起きた。


「そんな……獣人と対等なんて……」


「エルフが人間の指示を聞くはずがない」


「ドワーフは気難しいと聞いている」


否定的な声が上がる。


蒼太は黙って聞いていた。


やがて、静かに言った。


「文句がある奴は、今すぐ帰れ」


ざわめきが止まった。


「俺の現場では、俺のルールに従ってもらう。それが嫌なら、他を当たれ。強制はしねえ」


誰も動かなかった。


「よし。じゃあ、仕事の説明を始める」


蒼太は図面を広げた。


「今日から、塔の基礎工事に入る。まず、地面を掘る。深さは五メートル。直径は百メートル」


「百メートル……」


作業員たちが息を呑んだ。


「でけえ穴だ。でも、これがなきゃ三百メートルの塔は建たねえ。基礎がすべてだ」


蒼太はゴルドを見た。


「ゴルド。掘った穴の底に、石を敷き詰める。お前の設計通りにやってくれ」


「任せろ。俺の石積みに、文句は言わせん」


「リーナ。穴を掘るための道具と、足場の部材を用意してくれ。木の選定は任せる」


「分かった。最高の木を用意する」


「バルト。お前の部隊には、石と土の運搬を頼む。重労働だが、頼めるか」


「俺たちの出番だな。任せろ」


蒼太は全員を見回した。


「いいか、この塔は、全員で建てる。誰が欠けても完成しねえ。俺たちは、チームだ」


作業員たちの表情が、少しずつ変わっていった。


不安から、緊張へ。緊張から、期待へ。


「さあ、始めるぞ。朝礼だ」


    *    *    *


作業が始まった。


毎朝、全員が広場に集まる。蒼太が今日の作業内容を説明し、危険箇所を確認する。


「今日の作業は、北側の掘削だ。危険なのは——」


「土砂崩れです」


エドが答える。


「対策は?」


「掘削面に近づきすぎない。異音がしたら、すぐに離れる」


「よし。作業開始」


作業員たちが散っていく。


最初の数日は、ぎこちなかった。


種族間の溝は深い。人間はドワーフを警戒し、ドワーフはエルフを疎み、エルフは獣人を見下し、獣人は全員を敵視する。


しかし、作業を続けるうちに、少しずつ変化が現れた。


「おい、そこの人間。その持ち方じゃ腰を痛めるぞ」


ゴルドが、若い作業員に声をかけた。


「え……」


「石を持つときは、膝を使え。背中じゃなく、脚の力で持ち上げるんだ」


「あ、ありがとうございます……」


別の場所では、リーナが道具の使い方を教えていた。


「この鉋は、木目に逆らって使ってはならない。こう、木目に沿って——」


「へえ、そうなんですか……」


そしてバルトは、黙々と石を運んでいた。


一人で、人間三人分の石を担いで歩く。その姿を見て、作業員たちは感嘆の声を上げた。


「すげえ……あの力……」


「獣人ってのは、あんなに強いのか……」


夕方、作業が終わると、蒼太は全員を集めた。


「今日の反省会だ。問題点があれば、言ってくれ」


最初は誰も発言しなかった。


しかし、日が経つにつれて、少しずつ意見が出るようになった。


「あの、ソウタさん。道具の置き場所が遠くて、取りに行くのに時間がかかります」


「なるほど。明日から、作業場所の近くに仮置き場を作ろう」


「ゴルドさんの指示が分かりにくいです……」


「俺の指示が分かりにくいだと?」


ゴルドが睨む。しかし蒼太が割って入った。


「ゴルド、お前の技術は一流だが、説明は俺がフォローする。いいな」


「……ふん」


こうして、少しずつ、現場はまとまっていった。


    *    *    *


ある日の夜。


蒼太は宿舎の外で、一人で空を見上げていた。


「眠れないのか」


声がして、振り返ると、バルトが立っていた。


「ああ。考え事をしてた」


「何をだ」


「この塔が、本当に建つのかなって」


バルトは蒼太の隣に座った。


「弱気だな」


「そうかもな」


蒼太は苦笑した。


「三百メートルって、正直、想像つかねえんだ。俺がやってた現場は、せいぜい数十メートルだった。それの十倍だぜ」


「不安か」


「ああ」


蒼太は正直に答えた。


「でも、やるしかねえ。他に方法がねえんだから」


バルトは暫く黙っていた。


「お前、なぜこの仕事を受けた」


「なぜって……」


「お前は異世界から来た。この世界の戦争に関係ない。なぜ、命を賭けて塔を建てようとする」


蒼太は考えた。


「……分からねえ。正直、最初は巻き込まれただけだった」


「今は?」


「今は——」


蒼太は空を見上げた。


「仲間ができた。お前や、ゴルドや、リーナ。エドもいる。この現場で働く連中が、俺の仲間だ」


「……」


「仲間のためなら、命を賭ける。それが、職人ってもんだ」


バルトは蒼太を見つめた。


「……お前、変わった人間だな」


「よく言われる」


二人は笑った。


「なあ、バルト」


「何だ」


「お前は、なぜ俺に協力してくれるんだ」


バルトは少し考えた。


「……お前が、俺たちを『仲間』と呼んだからだ」


「え?」


「俺たちは、ずっと『道具』だった。人間に使われ、捨てられる。それが、当たり前だと思っていた」


バルトの声は、静かだった。


「でも、お前は違った。俺たちを仲間と呼び、同じ報酬を払うと言った。最初は信じなかった。でも——」


「でも?」


「お前は、約束を守った。俺たちに飯を食わせ、仕事を与え、対等に扱った。それが、嬉しかった」


蒼太は何も言えなかった。


「だから、俺はお前の下で働く。お前が塔を建てると言うなら、俺もそれに命を賭ける」


「バルト……」


「だから——」


バルトは蒼太の目を真っ直ぐに見た。


「絶対に、死ぬなよ。お前が死んだら、俺たちの居場所がなくなる」


蒼太は頷いた。


「分かった。俺は死なねえ。お前らも、絶対に死なせねえ」


「約束だぞ」


「ああ、約束だ」


二人は、夜空の下で握手を交わした。


星が、静かに瞬いていた。


【第10章 完】

第11章 職人会議


建設予定地の中央に、大きな天幕が張られた。


蒼太が「職長会議」と呼ぶ場所だ。


天幕の中には、長い木製のテーブルが置かれている。その周りに、ドワーフ、エルフ、獣人、そして人間の職人たちが集まっていた。


総勢二十名。


各種族の代表者と、主要な技術者たち。これだけの異種族が一堂に会するのは、この大陸の歴史においても稀なことだった。


空気は、重かった。


ドワーフたちはエルフを睨み、エルフたちは獣人から距離を取り、獣人たちは人間を警戒している。歴史的な対立感情が、目に見えない壁となって全員を隔てていた。


蒼太は天幕の奥に立ち、全員を見渡した。


「集まってくれて、ありがとう」


誰も答えない。


「今日から、本格的に塔の建設を始める。そのために、全員の役割と、作業の進め方を確認したい」


ゴルドが鼻を鳴らした。


「会議など、時間の無駄だ。俺は自分の仕事をするだけだ」


「そうはいかねえ」


蒼太は淡々と答えた。


「この塔は、お前一人じゃ建たねえ。全員の力が必要だ」


「ふん。人間や獣人の力など、あてにならん」


ゴルドの言葉に、バルトが低く唸った。


「何だと、ドワーフ。俺たちを馬鹿にしているのか」


「事実を言っているだけだ。お前たちに、繊細な作業ができるとは思えん」


「繊細な作業? 石を積むだけの仕事が、繊細だと?」


「石を積む『だけ』だと? 貴様、石工を舐めているな」


二人が睨み合う。周囲の緊張が、一気に高まった。


リーナが割って入った。


「やめなさい。ここは、協議の場よ」


「黙れ、エルフ。お前たちは、いつも高みから見下ろしているだけだ」


「私たちが見下ろしている? それはあなたたちの被害妄想でしょう」


「何だと——」


「静かにしろ」


蒼太の声が、天幕に響いた。


低い声だったが、全員の動きが止まった。


「……言いたいことがあるのは分かる。歴史があるのも分かる。だが、今はそれを言い合う場じゃねえ」


蒼太は全員を見回した。


「いいか、俺はお前らに仲良くしろとは言わねえ。好き嫌いは自由だ。だが、この現場では、それを表に出すな」


「なぜだ」


ゴルドが問うた。


「仕事に支障が出るからだ」


蒼太は答えた。


「現場ってのは、全員で回すもんだ。誰かが自分勝手な行動をすれば、全体が止まる。最悪、事故が起きる。死人が出る」


「……」


「俺がここに来たとき、すでに百二十三人が死んでた。足場がない、安全管理がない、それだけじゃねえ。連携が取れてなかったからだ」


蒼太の声には、静かな怒りがあった。


「種族同士で反目し合って、情報を共有しない。自分の仕事だけやって、他は知らんぷり。そんなことをしてたら、また死人が出る」


天幕の中が、静まり返った。


「俺は、お前らに死んでほしくねえ。お前らの仲間にも、死んでほしくねえ。だから——」


蒼太は一人一人の目を見た。


「この現場では、種族は関係ねえ。全員が『職人』だ。職人同士、対等に扱う。情報を共有する。助け合う。それだけだ」


沈黙が続いた。


やがて、バルトが口を開いた。


「……お前の言いたいことは分かった。だが、言うだけなら簡単だ」


「ああ、そうだな」


「行動で示せ。お前が本気だということを」


蒼太は頷いた。


「そのつもりだ。だから、今日、この会議を開いた」


蒼太は懐から紙を取り出し、テーブルに広げた。


「これが、作業の分担表だ」


全員が、紙を覗き込んだ。


「基礎工事はゴルドが指揮する。石の選定、配置、強度管理。すべてお前に任せる」


ゴルドが眉を上げた。


「俺に、全権を与えるということか」


「ああ。お前が一番腕がいい。お前の判断に従う」


「……ふん」


ゴルドは不満そうだったが、否定はしなかった。


「木材の調達と加工はリーナが担当する。足場の部材、塔内部の構造材。すべてお前に頼む」


リーナが頷いた。


「私の責任で、最高の木材を用意する」


「頼む。それから、運搬作業はバルトの部隊が担当する」


バルトが腕を組んだ。


「石も、木材も、全部か」


「ああ。お前らの力がなけりゃ、材料を現場に運べねえ」


「……いいだろう。任せろ」


蒼太は続けた。


「俺は足場を組む。高所作業は、俺が指揮する」


「お前自身がやるのか」


ゴルドが問うた。


「当たり前だ。親方は、一番危ないところに立つ。それが俺のルールだ」


ゴルドは暫く蒼太を見つめた。


やがて、小さく笑った。


「……面白い人間だ」


「よく言われる」


蒼太は全員を見回した。


「他に質問は?」


リーナが手を挙げた。


「一つ、確認したい」


「何だ」


「報酬の配分は、どうなる? 種族によって、差をつけるのか?」


蒼太は首を振った。


「同じ仕事をしたら、同じ金を払う。種族は関係ねえ」


「本当に?」


「ああ。俺は嘘は言わねえ」


リーナは暫く蒼太を見つめた。


やがて、小さく頷いた。


「……分かった。信じる」


「ありがとう」


バルトが口を開いた。


「もう一つ、聞きたいことがある」


「何だ」


「お前は、俺たちを『仲間』と呼んだ。それは、本気か?」


蒼太はバルトを真っ直ぐに見た。


「本気だ」


「なぜだ。お前は人間だ。俺たちは獣人だ。歴史的に、敵同士だ」


「それは、お前らの歴史だ。俺の歴史じゃねえ」


「……」


「俺は異世界から来た。この世界の因縁なんか、知らねえ。だから、フラットに見れる」


蒼太は続けた。


「俺から見たら、お前らは全員、腕のいい職人だ。種族なんか、どうでもいい。腕があるかどうか、それだけだ」


バルトは暫く黙っていた。


やがて、低く笑った。


「……お前、本当に変わってるな」


「よく言われる」


「いいだろう。お前の『仲間』になってやる」


バルトが手を差し出した。蒼太は、その手を握った。


ゴルドが鼻を鳴らした。


「やれやれ。仕方ない。俺も付き合ってやるか」


リーナも頷いた。


「私も、この現場を見届けたい」


蒼太は三人を見回した。


「ありがとう。じゃあ、改めて——」


蒼太はテーブルの上に拳を置いた。


「俺たちの敵は、魔王軍じゃねえ。『この塔が建たないこと』だ。俺たちは、それに勝つ。全員で」


ゴルドが拳をテーブルに乗せた。


「乗ってやる」


バルトも続いた。


「俺たちも」


リーナが最後に手を重ねた。


「私も」


四つの拳が、テーブルの上で重なった。


人間、ドワーフ、獣人、エルフ。


種族を超えた連帯が、ここに生まれた。


「よし」


蒼太は笑った。


「じゃあ、始めるか。俺たちの現場を」


    *    *    *


職長会議の後、蒼太は現場を巡回した。


各所で、作業が進んでいる。


基礎工事の現場では、ゴルドがドワーフたちを指揮していた。


「そこの石、もう少し右だ! ずれているぞ!」


「へい、親方!」


若いドワーフたちが、テキパキと動いている。ゴルドの指示は厳しいが、的確だ。


木材加工の現場では、リーナがエルフたちと共に作業していた。


「この木目を活かして、削りなさい。木の声を聞くのよ」


「はい、リーナ様」


エルフたちは、繊細な手つきで鉋を動かしている。削られた木材は、驚くほど滑らかだった。


運搬作業の現場では、バルトが獣人たちを率いていた。


「おい、そっちは二人で持て! 一人じゃ危険だ!」


「分かった、ボス!」


獣人たちは、巨大な石を軽々と担いでいる。その力は、人間の数倍はある。


蒼太は各現場を回りながら、声をかけていった。


「いい調子だ。その調子で頼む」


「休憩は取れてるか? 無理するなよ」


「何か問題があったら、すぐに言ってくれ」


作業員たちは、最初は戸惑っていた。


こんな風に声をかけてくる責任者は、初めてだったからだ。


しかし、蒼太の態度に悪意がないことを悟ると、少しずつ打ち解けていった。


「ソウタさん、ここの石、少しずれてるような気がするんですが……」


「どれ、見せてみろ」


蒼太は石に手を当て、【匠の手】で確認した。


「……確かに、少しずれてるな。よく気づいた。直してくれ」


「はい!」


「何か気づいたことがあったら、遠慮なく言ってくれ。お前らの目も、俺の目だ」


作業員の表情が、明るくなった。


夕方、作業が終わると、蒼太は全員を集めた。


「今日の反省会だ。何か問題があれば、言ってくれ」


最初は誰も発言しなかった。


しかし、一人が口を開くと、次々と意見が出てきた。


「ゴルドさんの指示が早すぎて、ついていけないことがあります」


「木材の運搬ルートが、石の運搬ルートと被っていて、危ないです」


「休憩場所が遠くて、戻るのに時間がかかります」


蒼太は一つ一つ、メモを取った。


「分かった。明日から改善する。他には?」


「あの……」


若いドワーフが、おずおずと手を挙げた。


「何だ」


「獣人さんたちの力を借りたいんですが……石が重くて、一人じゃ動かせないのがあって……」


バルトが反応した。


「どの石だ。俺たちが運んでやる」


「えっ、いいんですか?」


「当たり前だ。同じ現場の仲間だろう」


若いドワーフの顔が、パッと明るくなった。


「ありがとうございます!」


蒼太は、その光景を見て、小さく笑った。


少しずつ、だが確実に。


壁が、崩れ始めている。


    *    *    *


一週間が経った。


基礎工事が、順調に進んでいた。


ゴルドの指揮の下、巨大な石が次々と配置されていく。【匠の手】で確認しても、欠陥は見当たらない。さすがは大陸一の石工だ。


木材の加工も、予定通りだった。


リーナが選んだ木材は、どれも最高品質だ。加工された部材は、驚くほど精密で、足場の組み立てが格段に楽になった。


運搬作業も、スムーズに進んでいた。


バルトの部隊は、獣人ならではの力で、重い資材を次々と運んでいく。作業効率は、人間だけの時の三倍以上だ。


そして——


「よし、足場の一段目、完成だ」


蒼太は満足げに、出来上がった足場を見上げた。


高さ約五メートル。塔の基礎部分を取り囲むように、足場が組み上がっている。


「すげえ……」


「これが、足場ってやつか……」


「上に登っても、全然揺れねえ……」


作業員たちが、感嘆の声を上げた。


蒼太は足場に登り、安全を確認した。


「よし、問題ねえ。これで、安全に作業できる」


エドが駆け寄ってきた。


「ソウタさん! すごいです! こんなに早く足場が完成するなんて!」


「お前らが頑張ったからだ。俺一人じゃ、こうはいかねえ」


蒼太は足場から降り、全員に向かって言った。


「今日は、記念すべき日だ。俺たちの現場で、最初の足場が完成した」


歓声が上がった。


「明日から、塔の本体工事に入る。基礎の上に、石を積み始める。いよいよ、本番だ」


「おおー!」


「やってやるぜ!」


「塔を建てるぞ!」


蒼太は全員の顔を見回した。


ドワーフも、エルフも、獣人も、人間も。


全員が、同じ方向を向いている。


「よし、今日は解散だ。明日に備えて、しっかり休め」


作業員たちが散っていく。


蒼太は一人、足場の前に残った。


夕日が、足場を赤く染めている。


「……ここから、だな」


蒼太は呟いた。


三百メートル。


まだ、道のりは長い。


しかし、最初の一歩は踏み出した。


仲間がいる。技術がある。やる気がある。


「やれる」


蒼太は拳を握った。


「俺たちなら、やれる」


夜空に、最初の星が瞬いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ