10. その後のふたり
アイリーンはふと気付いた
…また見られて聞かれてる!
「あ、あの、殿下…」
「アイリーン、ユリウスと」
「ユ、ユリウス様」
「なぁに、アイリーン」
「皆が、皆が見ておりますから、手を離してくださいませ」
気付いちゃったか…ユリウスは残念に思いながらも、恥ずかしがるアイリーンがまた逃げ出したら困るので手を離し、代わりに違うポケットから出したハンカチでアイリーンの頬に流れた涙を拭う
また少し甘い雰囲気になって赤くなるアイリーンを愛でていると
「殿下、今日はもうそのくらいで…」
アイリーンの父、アイザック・ノルド辺境伯から声をかけられた
残念…彼女への想いなら一晩中でも語れるのにと思ったけど、口にしたらまた
「だったらなんでもっと早く」
と言われるのがわかっていたので
「アイリーン、また明日話しがしたい」
とだけ言って彼女からそっと離れた
翌日からのふたりは
どこに行くにも手を繋ぎ
時々見つめ合っては
互いに照れて顔を背けるとか
付き合いたての甘さを醸し出していて
周囲の人々は呆れるばかりだった
ふたりの再会から3日後
ユリウスは後ろ髪を引かれながら王都へ帰っていった
ノルド辺境伯のサインがされた婚約申請書を持って
その後のふたりは
素直に言葉や態度でお互いへの想いを伝え合うようになった
時々、逃げるアイリーンを追いかけるユリウスの姿はあったけど…
周囲の人々は『またやってる』『どうせ捕まえるのに…』と生温い目で見守っていた
学園を卒業した1年後
多くの人々の祝福の中
ふたりは結婚した
《おしまい》
最初から最後までの構想など何もなく、行きつ戻りつしながらここまできました
最後まで読んでいただきありがとうございました




