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第二十二章:友也の後悔
詩集を閉じて席に戻ったあとも、
友也の心はどこかそわそわと落ち着かなかった。
パソコンの画面を開いても、目の前の文字が頭に入ってこない。
もちろん食欲なんて全く湧いてこない。
自分の指先が、ついさっきまで何をしていたのか
嫌でも思い出されてしまう。
(……俺、何やってんだ)
小春の付箋に、自分の言葉を書き足した。
それは、彼女の想いに触れた瞬間
抑えきれずに出た衝動だった。
けれど——
時間が経つにつれ、その行為がどれだけ
無遠慮だったかを思い知らされる。
(勝手に、触れてよかったのか?
もしかして迷惑だったんじゃないか?)
あの詩は、彼女にとって大切なものだったはずだ。
彼女の心の一部に、踏み込んでしまったのかもしれない。
ディスプレイに映る自分の顔が、
少しだけ強ばっているのがわかった。
ため息をついて、視線をそらす。
そして——思わず、小春の机の方を見やった。
彼女はまだ戻ってこない。
(……気づいたら、どう思うんだろう)
不安と、少しの期待。
両方が胸の奥でせめぎ合う。
それでも——
あのときの自分の想いが嘘じゃなかったことだけは、
誰よりも、自分自身が一番よく知っていた。




