第十七章:2人はライバル?
いつもの時間に家を出て、
いつもの時間の電車に乗る。
いつもの満員電車に揺られて、
いつもの改札を抜ける。
警備員のおじさんに挨拶して、タイムカードを打刻。
エレベーターに乗って、オフィスのある5階へ――
……のはずが、ぼんやりしていたせいで、
降りるタイミングを逃してしまった。
気づけば、表示は「8」。
「あ……やっちゃった……」
仕方なく非常口の扉を開け、階段で5階まで降りることにした。
足を踏み出して数段、コツ、コツと響く足音の隙間に
人の声が紛れた。
「……違うだろ、それは……」
低い声。続けて、少し苛立ったような別の声が重なる。
「部長はどうなんですか?」
誰かが、言い争ってる――?
小春は息をひそめて、音を立てないように慎重に階段を降りていく。
6階の踊り場に差しかかったところで、ようやくその声の主がわかった。
佐藤先輩と……甲斐部長?
思わず足を止める。
言い争い……?そんな風に見えたことは一度もなかった二人。
小春は戸惑いながらも、その場から離れられずにいた。
(何が……あったの……?)
聞き耳を立てる自分に、少し罪悪感が芽生えながらも、
どうしても、気になってしまう――。




