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第十六章:癒しのメロディー
小春はあまり眠れなかった。
脳内で何度も、先輩が彼女の名前を呼ぶ声がこだまする。
「夏海、夏海、夏海……」
時計を見ると、もう3時を過ぎていた。
早く寝なきゃ、と思えば思うほど、頭は冴えていくばかり。
小春はため息をついて、枕元のスマホを手に取る。
そして、いつも眠れない夜に聴いている、あの曲を再生した。
それはピアノの旋律だけで構成された、静かな一曲。
タイトルもなく、演奏者も分からない。
数年前、ふとYouTubeで見つけて以来、
小春の“おまもり”のような存在になっていた。
優しい音が、静かに部屋に満ちていく。
心がすこしずつほどけていくのを感じながら、
小春はそっと目を閉じた……
どのくらいたっただろうアラーム音で起こされた。
7時半だ、起きなきゃ。
しかし、睡眠不足のせいか頭がガンガンする。
でも休む訳にはいかない
また部長に心配かけちゃうし
愛菜にも迷惑かけちゃう…
重い体起こして小春は身支度を始めた。




