第十章:週明けの月曜日
……あれからずっと、心のどこかで閉じ込めていたはずの記憶が、
たったひと一言で、ふわりと息を吹き返した。
先輩が同じ空間にいるのが今でも信じれなくて
時々パソコンの隙間からチラッと覗いて確認してしまう。
もちろん仕事には集中出来ていない…
一昨日の発注ミスも、愛菜が見つけてくれたから
大事にはならなかった。
彼女には本当にいつも支えされてる。
年下でお調子者だけど、しっかりしてて
めんどみがいい所もある。
私とは大違いだ。
昔好きだった人と再開したくらいで
動揺して、ミスばっかりして、ため息が止まらない
佐藤先輩はまだ来て1週間なのに
もう皆の名前を覚え、仕事の流れも掴んでる
本当に凄い人だ。
「……神崎? 大丈夫か?」
突然、背後から低い声がして振り向くと、甲斐部長が無表情で立っていた。
「インフル、治ったんだろうが。まだ熱あるのか?」
「いえ、もう大丈夫です……」
小春は笑って見せるが、その笑顔はどこかぎこちない。
ようやく我に振り返った小春は、空っぽのモニター画面をみつ見て気まずそうに笑った。
甲斐部長は数秒、小春をじっと見つめる。
「……昼、空いてるか」
「えっ」
「飯、付き合え。どうせ食ってないだろ」
ぶっきらぼうに言って、さっさと踵を返す。
小春は一瞬きょとんとしたが、すぐに立ち上がり、
「はーい、今行きます〜!」と少し無理に明るく返事をした。




