転生したら包丁になってしまった〜猫様に拾われるまで狂気の現実世界生活〜 1話
道路の近く、男の子が猫で遊んでいるのが見えた。
どうやら、マンホールの蓋を開けて、中から猫を取り出したらしい。
突如叫び声が聞こえる。
「ニャア!!」
男の子が猫を放り投げたのだ。高く高く…
道路の方向に…!
ゴオオオオオオ!!!
最悪なタイミングでトラックが近づいていた。
「危ない!!!!」
俺は…勝手に身が動いていた。
俺はジャンプして、トラックに轢かれそうになっている猫を抱きしめた。
いや、違った。
俺は空気を抱きしめていた。
「猫ちゃんは!?!?!?!??!??!?!?」
その問いかけに、グッドのハンドサインをしたものがいた。
トラックの運転手だ!
なんと、トラックの窓が空いていて、うまい具合にそこに猫がシュートされたのだ。
猫はトラックの助手席を占領していた。
なんでもない顔で
「にゃにゃにゃにゃなんにゃ」
と鳴いている。
俺は安心した。
そして一歩踏み出した。
まさかその一歩が人生終了だったとも知らずに…
「ぎゃああああああああああああああああああ」
俺の叫び声が響き渡る。マンホールの中に。
そう、俺はマンホールの中に落ちたのだ。
グジャ!俺はマンホールの底で潰れて死んだ…
いや違う!マンホールの中で待ち構えていた男の子によって、殺されてしまったのだ。
男の子…?さっきの?
ああそうだ、顔が同じだった。
そしてその目からビームを発射して、俺は殺されてしまったのだ。
多分あいつはエイリアンか何かだ。もう訳がわからない。
だが強烈なことに意味不明さはここからが本番だった。
俺は包丁になっていた。