涙すらも枯れて、泣いてくれるのは空だけ
特に誰かの救いになるということはないと思われます。
雨の中を
歩いていた
全ては
あそこに捨ててきた
雨の中を
歩いていた
全ては
嘘だと信じたかった
雨の中を
歩いていた
止むことなく
止むことを知らず
雨が降っていた
私は歩いていた
☂ ◦ ☂◦ ☂
雨の中を
歩いていた
夜中の雨は
儚かった
月明かりが
アスファルト照らす
誰一人いなかった
だけどここには酸素があった
あそこには誰もがいた
だけどあそこには酸素がなかった
息苦しいね
生き苦しいね
あそこは雨なんか降っていなかったはずなのに
なんでここよりも寒かったんでしょう?
手に入れた全てが
重く感じた
だから捨てた
雨の中を
歩いていた
全てはあそこに
捨ててきた
だから私は
スキップして道を歩けるのだ
私の足を引っ張るものなど
もう何もない
私の心を幸せにしたり苦しませたりするものなど
もう何もない
☂ ◦ ☂◦ ☂
雨の中を
歩いていた
夜中の雨は
鋭かった
裸足に
水たまり
楽しくなって
その上で踊る
生き辛くて
息がしにくくて
でも止める勇気はないから
なおさら苦しくて苦しくて
夢よりも
現実は残酷だったよ
人より早く音を上げた
諦めるのはいつだって誰よりも早い
あそこは夜よりも深い
暗闇で覆われていた
あそこは雨よりも鋭い
刃で満ち溢れていた
あそこでは
息ができなかった
適応力
適応力
臨機応変に
どこにでも対応
みんなやってんだ
当たり前でしょ
そんなこと言わないでよって
酸素がないから息吸えなくて声も出なくて
視界真っ暗
お先も真っ暗
声も涙すら
出ないんですわ
☂ ◦ ☂◦ ☂
雨の中を
歩いていた
涙すらも
出なかった
じわじわと
足から伝わる冷
全ては夢だと
知っていた
歩ききった
その先にあるのは現実
雨が降っていた
私は歩いていた
歩いてきた道を
引き返そう
現実には帰りたくないから
あと少しでもここにいさせて
迫ってくる夢の出口から
逃げる逃げる
雨が降っていた
私は走っていた
体は軽かった
だからスキップもできる
雨が降っていた
私はまだここにいたい
現実からの
逃げたっていいでしょう
夢を見る時ぐらい
逃げさせてよ
どうか
傘を
現実から
逃げる術を
ベッドの中まで、今日の失敗とか明日の不安とか、持ち込まないようにしたいね。
ベッドの中で、内省しなくてもいいんだよ。