第6話 屈辱。
お待たせいたしました。
今日も1話更新です。
ゲオイル先生。俺が死ぬ少し前くらいからこの街レグナルトのギルドマスターになったと噂で聞いた。俺たちの担任であったことは勿論、先生になる前はこの細い体からは想像できないほど力強く美しい剣技をみせてこのジローナ王国のための騎士として王宮で働いていた。俺たちの担任だった頃も並の人よりも圧倒的な剣技を見せていたので、何故騎士を辞めたのか今でも不思議だった。
「それで、この可愛らしいメイドさんは?」
「私の家で働いているメイドのティアって言います」
「ティアくんこんにちは」
ティアは自分にまで挨拶が回ってくると思っていなかったらしく、慌てて「こんにちは」と頭を下げた。
「そしてこの子が私の娘のシトレアです」
「ほう、この子が」
顔を近づけて俺をじっと見てくるゲオイル先生の目は、何処か本当の俺を見透かしてそうで恐ろしくなり、ヨメナの胸に顔を埋めた。
「おっと、嫌われてしまいましたかね?」
「少し初めてのことが多くて怖がっているだけだと思います。ねぇ、シア?」
「ふんっ」
そうでは無いのだが、都合が良いのであえてこのままいじけたふりをしておく。
「もうシアったら……すいませんゲオイル先生。多分今日はずっとこんな感じです。期間空ければ大丈夫になると思うので」
「大丈夫です。あまり気にしてませんから。私も幼い娘の世話をしていたので大変さは分かりますよ」
「そうでしたね、今娘さんは?」
「十二歳です。王都の魔法学校に通わせています」
「それは心配ですね」
「はい、寮生活なので基本変な人間に絡まれる心配はありません が、危険がゼロというわけではないですからね。長期休みに元気よく帰ってくる娘の顔を見るまではドキドキが止まりませんよ」
そう言って苦笑いするゲオイル先生。
「さて、この話はこれまでにしておきましょう。あと少しで例の実技試験が行われるから打ち合わせしたいのですが。ヨメナくんは大丈夫かな?」
「あっ、はい。お願いします」
ゲオイル先生の話に何か思った事があったのか、何処か上の空になっていたヨメナは、ゲオイル先生に話しかけられて正気に戻ったらしく、少し考えたのち、ティアとリデアに俺を預けてゲオイル先生と共に打ち合わせのため奥の部屋に消えていった。
「じゃあ私たちは空いてる席にでも座って待ちましょうか」
案内されたのは一番端にあるテーブルだ。俺はそこの席についたティアの腿の上に座る形で席についた。
「少し待っててね」
そう言い残すとリデアは奥に下がった。少しの間待っていると、小さめのジョッキ持って姿を現した。
「お待たせー、シトレアちゃんとティアちゃん。良ければこれでも飲んで」
そう言って出されたのは俺の好物であるオレンジジュースだった。稀に酸っぱかったりとハズレはあるものの、飲んでみるとこのオレンジジュースは甘くて更に果肉も含まれていて文句のない味だった。
「おいしー!」
「はい、美味しいです!ありがとうございます」
「ふふっ、気に入ってくれて良かったわ」
そう言って隣の席についた。
「ティアちゃんはシトレアちゃんのお世話係してるんだっけ?」
「はい!シア様の御付きとして精一杯頑張ってます!」
「そうなんだ、ヨメナシトレアちゃんのことになると無茶しちゃうから助けてあげてね」
「勿論です!」
「シトレアちゃんは最近好きな遊びとかないのかな?」
「ほんよむこと?」
「本が好きなんだ」
「いえ、シア様にいつも本読んであげてますがあまり興味ないじゃないですか!すいませんリデアさん。シア様は最近だとおままごととかぬいぐるみが好きです」
「べ、べつにそこまでじゃないし」
「知ってますよ私は。ぬいぐるみを抱きながらじゃないと寝れないってことをです!」
グサグサグサッ!!
「うーん、シトレアちゃん今度ぬいぐるみか絵本どっちか買ってあげるけど、どっちがいい?」
「…………るみ」
「シア様?」
「ぬいぐるみっ!」
「わかった、お姉さんが今度買ってあげるからね」
「うん」
確かに嬉しい。けど俺は悔しいよ。中身は立派な成人男性なのに遊びや趣味がこの身体に引っ張られてるんだもん。
取り敢えずこの二人にいつかやり返すことは決定した。
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