表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

第16話 朝のひと時。

お久しぶりです。


庭に出ると木剣を振って汗水流しているフレデリアがいた。しかし流石ガーネットの娘というところか。三歳ながらその振る剣の筋は年齢に似つかない程良い。 


「あ、シア様こちらにお座り下さいー!」

「うん、ありがと」


靴を脱いで敷かれたシートの上に座る。外でこうやってピクニックみたく食べるのは久しぶりだ。昔は良くやっていたのに。まあ、こんな可愛らしいようなものではなく、シートも敷かずこれよりも素朴な食べ物ではあったが。


「もうしばらく時間もかかりそうですし先に頂いちゃいましょうか」

「そうだね」

「シア様、どうぞ」

「うん、いただきます」


受け取ったサンドウィッチを早速頬張っていく。


うん、美味しい。


しかしこのサンドウィッチはこの俺の小さな口からすると少し大きめのサイズとなっていて、口の周りに具材の卵が付いてしまっていた。

それにすぐ気づいて拭いてくれるところを見ると流石は俺のメイドというところだろうか。


黙々とサンドウィッチを食べおえて、お腹と二個目にいくか相談していたところでフレデリアの素振りが終わった。


「素振りおつかれさま」

「ありがとうシア、私もお腹すいたから隣お邪魔するわ!」


靴を脱ぎ捨てるような勢いでシートに座る。その靴をメイドのミラがしっかりと拾って揃えていた。


「うーんっ、美味しいわ!」

「それはよかったです!ミラさんもどうぞ」

「ありがとうございます。こちらはタマゴサンドですね。あむっ…………んっ、味付けは甘くしているのですね」

「そうなんです、シア様が甘い方が好みみたいで……。うちでは卵料理は甘いのにしてるんです」

「そうなんですね。実はフレデリア様も甘党でして、同じような味がしてびっくりしました」

「そうなんですね!ではこっちのハムとレタスとトマトを挟んだサンドウィッチもあるのでどうですか?」

「ではそちらも…………おっ、私はこちらの方が好きかもしれません。レタスのシャキシャキ感が堪りません。もう一つもらっても?」

「ぜひ。お気に召して何よりです。シア様はそれ以上ダメですからね。沢山食べすぎて動けなくなるのが見えてわかりますから」

「はーい」


勢いよくサンドウィッチを食べ進めるフレデリアを横に、二つ目のサンドウィッチを平らげる。


「ごちそうさまー」

「はい、お粗末です」


そう言いながら渡された紅茶をズーっと喉に通し、調子を整える。


そういえばヨメナがこんな朝早くから出向くのは珍しいことだ。恐らく邪竜の牙が盗まれたからその調査の協力みたいなことだろう。

現在この街の関所はかなり厳重警戒になっていて、外に出る時には何人もの門番たちで荷台をチェックするようにしているらしい。

そしてそのおかげで今のところまだ犯人が街の外に出ていないという目処が立っているため、ヨメナたちは急いで街の警備という名目で犯人探しの手掛かりを探っているらしい。


この身体ではなく、前世の俺であれば何か協力出来ることはあっただろうけど、こればかりは仕方ないこと。

今の身体で前世の力を出そうとしようとするのならば、この身体はすぐに壊れてしまうだろう。

強化に強化を重ねて普通の冒険者よりは活躍できるだろう。数分限定で。もちろんそんなことをする時が訪れないことを祈るばかりだ。


「ヨメナ様たち解決して早く戻ってくれると嬉しいですね」

「うん」


俺はヨメナの無事を願いながら、こっそり二度寝するべく庭から離れた。






お読みいただきありがとうございます。

宜しければいいねなどお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ