第14話 酒場2
お待たせ致しました。
「待たせたわー!」
涙をふいていざ次の料理に取り掛かろうとした時、リデアが遅れてやってきた。
「あら、リデア予定より少し早いじゃない」
「ええ、最後まで人がそんな来なかったからねー。今日くらいは早く上がらせてもらったわ。ギルドマスター、ゲオイルさんはやっぱり急用ができて行けないみたい」
「そうなのねー」
返事を返すヨメナだが、報告は赤くなって目が少し虚だ。手元には果実酒がある為、ガーネットに乗せられて飲んでしまったのだろう。実はというとヨメナはこれまで出会ってきた中で一番酒に弱く、二、三杯で限界を迎える。
「ちょっとガーネット、ヨメナにお酒飲ませたの?」
「私は別に。私が注文したものを近くに置いたら勝手に飲んだだけだし」
「ああもうー、しょうがないわね。ヨメナ、取り敢えず水飲んで落ち着きましょう」
「うん、分かった」
近くにあったカップに水を注ぎ、無理矢理ヨメナに飲ます。
「どう?落ち着いた?」
「うん、少し…ありがとう」
「よかった。それでヨメナ、ここから少し真面目なギルドマスターから伝言を預かってるの」
「わかったわ、話してちょうだい」
「一応ガーネットも聞いといて」
「わかったよ」
「あまり大きな声で話すことはできないんだけど、実は今日、この街の神殿に保存されている邪竜の牙が盗まれたの」
「何ですって?」
ヨメナは嫌そうに眉を細めた。
「でもそんなものを盗んで何をする気だ?」
「それが分からないからギルドマスター自ら出向いて調査しているのよ」
「盗んだ犯人は?」
「恐らくまだこの街のどこかに入るはずよ。だからヨメナ、ガーネット、調査に協力して欲しい。とギルドマスターからの伝言よ」
「分かったわ」
ガーネットもそれに賛同したようだ。
「よし、堅苦しい話は終わりにして明日に差し控えないくらいに食べて飲みましょう」
「そうね」
「ヨメナはお酒禁止よ」
「分かってるわよ」
そう言って再びコップに水を装っていた。その間にリデアとガーネットは酒を注文し、すぐに店員が持ってくる。
「「乾杯」」
三人はそのまま大人の女子会みたいなものを始めたようだ。
邪竜の牙が盗まれたか……少し気にはなるが彼女らが調査に加わるのであれば、大きな問題にはならないだろう。
それに今は俺にも大事な任務がある。
目の前の皿に乗せられた料理を食べ切ることだ!
俺は甘いものを目標に手に持つフォークのスピードを上げた。
しかし、最終的には食べ切ることは出来ず、俺のために注文していたアップルパイは無念にも目の前でフレデリアに美味しく食べられてしまった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。