第10話 ニ連撃ち。
二本目の投稿です。
「勝者バルス!」
「よっしゃあぁあ!」
バルスと呼ばれた剣士は雄叫びをあげ、治療を受けるため脇腹を抑えながらその場を後にした。
弓矢の彼女は悔しそうに立ち上がり、服についた土を払ってからその場を後にした。
弓使いからしたら彼女は大したものだ。最後に放った二連撃ちは相当実力が無いと打てはしないぞ。制度は申し分ないし、弱点は威力ってところか。
弓使い自体全体の中で少ない割合しかいないジョブだから、一般的に今の試合は弓使いの少女が一方的にやられて、最後偶然彼女が一矢報いたくらいにしか思っていないだろう。
だって知っているならガーネットのように驚くはずだから。
あのセンスがあればあの魔力量でも、彼女は磨けばかなりのものに成長するだろう。そんな期待をしながら次の試合を待った。
次は剣士同士の試合だった。特に目立つことはなく、片方が最後相手の剣を吹き飛ばしたところで終了となった。
この試合も会場の雰囲気的に注目する試合ではなさそうだし、一旦気晴らしにでも行くとするか。それにトイレ行きたくなってきたし。
「ティア、といれいってくるー」
「じゃあ私も行くわ!」
「念の為私もついていきます」
「ティアちゃん、フレデリアに任せてあげて。トイレまで距離あまりないし、シトレアちゃんのこと話してからずっとお姉さんらしいことしたいって張り切ってたから」
「わ、分かりました。ではフレデリア様、シア様をよろしくお願いします」
「任してちょうだい!」
自信ありげに胸にポンと手を当て、その胸に当てた手で俺の手を握った。
「さあ、行くわよ!」
「う、うん」
本当に大丈夫か?そう疑問に思いつつも繋いだ手を引っ張られる。俺とフレデリアの短い冒険が始まった。
「本当に二人だけで行かせても大丈夫でしたかね?」
「まあ、大丈夫よ。うちのメイドもそう思ってると思うし。ね、ミラ?」
「はい、しっかりしているのでフレデリア様ならシトレア様のことしっかり引率できるかと」
「そうよね。学校内だしそれに今回は一般客はいないから人攫いの心配とかも無いし。こういう時くらい自由にさせてあげないと」
「後でヨメナ様に怒られても知りませんよ?」
「それだけは絶対嫌なんですけど」
「あっ、ガーネット様。今更気づいたのですが」
「何?」
「フレデリア様お手洗いの場所知らないです」
「えっ……それは本当なの?」
「はい、この学校に着いてからまだ一度もお手洗いの場所にご案内してないです」
「そうなんだ……」
「どうなさいますか?」
「ま、まあ?丁度私もトイレ行きたかった頃だし、私も後を追いかけようようかなぁー。やっぱり二人だけって心配だしー。ティ、ティアちゃんもそう思うよね?」
「は、はい!」
「よし、じゃあ行こうか」
ガーネットはメイドの二人を連れて、気持ち早めにその場を後にした。
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