表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/143

不審者VS鎌倉武士の子供

番外編です。

あくまでも本編は終わっているので、武家屋敷が消える前の過去編って感じです。

本編よりはマイルドです。

 何故か現代と繋がってしまった鎌倉時代の武家屋敷。

 その鎌倉武士の八男坊は、その素性を隠す事なく現代の小学校に通っていた。

 隠しているのは素性ではなく、本性の方である。

 それも大人に対してであり、同じ子供に対しては割とあからさまだ。

 基本「武士はナメられたら死ぬ」人種である、文字通りの意味で。

 ナメられたら、土地は取られる、妻女は取られる、首は取られる、その上「あいつは朝敵みたいなものだ」と死後に名誉すら取られる。

 ナメられたらいけないので、子供の内からマウントを取っているのだ。


 この八郎が通う小学校に、不審者が侵入する。

 その男は高校生くらいか。

 ナイフを数本持って、子供たちが通う学校に入り込んだ。

 この不審者に対し、教師が

「誰だ?」

 と言った瞬間、その男はナイフで切りつける。

 怪我を負った教師だが、命に別状はない。

 急ぎ児童たちを守るべく大声で危険を知らせる。

 近くの教室では、授業中の教師が急いでドアを塞いだ。

 そしてパニックになりかける生徒たちを落ち着かせ、1階の教室では生徒を窓から逃がす。

 そんな中で冷酷に……いや、冷静に行動した子供がいた。

 鎌倉武士の子、八郎である。

 彼の近くには、彼の命令に忠実に従う子供たちがいた。


「来ました」

 斥候に出していた少年が報告を入れる。

「よし」

 八郎は皆を率いて教室を出る。

「危険だから逃げて…………って…………」

 不審者に対応中の教師たちが叱りつけようとしたが、実際子供たちの方が危険な感じである。

「其の方たちこそ下るが良い」

 普段の子供の演技をやめ、大人でも委縮するような覇気を出しながら八郎が教師に命令を出す。

「者ども、構え」

 子供たちは椅子、チョークの粉たっぷりの黒板消し、蓋の開いた墨汁、針を剥き出しにしたコンパス等の投擲態勢に入った。

「放て」

 八郎の命令により、多数の危険物が不審者の顔面目掛けて投げられる。

 不審者のこれも少年だが、こいつは面食らった。

 一方的に蹂躙する筈が、まさか子供たちから反撃されるとは。


(撃って良いのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ)


 この言葉を分かっていなかったのが運の尽き。

 一頭の獅子に率いられた羊の群れは、一頭の羊に率いられた獅子の群れを駆逐するという。

 鎌倉幕府が出来て、大規模な内戦が無くなっただけで、準戦時中な鎌倉武士の一員が指揮した子供たちは、平和ボケの中でイキがっている高校生よりも危険なのだ。

 色んな物の直撃や、掠めによって防御姿勢に入る侵入者。

 その瞬間、一気に間を詰めた八郎が、持っていた椅子で不審者の顔面をフルスイング。

 鼻血を吹き出し戦意喪失した不審者に、八郎の仲間が落ちていたコンパスを持ち、目に突き立てた。


 この少年、過去にイジメに遭っていたのだが、鎌倉武士の教育によって見事に手加減というものを捨てた強者に成長していた者だ。

 世の中、怖いのは強い奴ではない、頭のネジが外れた奴の方だ。

 これで頭が悪いなら怖くはない。

 殺す為の最適行動を、躊躇というものが全く無く採れる奴は恐ろしい。

 弱い事は状況の一つに過ぎない。

 相手が強いと分かったら、不意打ちするなり、毒を盛るなりすれば良い。

 どこかの自称帝王が言った

「過程や……! 方法なぞ……! どうでもよいのだァーッ」

 と。

 かつてのいじめっ子、現在はサイコパスになった児童は、まるで黒ひげ危機一髪のように、落ちている色んなものを不審者の色んな部分に刺し始める。

 そう、いつ海賊が飛び出すかな、といった感じの気楽さで。

 この不審者は一方的に憂さを晴らす事しか考えていなかった。

 要は「覚悟して」来ていなかったのだ。

 

 彼は容易にカリスマに影響されやすく、虫の羽根を簡単にもいで遊ぶような残酷さもあり、手加減というものを知らない小学生たちに、抵抗出来なくなった所を嬲られまくる。

 子供は下ネタも好きだ。

 子供の内は、平気で尻を出したり、排泄物の名前を大声で叫びながら走り回ったりする。

 通報を受けて駆け付けた警察官が見たものは、虫の息の不審者に群がり、ズボンを下されて剥き出しとなった尻に、鉛筆やシャーペンを刺して遊んでいる子供たちの姿であった。

 余りにも余りな姿に、警察官たちは子供たちを引き離して不審者の方を保護する。

 そして注意したところ

「えーーん、だって、先生が切られたから、やっつけてやろうって思ったんですぅ」

「怖かったから、必死だったんだよー」

「なんでもっと早く来てくれなかったんだよ」

 と泣き始める小学生たち。

 警察官たちは

「大声出して悪かった」

「おじさんたちが遅れてしまってごめんね」

 と宥めに入っていたが、遠巻きに見ている教師たちは違っている。

「子供を危ない目に遭わせないで下さい」

 と警察官から注意されながら

(違う……、あの子たちは怖いからとか、命令されたとかであんな事をしていない。

 明らかに「狩り」に掛かっていた。

 よく訓練された動きだった。

 一切の無駄が無かった。

 そして、明らかに不審者を「弱いもの」として遊んでいた。

 演技に騙されてはいけない)

 と教え子たちに恐怖心を抱いていたのだった。


 そして主犯とも言える武士の子は、

「良いか、刑法とやらで、十四歳に満たぬ者の行為は罪に問えぬとある。

 少年法でない、もっと基本法である刑法でそう規定されておる。

 だから、思う存分やっても良いぞ。

 どうせ罰せられぬ。

 わしの時代でも、墓石よりも背が低い童は殺されぬものじゃ。

 ある意味色々と許されるのじゃ!」

 とクラスメイトたちを煽っていたのも知っている。

 大体、不審者の鼻に大人が持ってもズッシリと来る文鎮をクリーンヒットさせたのもあいつだ。

……あの文鎮は、鈍器として使用する為に持ち歩いている可能性だってあるのだが。


 警察到着後、確保された搬送される不審者。

 搬送先は、まずは病院になるだろう。

 この不審者をボッコボコにした小学生の罪は問わない。

 刑法的に問えないだけでなく、警察としても余計な事に関わり遭いたく無かった。

 この高校生はナイフを複数本持って小学校に侵入した、それだけが事実である。

 それまでにしておこう。

 

 それにしても、高校生が刃物を持って小学生を襲おうとするなんて世も末だ。

 警察官が

「まったく、最近の若い奴はどうにかしているな」

 と呟くと、運ばれている不審者が

「そう思う……。

 俺より若い奴……怖すぎる……」

 と消え入りそうな声で返すのだった。

 

おまけ:

近江佐々木家「元服前の幼児でも殺しますが、何か?」

甲斐武田家「墓石より背が低い子供は殺さない。

 ならば墓石の方を低く作れば問題無かろう」

佐々木&武田「供養さえすれば万事良し!」

こんな感じ。


19時にもアップします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] マイルドとは一体···
[良い点] 子供は色々な意味で残酷です、、、 [一言] 現実の事件でも、この作品で被害に遭われた教師の方の一刻も早い回復を願っております。
[一言] >本編よりはマイルドです お、おう・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ