闇に生きし者と光の見えぬ者
「ねぇ、おじさん終わったの?」
「あぁ、終わったよ。ごめんな、待たせちまって。」
「ううん、大丈夫だよ。いつものことだしね。」
「ということはいつも待たせちまっているってことじゃねえか。いやぁー、ホントすまねぇな。次からはもっと早く仕事終わらせるようにするからさ。」
「それは嬉しいけど、それで焦って怪我とかしないようにね。」
「ホンマ、スーは優しいな。ありがとう。」
「えへへ、どういたしまして。」
俺はそんないつものやり取りをしながら、ナイフについた血を拭う。
あぁ、服にもべったりついてやがる。
洗濯めんどくさいんだよな~、血って落ちにくいんだよな~。
まぁ、依頼はちゃんとこなせたからいっか。
俺は目の前に転がっている血まみれの人形を見ながらそう思う。
「よいしょ、じゃあスー帰ろうか。」
「うん!帰ろう!」
するとスーは片手を差し出してくる。
俺はニッコリとしながらその手を繋ぐ。
それで俺の体温が伝わったのか、スーは俺に向かってニシシと嬉しそうに笑う。
「そうだ、今雪って言うのが降っているんでしょう、おじさん。」
「ああ、そうだよ。分かるのかい?」
「うん、なんか冷たいのがチラチラと降っているのを感じる。それに雪って真っ白でキラキラとしているんでしょう?」
「あぁ」
「見て見たいな。」
「……もう少しでお金がたまる。そしたら、ちゃんと見えるようになるからな。」
「だからと言って無茶しちゃダメだよ。」
「大丈夫だよ。ホンマ、スーは優しいな。そうだ晩飯何を食べたい?」
「うーん、おじさんのカレーが食べたい!」
「おっ、そうか、それなら今から材料を買いに行くか!」
「うん!」
そうして、俺たちは手を繋ぎながら、近所のスーパーへと向かう。
白く、そして少しだけ赤く染まった雪の上を歩きながら。
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「闇に生きし者と光の見えぬ者」を読んでいただきありがとうございます。
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