矢崎在美『ランチタイムのぶたぶた』
私の大好きな「ぶたぶたシリーズ」の最新刊です。
どうも、そらいろさくらです!
今回は小説をほとんど読まない私が、新刊が出れば必ず購入しその日のうちに読みきる唯一のシリーズ「ぶたぶたシリーズ」の最新刊『ランチタイムのぶたぶた』をご紹介します。
ぶたぶたシリーズは、ぶたのぬいぐるみの姿をしたおじさん、「ぶたぶた」が主人公のお話です。
ぶたぶたシリーズは連作短編形式で各短編ごとに視点人物が変わっていきます。ぶたぶたさんを最初に見たときの視点人物のリアクションは各人様々で、それも「ぶたぶたシリーズ」の楽しみの一つです。
ぶたぶたさんはバレーボールくらいの大きさなのですが、
基本、万能で家事全般はもちろん、車の運転なんかも出来ます。(どうやって運転しているかは謎)
ぶたぶたさんはいろいろな仕事を転々としていて、列挙すると
ベビーシッター、刑事、獣医、医者、本屋、花屋、ラジオのパーソナリティー、スクールカウンセラーなどなど、、、
そして、何でも出来るぶたぶたさんがとりわけ得意としているのが料理で、和洋様々な料理店の店主、おでん屋、和菓子職人、パティシエ、バーテンダーなど本当にいろいろな仕事をしています。
ぶたぶたシリーズのもう一つの楽しみが美味しそうな料理描写です。ぶたぶたさんの作る料理はどれも美味しそうで、一度は食べてみたいと思うようなものばかりです。ですので、料理ものの巻は夜中に読むのはおすすめしません。(飯テロ的な意味で)
と、ぶたぶたシリーズ全体についてはこんな感じでしょうか。
そろそろ新刊『ランチタイムのぶたぶた』について書いてみようと思います。
矢崎在美『ランチタイムのぶたぶた』光文社文庫
今作は、全編コロナ禍のお話です。前作、前々作も一部コロナに触れた作品はありましたが一巻通じては初です。
いつものハートウォーミングな感じもあるのですが、やはりコロナ禍ということもあって、ただほのぼのしているだけでもなく、世の飲食店様の大変さに改めて思いを馳せた次第です。
コロナ以前もあまり外食はせずコロナ禍でいっそう足が遠のいていた飲食店。身近な人で飲食店で働いている人もおらず、ほとんど考えたことがなかったのですが、やっぱり今、飲食店は苦しいんだなと実感しました。
あくまで物語の中のお話ですが、現実のお店も同様の、下手するともっと大変な状況のところもあるかと思います。
コロナは飲食店以外にも広く悪影響を与えました。もちろん私にも。
このコロナ禍で物書きに出来ることはなんだろう。
作者矢崎在美先生のあとがきを少し引用してみます。
とはいえ、書き終わってからふと思いました。
「実際に苦労されている飲食店(中略)の方々は、こんなもの
は読みたくないかもしれない」(『ランチタイムのぶたぶた』あとがき)
しかし、今作でコロナについて書いた理由として次のように続けます。
頭にあったのは、昔書いた『ぶたぶたさん』です。
これは東日本大震災直後に出たものですが(中略)その時のことをほとんど書かなかったのは(中略)しっかり受け止めてなかったのだろう(中略)現実にぶたぶたがいるとするならば、彼のためにも(中略)書かなければならなかったと―――今では思っています。(同上)
10年前の経験を踏まえて今回は前回とは違う道を選ばれた矢崎先生。
その思いは読者である私に勇気を与えてくれました。
しんみりしてしまったところで、最後に今作に登場する料理のなかで私が食べてみたいと思ったものをランキング形式で3つ紹介して終わりたいと思います!
第三位「ぶたにくざんまい」の豚肉の唐揚げ。
第二位「相席の思い出」のチャーシューエッグ。
第一位「相席の思い出」の新玉ねぎの天ぷら。
どんな料理かは作品を読んでのお楽しみということで、今回は失礼いたします!
またね。