Case 97「英語街のレストラン」
魔法専門学校の夏休みは9月2週目の月曜日までと、前の世界と比べて若干長めだ。その間ボクは宿題・センセイの癒師の仕事の手伝い・アルバイトなどいろいろなことをした。
そんなあるバイトがない日のこと。
「ねえ未青くん、『英語街』って知ってる?」
「うん。この辺だと北舞嗣遠駅周辺にあるとこでしょ?」
「そうそう!」
クルルスさんから教わったことだが、この国には「英語街」という場所がある。この世界にも公用語が英語の国があってそういう国から来た人や、アメリカやイギリスなど前の世界で英語を話す国から転生してきた人が暮らす街のことだ。舞嗣遠周辺でも、北舞嗣遠駅のある地区のまるまる1つが英語街となっていて、そこには英語を話す人たちがたくさん暮らしている。
「そこにある『ベルティコルディア』ってレストランに行かない?ルオルアから移り住んできた私の癒師仲間がそこで働いているの。久しぶりにお店に誘われたんだ。」
「そうなんだ。じゃあ、ボクも行ってみようかな。」
「本当?じゃあ明日早速行っちゃう?」
「うん!」
次の日。
「まもなく、北舞嗣遠、北舞嗣遠です。」
北舞嗣遠駅に着いたボクたち。駅のホームからは異国情緒溢れる街並みが広がる。北舞嗣遠駅は英語街のちょうど真ん中の位置にあるようだ。
「センセイ。その『ベルティコルディア』っていうレストランはどっちにあるの?」
「南口だね。ここから歩いて15分くらいだね。」
「ちょっと歩くね。」
「うん。でもせっかくの英語街だから、歩いて街の様子見てみよう。」
ボクたちは駅南口から英語街に出た。確かに舞嗣遠駅周辺とは雰囲気がまるで違う。アメリカのようなイギリスのような異国情緒を、改めて肌で感じる。
フレイン「すみませんトイレ借ります…!」
(漏れちゃう漏れちゃう漏れちゃう漏れちゃう…!)
街の中にはコンビニではなく小さいスーパーが至る所にあって、途中急に強い尿意を催して駆け込んだスーパーもまさにそうだった。ボクは幸いパンツに微量チビる程度で済んだ。
「英語街のコンビニってどんな感じなの?」
「コンビニはやっぱりガソリンスタンドに併設されている感じだね。」
「そうなんだ。ボクも前の世界で何度かガソリンスタンドのトイレ借りたことあったけど、併設されているお店はコンビニらしい感じはしなかったなあ…」
そうこうしている間に今回の行き先である『ベルティコルディア』に着いた。前の世界にいた頃、学校の社会の教科書で見た、アメリカにありそうな感じだ。
「ここ?」
「うん。早速入ろう。」
店に入るボクたち。
店員A「Welcome!」
フレイン「ナターシャ?ナターシャいる?」
店員A「ナターシャ?ちょっとお待ちください。」
店員さんに案内された席で1分ほど待っていると…
「Welcome!」
ボクたちの座っている席に、褐色肌で髪はオレンジ色っぽい色、瞳は緑色に近い色の女の人がやってきた。
「Oh! フレイン!久しぶりね!」
「うん!ねえナターシャ。この子が未青くんだよ。」
「Wow! あなたが未青くんなのね!フレインから話は聞いているわ。よろしくね。」
「よろしく… お願いします…」
ちょっと恥ずかしいとボクは思った。ナターシャさんとかいうその人は、おしゃべり好きであることは確実だ。
「ねえナターシャあまり未青くんにハイペースで話しかけないで。(苦笑)未青くん困ってるよ。」
「Oh sorry… 私はナターシャ・ステファン。フレインの仕事仲間なの。」
「ボクは赤砂未青です。2年前にこの世界に転生してきて、センセ… フレインさんに引き取られました。」
「未青くん本当に So cuteね! フレインから聞いてるけど、おうちではスカートとか女の子の服着てるんでしょ?」
「はい…(苦笑)センセイそのこと話してたんだ…」
「写真も見せてもらったわ。」
その後も話は続く。
「そうだいけないいけない。注文取らなくちゃいけないんだった。」
ナターシャさんはボクに会えたのが嬉しかったのか、注文を取るのを忘れてしまっていたようだ。
メニュー表を渡されるボクら。
フレイン「ねえ未青くん、ナターシャってオムライスが得意料理なのよ。」
未青「オムライスってこれ?」(メニュー表のオムライスの写真を指差す未青)
フレイン「そうだよ。この店は得意料理はウェイターであろうとその人が作るルール採用してるから。」
未青「なにそれ斬新!じゃあボクそのオムライスにする。」
フレイン「せっかくだから私もそれにしようかな。久しぶりだから。」
ナターシャ「Sure! 2人ともオムライスですね。しばらくお待ちください。」
そう言うとナターシャさんは注文の紙を持って、店のバックヤードへ消えて行った。
それから待つことおよそ10分。ナターシャさんが
ナターシャ「Here's your Omelet with rice.」
未青「Thank you!」
そう言ってボクたちはオムライスを食べ始める。
未青「とても美味しい!」
フレイン「でしょ?だってナターシャの一番の得意料理なんだもん。」
ナターシャ「Thank you! I'm very happy!」
その後は店の中でかかっているラジオをBGMに、夢中でオムライスを食べ続けた。完食したのはそれからおよそ20分後のことだった。
その後はしばらくセンセイと2人でおしゃべりした後、お金を払って店を後にしたのだが…
「ねえ未青くん。」
「センセイ?」
「実は今日のナターシャのシフトはもうすぐ終わりだから、この後一緒にナターシャの家に行こう。」
「うん。」
という訳でボクたちはベルティコルディアの従業員用入口の近くの道で、ナターシャさんを待った。
待つこと10分。
「Oh! 2人とも待っててくれてたの!」
ナターシャさんは大人っぽい感じの白いブラウスに黄土色のギャザーのミニスカートを着て出てきた。
「センセイ…」
「なに?未青くん?」
「トイレ…」
ボクの体に強めの尿意が降りかかってきた。ボクはセンセイにトイレを訴え出るのだが…
「どうしよう… ここからナターシャの家までトイレ借りられそうなところないんだよね…」
「うそ…」
「うん…」
ここからナターシャさんの家までトイレを借りられそうな場所はないとセンセイは言う。
「ナターシャさん…」
ボクはナターシャさんに話しかける。センセイも知らないこの街のこと、特にトイレが借りられそうなところを尋ねようとしたのだが…
「?」
ナターシャさんの様子が変だ。下腹部やお股のあたりを気にしている感じがする。
「ナターシャさん?どうしたんですか?」
「Oh… 実は… 私も漏れそうで… オムライス作ってる時から我慢してて…」
「ええ…」
確かにボクたちがベルティコルディアに入った時から、店内に他にもそれなりにお客さんがそれなりにいた。トイレに行く時間がなかったのではないかとボクは思った。
「じゃあ早く急ごう…。ボクももう漏れちゃう。」
「そうだね。ナターシャも未青くんも我慢できる?」
「うん…」
「Yes…」
結局ここからナターシャさんの家までトイレを借りられそうなところはないことが分かった。ボクもかなり漏れそうだが、ナターシャさんもとても辛そうだ。
「Oh… Oh… I can't hold anymore…」
ベルティコルディアから歩くことおよそ20分。やっとナターシャさんの家に着いた。そんなボクのパンツには、おしっこのシミがジワジワと広がり始めている。
「ナターシャさん。」
「What? 未青くんどうしたの?」
「ナターシャさんが、先にトイレ使っていいですよ。」
「Can I go first? 未青くんもとっても辛そうなのに…」
「だって…」
センセイよりも年上の感じがするナターシャさん。もしそんなナターシャさんがおもらしなんてしたら、シャレにならないと思ったからだ。そんなこと恥ずかしくて言えたもんじゃないが。
でもナターシャさんもそれを察したようで、
「I see. じゃあ、未青くんの言う通りにしようかしら。」
と言って、ナターシャさんは足早にトイレに飛び込んでいった。
ナターシャさんにトイレを譲ったボク。そんなボクがこの後迎える結末は「おもらしをすること」ただそれだけ。それはボクは何よりも一番分かっていた。
(出ちゃう… 出ちゃう…!出ちゃう…!!)
(ジュジュ… ジュ… ジュ… ジュウウウウウウウウウウウウ…!)
そしてナターシャさんが使っている最中のトイレのドアの前で、ボクはとうとう力尽きた。パンツも半ズボンも靴下も、すっかりぐしょぐしょだ。
(トイレから出てくるナターシャ)
「Oh no…」
(未青の嗚咽)
「Sorry… やっぱり未青くんにトイレを譲って、私がトイレの外でおもらしすればよかったんだわ…」
「ナターシャさん?」
「えへへ… 私もよくおもらししちゃうから…」
「ナターシャさんも、我慢するの苦手なんですか?」
「そういう訳じゃないんだけど…」
するとナターシャさんは自分の過去を語り始めた。
今からちょうど20年前、14歳の頃。魔法専門学校での定期テスト中に急に強い尿意を催してトイレを訴え出るも、試験監督の先生にトイレに行かせてもらえず、そのままテスト中の教室でおもらしをしてしまったナターシャさん。しかしそのことがきっかけでナターシャさんの中で何かが「目覚めて」しまい、それ以来おしっこを我慢したり、わざと大量の水を飲んでまでおしっこを我慢したりするようになってしまったのだという。我慢しすぎておもらしすることもザラだとか。
「もう家族が学校に抗議しに行った時に弟がその先生に暴力を振るって、本当に大騒ぎだったのよ。」
「そうなんですか…」
「でもなんだかんだ、私の家族もそんな私を受け入れてくれたわ。」
でも後天的なものであるとはいえ、ナターシャさんはそんな自分を受け入れていることを察した。
ボクがおしっこを我慢できないのはほとんど先天的な理由だが、そんな自分を受け入れることができたのはこの世界に転生してからだ。
その後はナターシャさんと、英語街の話で盛り上がった。
ナターシャさんともすっかり仲良くなれた気がする。そういえばネルルやコトレフちゃん、カロルをはじめ、おもらしやそれにまつわる過去を持つ人たちと仲良くなっているボク。ナターシャさんともまた惹かれ合うものがあるのではないかとボクは思った。
「ナターシャさん。」
「未青くん?」
「ベルティコルディアや英語街、また来てみたいです!」
「Oh! really? ありがとう!絶対また来てね!」
「はい!」
「できれば今度は、女の子の服で来て欲しいな。女の子の服を着ている未青くんのこと、直接見てみたいわ。」
「はい…(苦笑)」
-新しい設定付き登場人物-
ナターシャ・ステファン (Natasha=Stephen)
フレインたちの世界でアスムールよりもずっと南東に位置する国「ルオルア公主国」出身の33歳。12年前にアスムール民主国に移り住んできて、舞嗣遠の英語街で一人暮らしをしている。癒師でもあり癒師歴は16年。フレインとは癒師の仕事をする中で知り合った。他にも癒師仲間が複数いる。
癒師の仕事がない時は英語街の中にあるレストラン「ベルティコルディア」でバイトをしている。夜はお酒も出すところなのだが、お酒には弱い。
英語と日本語、それにルオルア古代魔法語のトリリンガル。ただ日常ではほとんど英語しか話さない。
ルオルア1部リーグで活躍するサッカー選手の弟がいる。
思ったことは顔には出にくいが、動きには出やすいタイプ。
16歳の頃に海外旅行で訪れたアスムール民主国の自然や気候を気に入ったのが、移り住んだきっかけ。
14歳の頃、魔法専門学校の定期テスト中に尿意を催すも試験監督の先生にトイレに行かせてもらえずそのまま教室でおもらしをしてしまったことがきっかけで「目覚めて」しまい、それ以来おしっこを我慢する癖がついてしまった。我慢しすぎて漏らすことはもちろんのこと、わざと大量の水を飲んで我慢した末に漏らすこともある。尿意は感じにくい体質でトイレは近い方ではなく、膀胱は強い方。
性格:全体的に優しくマイペースな性格だが、先述の件もあってちょっと変態。
得意属性:花
身長:約160cm
日本語の一人称:私
誕生日:9月21日
好きな食べ物:フルーツ寿司全般・モンブラン
趣味:散歩・写真・料理・ショッピング・おしっこ我慢プレイ
得意料理:オムライス
特技:ラクロス・トランプを使ったマジック
好きなもの:花・綺麗な水・急にきた強い尿意
苦手なもの:蚊柱・シンナーの臭い・砂埃
トピックス:外国に住むルオルア人に密着する的なルオルア公主国のテレビ番組に出たことがある。
トピックス2:好きな下着の色はベージュ。
トピックス3: ベルティコルディアの常連客の息子(11歳)に恋愛感情を抱かれている。
-用語解説-
【ルオルア公主国】
フレインたちの世界の南の方にある温暖な国。褐色肌の人が多い。国土は東西に長く、アスムールから見た位置関係は、こちらの世界における日本とリオデジャネイロと同じくらい。
公用語:こちらの世界における英語と同じ言葉
通貨:ドラギ
人口:約580万人
首都:マクエザ
面積:263,709 km²
人口比率:魔法使い82%・そうでない人18%
【英語街】
フレインたちの世界にある公用語が英語の国や、アメリカやイギリスなど英語を話す国からの転生者が暮らしている街。アスムール国内にも舞嗣遠をはじめ数々存在する。
ちなみに得意料理についてはウェイターも調理を担当するという仕組みは、フレインたちの世界ではさほど珍しくない手法なんだそう。




