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Case 91「初めての授業」

入学式から数日が経ち、今日は初めての授業だ。

未青「行ってきまーす。」

フレイン「行ってらっしゃい未青くん。」


まだクラスに話せる友達はいないが、学校生活は楽しいと感じられているし、魔法の勉強についてもクルルスさんの授業で培った知識が役立つに違いないと思っている。


学校に着いたボク。1年4組の教室に入るボク。

コトレフ「あ、おはよう赤砂あかさご君。」

未青「おはよう。ラピールさん。」


席はやや離れている、コトレフ・ラピールさんが話しかけてくれた。ラピールさんは、入学当初からボクによく話しかけてくれている、黄色いショートヘアに緑色の瞳をした人で、なんと人間とエルフのハーフなのだ。


朝の会の前にトイレを済ませ、朝の会を経て9時15分。1時間目の授業が始まる。


授業は一コマ50分。1時間目の授業は龍人族語の授業だ。

ここに限らずこの世界の魔法専門学校の授業は、多種族の国らしく文系科目は様々な種族の独自言語が主で、それ以外はこの世界やアスムールの歴史や地理というくらいだ。理系の科目は魔法にまつわる科学や物理学・薬学などと言った具合だ。魔法薬学は一見すると専門的に見える科目だが、癒師の仕事中に大けがを負った場合などでその場にある植物や自分の持つ魔法で傷を治すことが起こり得るため、1年生からの必修科目なのだという。そして、さらにその他に魔法実習が入る感じだ。


龍人族語の授業。もともとクルルスさんとの授業でやっていた上に、AsアスAniアニMarketマーケットで前の世界で好きだったアニメの龍人族語吹き替え版を見ているところでまあまあ理解できてはいたから、授業にはついてくることができた。


コトレフ「赤砂あかさご君。」

未青「ラピールさん。」

コトレフ「どう?授業はついて来れてる?」

未青「うん。」

コトレフ「よかった。転生者さんだからちょっとその辺気になってて…」

未青「ありがとうラピールさん。」


クルルスさんと勉強していたことは、言わないでおいた。


その後は2時間目の魔法陣解読、3時間目の術式の授業と続く。


そして4時間目の授業。古代魔法語の授業だ。

古代魔法語。クルルスさんとの勉強でもよくやったから、ある程度は分かる。


先生A「赤砂あかさご君大丈夫?ついて来れてる?」

未青「はい。大丈夫です。」


しかし授業が始まった10分後…


(あっ…)

ボクの体に尿意が降りかかってきた。例に漏れず強めだ。その尿意は、時間が経つごとに強くなっている。膀胱の痛みも、それに比例して苛烈さを増していく。


(脚を震わせる未青)


すぐにでもトイレを言い出したい。でも言い出せそうな空気じゃない。前の世界でもそれで授業中におもらしをしてしまったことは今更数えきれないほどあったというのに。


(ジュウウ… ジュウウ…)

パンツに滲み出てきつつあるおしっこ。もう授業の内容は、完全に頭に入ってこなくなっていた。


そして…

(出ちゃう… 出ちゃう…! 出ちゃう…!!)

(ジュッ… ジュジュッ… ジュジュッ… ジュウウウウウウウウウウウウウ…)

何も言い出せないまま授業終了まで残り2分。ボクは席に座ったまま、おしっこを漏らしてしまった。


(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)

制服のズボンから溢れ出たおしっこが椅子の座面から床へと零れ落ちて行く。その音は教室中に鳴り響いた。


クラスメートたち「なんだ?なんだ?」

本来するはずのない水音にクラスメートたちがあたりを見渡す。


コトレフ「先生。あの、赤砂あかさご君が…」

ラピールさんがボクがおもらしをしたことを先生に報告する。

(席で俯いてうなだれる未青)

初めての授業の日に教室でおもらしをする。前の世界の中学校で初めて教室に顔を出した日も、こんな感じで早退だったことを思い出す。


先生A「あらあら… 赤砂あかさご君、一人で保健室行ける?」

未青「…」


みんなの前でおもらしをしてしまったボク。とてもじゃないが恥ずかしさやらパニックやらでゴチャゴチャなボクが、一人で保健室など行けるはずがない。でもその言葉すら、今のボクには出せない。


先生「じゃあラピールさん、赤砂あかさご君を保健室に連れて行ってくれる?」

コトレフ「分かりました。赤砂あかさご君、行こう。」

未青「うん…」


ボクはラピールさんと一緒に保健室に行った。

(終わった… 完全に終わった…)

なんてことをボクは考えていた。


エクシパ「こんにちは。どうしたの?」

コトレフ「赤砂あかさご君が、教室でおもらししちゃって…」

エクシパ「そうだったの。あなた私は『エクシパ・ジャローメノ』。よろしくね。」

未青「よろしくお願いします… 1年4組の… 赤砂あかさご… 未青です…」

エクシパ「その名前の感じなら転生者さんね。」

未青「はい… 2年前に転生してきました… ううっ…」

エクシパ「大丈夫よ。この学校でおもらししちゃった人は、君が初めてじゃないから。」


保健室のエクシパ・ジャローメノ先生に、保健室に来た理由を書く紙に記入する。その仕組みも、前の世界の学校とはあまり変わらないようだ。


そしてボクは、ジャローメノ先生が用意してくれた替えの制服のズボン・パンツ・靴下に履き替える。


エクシパ「気持ちが落ち着くまで、ここにいていいよ。」

未青「はい…」

ボクは保健室にしばらくいることにした。教室が今どのような様子なのかは、考えたくもなかった。


すると…

「ねえ赤砂君…」

ラピールさんが話しかけてきた。

「ラピールさん?」

「赤砂君… 実は私もね…」

「何?」

「時々おもらししちゃうことあるんだ…」

「えっ?」

「うん…」


それはいきなりのことだった。ラピールさんも時々おもらしをしてしまうことがあることを打ち明けた。


「この間の受験終わった後のトイレの個室の中や、あと入学式の帰り道でもおもらししちゃったんだ…(苦笑)入学式の時は制服のスカートぐしょぐしょにしちゃって…」

「大丈夫…?」

「今はね。」

「漏らすってどれくらいの頻度?」

「うーん… 最低でも月1は必ずってところかな…?」

「最低でも月1?大丈夫だよボクの方が漏らす頻度多いよ…?(苦笑)」

「大丈夫。私も一緒だから。」

「そうかな…?」

「うん!」

「じゃあ… 『コトレフちゃん』でどう?」

「いいよそれで!」

「ありがとう!じゃあさ、ボクのこと『未青くん』とかでいいよ!」

「そうする!」


ラピールさんは、ずっと保健室で一緒にいてくれていた。6時間目の授業の始まりとともに、ボクたちは教室に戻った。


ボクの授業中のおもらしがきっかけで深まった、ラピールさん、いやコトレフちゃんとの絆。何とも不思議なものだ。頻度はボクの方が上だが今でもおもらししちゃう人同士、きっと惹かれ合うものがあったのかもしれないとボクは思う。


6時間目の魔獣学の授業を終え、帰りの会を経て家に帰る。

未青「ただいまー。」

フレイン「おかえり未青くん。お母さんから聞いたけど授業中におもらししちゃったって?大丈夫だった?」

未青「うん。でもそれきっかけで、友達できちゃった!」

フレイン「友達できたんだ!凄いじゃん未青くん!」

未青「うん!クラスの女子なんだけどね―」


一時は終わったかと思ったボクの魔法専門学校生活。でもむしろ、これが本当の始まりなのかもしれない。


次の日。魔法薬学の授業中。

(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)

コトレフ「あのすいません… 未青くんが…」

先生B「ああ分かった分かった。ラピールさん、お願いできる?」

クラスメートB「またかよ赤砂あかさごのやつ…w」

未青「えへへ… またやっちゃった…(苦笑)」

コトレフ「じゃあ未青くん、保健室行こう。」

未青「うん…(照)」

-新しい設定付き登場人物-

コトレフ・ラピール (Cotref=Rapeal)

魔法専門学校での未青と同じクラスの少女。14歳。外見は人間と全く変わらないがエルフと人間のハーフ。一人っ子。

私学校時代はトップクラスの成績を誇るほど、勉強が得意。

実はトイレが近い体質で漏れそうになることが頻繁にある。だがおもらし・おねしょの頻度はいずれも最低月1回程度と、未青やネルルほどひどくはない。

性格:温厚で他人思いな性格だが、恥ずかしがり屋な一面もある。

得意属性:花・水

身長:約153cm

一人称:私

誕生日:7月30日

好きな食べ物:ミルクレープ

趣味:漫画・アニメ・ラノベ

特技:水泳

苦手なもの:尿意・ヘビ・寒さ

トピックス:7歳の頃にエルフとのハーフであることを理由にいじめに遭った過去があり、その時コトレフを守ってくれた友人とは今も関係が続いている。ちなみにアスムールではいじめは最低でも高額の罰金を支払う羽目になるほどの重罪。


エクシパ・ジャローメノ(Excipa=Jaromeno)

舞嗣遠魔法専門学校の養護教諭。33歳。魔法使いにして癒師でもあり、癒師歴は15年。

医療に関する知識が豊富で、舞嗣遠の病院・医療関係者とも顔が広い。

3歳年下の弟がいる。また生まれてからずっと舞嗣遠で暮らしている。

フレインとは舞嗣遠魔法専門学校の先輩後輩の関係。

性格:温厚な性格で、保健室を訪れた人のことには一生懸命な一面もある。

得意属性:花

身長:約158cm

一人称:私

誕生日:6月7日

好きな食べ物:バウムクーヘン・おにぎり

趣味:読書

特技:ジャズダンス

苦手なもの:ムカデ・集合体

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