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Case 84「魔法専門学校受験対策」

正月が過ぎ、ボクは本格的に魔法専門学校の受験対策に取り組んでいる。

そんなわけでクルルスさんの授業のペースも格段に増えた。バイトがあった日の夜も、クルルスさんの授業がある日もある。


(で… 出ちゃう… 出ちゃうっ…!)

(ジュジュ… ジュジュ… ジュウウウウウウウウウウウウウウ…)

(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)


そんなある夜のこと、ボクは授業中におもらしをしてしまった。


クルルス「あらあら未青くんまた?これで対策初日から6日連続だよ…(苦笑)」

未青「だって… 勉強たくさんしないといけないからトイレ行くタイミングなかなか掴めなくて…」

クルルス「あと5分ちょいだったのに…(苦笑)…」


クルルスさんの言う通り、授業中のおもらしはこれで6日連続。しかも今日は、休憩時間まであと6分というところでのおもらしだ。

センセイに促されシャワーを浴びに行くボク。クルルスさんとの授業の時に着ている制服風のコスプレ衣装のスカートは前も後ろもぐっしょり濡れている。


シャワーから出たボクは、替えのパンツとスカートとスパッツ・靴下に着替えて、ボクは授業に戻る。


「おかえり未青くん。じゃあ続きやろう。」

「はい…」


それから授業は夜9時少し過ぎに終わった。


「お疲れ未青くん。夜の授業慣れた?」

「はい… 6日経てば慣れる感じですね…」


夜の授業、最初の2日は少し疲れることこそあったが、今となっては全然苦じゃない。自慢じゃないが、毎日勉強するのが楽しいからだ。


「それはよかったわ。それでなんだけど未青くん、本番を想定したテストのことなんだけど…」

「本番を想定したテスト?」

「うん。慣れるまでに余裕持っておいた方がいいと思って。」

「はい… ボクの場合、緊張してトイレに行きたくなっちゃったら大変だし…」

「そうだよね…。だから早くても来週にはやろうと思って。」


クルルスさんから飛び出したその言葉、それは本番を想定したテストのことだった。

それを聞いてボクの中に、少し不安がよぎった。それはもちろん、試験中のトイレの問題だ。


「どうしたの未青くん?ちょっと不安?」

「はい… だってボク、トイレの問題があるから…」


実際2カ月に1回行われている定期テスト。その全ての回のテスト中におもらしをしてしまっているボク。

その上で魔法専門学校の試験中のトイレ。もし試験監督の先生が強制転移魔法を使える場合は、魔法で廊下に転移させてトイレに行けるのだが、そうでない場合は別の教室にいる強制転移魔法を使える先生が来るまでトイレに行けないと、センセイから聞いたことがある。

もしボクが強制転移魔法を使えない試験監督を引き当ててしまった場合は、万が一試験中にトイレに行きたくなったら、最初に尿意を感じたタイミング次第では、最悪試験中の教室でおもらししてしまうことだってあり得る。


「そうだよね… 実際未青くん毎回定期テスト中におもらししちゃってるしね…」

「はい… 解かなきゃ解かなきゃってなって気が付いたら我慢できなくなっちゃったりとか、その上で恥ずかしくてトイレ行きたいって言えなくて、結局…」

「どうしよう私強制転移魔法は使えないし… そうだ!」

「クルルスさん?」

「私の友達に、強制転移魔法を使えるって人がいるんだけど、彼女に監督やってもらった上でテストやるってのはどう?実際マホセン(魔法専門学校の略称)で試験監督のバイトやったこともあるよ。」

「そうなんですか?じゃあ…―」


ボクの中で一つの結論がまとまった、それは、「そのクルルスの友達に試験監督をさせて頂けるなら、本番を想定したテストも安心して取り組めそう」ということだ。


「―その人と一緒なら、テスト受けてみようと思います。」

「本当?」

「はい!」

「じゃあ明日本人に聞いてスケジュール調整するね。未青くんが次バイトない日っていつ?」

「はい。18日と22日と26日です。」

「分かった。その3日で予定合えば、その日にテストしよう。」

「分かりました。」


そして迎えた18日。センセイが今日のために用意してくれた男ものの制服のコスプレ衣装に身を通し、試験監督の人を待つ。


朝9時半頃。

(ドアのチャイムの音)

フレイン「はーい。」

時間的に試験監督の人で間違いはなさそうだ。センセイが玄関を開ける。


フレイン「あ!リセバルル!」

クルルス「おはよう。」

リセバルル「おはようございます。あなたが未青くん?」

未青「はい。」

リセバルル「私は『リセバルル・ピラッテ』。クルちゃんに頼まれてあなたの試験監督に来ました。よろしくね。」

未青「よろしくお願いします。」


リセバルルさんという人がボクの今日の試験監督。どうやらクルルスさんとは10代の頃からの付き合いのようだ。


家のリビングの中に教室のようなフィールドを展開するクルルスさん。ボクはトイレ済ませ、リセバルルさんと一緒にそのフィールドの中に入る。



「もし万が一トイレに行きたくなったら私に言ってね。」

「はい。」


こうして、テストが始まった。時間は60分だ。60分という時間は、大体の魔法専門学校の入試のテスト時間だという。


過去の舞嗣遠魔法専門学校の入試の過去問から、クルルスさんが選りすぐった問題が答案用紙に書かれている。1時間丁度の長さということもあって、問題数もかなり多い。古代魔法文字の問題・魔法の説明・魔導書の記述内容・魔法陣の文章の意味などなど…


思えば前の世界ので定期テストや入学試験を受けることなく病気で命を落とし、この世界に転生してきたボク。「定期テスト」や「入学試験」という概念は、実質この世界でやっと手にしたものだ。


(これが入学試験というものか…)と思いながら、ボクは問題を解き進める。


(あ!これこの間習ったやつだ!)


(これを、こうして…)


いろんな問題を、今まで習ってきた内容に合わせて応用する。覚えているか怪しかったがために一応昨日復習したところも、バッチリ応用できている(と思う)。


それから30分が経過した。

(あっ…)


突然ボクの体に尿意が走った。

その瞬間、ボクの時間認識が、「もう30分経った」から「まだ30分ある」に変わってしまった。悪い意味で。


ボクは尿意を振り切り、問題を解き進める。尿意に意識を取られたせいで、問題を解く速度は若干下がってしまったが。


それからさらに20分ほどが経ち、残り10分。


(よし。これで全部だ。)

問題を全て解き終えたボク。しかし…


(ええっ… うそ…)

問題を解き終えて安心したからなのか、一気に尿意が強くなった。膀胱の痛みも格段に激しくなった。


(もう我慢できない…)

そう思って、ボクはリセバルルさんにトイレを訴えようとした。もうあと残り10分も持たないのは明らかだ。


(…)

トイレを訴えようとしたその瞬間、ボクの口が動かなくなるような感じがした。初対面の人にトイレを訴えるのが恥ずかしくなってしまったのだ。こんな感じでセンセイやフィオさんにトイレに言い出せなかった末、おもらしをしてしまったというのに。


(なんで… なんでだよ… なんで言い出せないの…?)

言い出せば言い出そうとするほど、恥ずかしいと思う気持ちと尿意はどんどん高くなっていく。


(ジュ… ジュウウ…)

ついにはおしっこがパンツにチビり始めてきた。明らかにもう10分も持たないのは火を見るよりも明らかな状況なのに、ボクはリセバルルさんにトイレを訴えることができなかった。


そしてついに…

(で… 出ちゃう…! 出ちゃう…!!)

(ジュウウ… ジュウウウ… ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウ…!)


あと残り3分というところで、ボクの膀胱はタイムリミットを迎えた。

(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)

椅子の上からおしっこが床に零れ落ちる音が、フィールド中に鳴り響く。リセバルルさんがびっくりした空気になっていることを感じ取るのがやっとという状態だ。


「み、未青くん… 大丈夫…?」

(首を横に振る未青)

「トイレ行きたくなったら言ってねって言ったのに…」

「ごめんなさい… トイレ行きたいって言うのが恥ずかしくて、なかなか言えなくて…」

「そうだったのね。テストはそこまでにして、ここを出よう。」

「はい…」


テストはここで打ち切りになった。ボクはリセバルルさんと一緒に、フィールドを出た。履いていたズボンもパンツも靴下も、すっかりぐしょぐしょだ。


フィールトを出たボクたちを迎えてくれたのは、心配そうな顔をしたセンセイとクルルスさんだった。


フレイン「未青くん…」

クルルス「大丈夫…?」

(首を横に振る未青)


リセバルル「未青くん、『トイレ行きたい』って言えなかったみたいで…」

フレイン「やっぱりそのパターンだったのね… おいで。未青くん。」

(フレインに抱き着く未青)


未青「うぅぅ… うわぁぁぁぁぁぁぁー!」

ボクはセンセイに抱き着いて泣いた。おもらしして泣くのなんて、いつぶりだろうか。


ボクの頭を優しく撫でるセンセイ。リセバルルさんもボクの頭を優しく撫でる。

「大丈夫だよ未青くん。クルちゃんも実はね、私学校通ってた頃テスト中にトイレ行きたいって言えなくておもらししちゃったことあるんだよ。」

「言わないでそれ~!」


フレイン「とりあえずシャワー浴びに行こうね。」

「うん…」


シャワーを浴びるボク。シャワーから出た少し後に、リセバルルさんは帰っていった。


クルルス「リセバルルから聞いたわ。未青くん凄いじゃない。テストの問題全部埋められたんだって?」

未青「はい… せめて全部埋めてからトイレに行こうって思ってて… 結局、言い出せなくておもらししちゃったけど…」

クルルス「偉いわ未青くん。おもらしはともかくとして、未青くんのそういうところ、プラスになるんじゃないかな?」

未青「本当…?ですか?」

クルルス「うん。思ってたけど、未青くんってとっても真面目なのね。」

未青「ありがとう… ございます…!」


「真面目だ」と言われたボク。こんなことを言われたのは初めてで最初は少しびっくりしたが、時間が経つにつれボクはそれが嬉しくなってきた。


22日。

「この間のテスト返すわね。」

「はい。」


返ってくるテスト。いつもの定期テスト以上にドキドキする。


(おそるおそる答案用紙を開く未青)

記述問題で説明不足だったところが少なからずあったようで、点数は78点だった。


「もう少し頑張れば余裕で合格できるレベルだよ。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「これからも勉強頑張ろうね。」

「はい!」


ボクの中で、魔法専門学校の受験に対する自信が、一気に高まった。


-新しい設定付き登場人物-

リセバルル・ピラッテ(Risevalulu=Pilatte)

クルルスの友人で癒師。22歳。癒師歴は10年強。

クルルスとは私学校時代からの友人。またフレインとも面識がある。

性格:包容力のあって優しい性格だが、勢いのある一面もある。

身長:約168cm

誕生日:11月9日

得意属性:木

好きな食べ物:たこ焼き・カレー

趣味・特技:漫画・競技かるた

苦手なもの:ネズミ・蚊

一人称:私

トピックス:クルルスのテスト中のおもらしの過去を暴露しているものの、リセバルル本人もクルルスに出会う前に私学校の授業中におもらしした過去がある。

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