Case 82「クリスマスのカレンデュラ」
未青「おはようございまーす。」
ベルーザ「あ、未青くんおはよう。」
ボクがこの世界に転生して2度目のクリスマスを迎えた。昨日舞嗣遠に初雪が降ったこともあって、町は真っ白だ。ボクは雪を踏みしめてカレンデュラに来た。
ベルーザ「あ未青くん。今日は服特別なものだから。」
未青「特別なもの… ですか?」
ベルーザ「うん。クローゼット見れば分かるから。」
未青「はい…」
ベルーザさんから聞かされたように、今日の制服は特別なものであるという。
「特別な服… 一体なんだろう…」と思いながら、ボクは更衣室へ向かった。
クローゼットの戸を開けるボク。そこには…
(そういうことか!)
クローゼットの中にあった特別な制服。それはなんとサンタクロースのコスプレ衣装だった。ワンピースのようなもので、スカートの丈は短い。ストッキングはそのままだ。
(早速着るか。)
(女物であることは置いておくとして)サンタ衣装を着るなんて、ボクにとって生まれて初めてだ。
着替えたボクはホールへ向かう。ホールではみんなが待っている。
ホールに着いたボク。ホールはクリスマスの飾り付けがなされている。
セレスティーヌ「おはよう未青ちゃん。」
ルキ「未青ちゃんおはよー。」
ハミン「メリークリスマス!」
レクファニー「おはよう。」
今日はクリスマスだというのにフルメンバーだ。ボクより少し遅れてホールに来たマリーユさんに聞いたところによると、どうやらボク以外のみんなは「クリスマス当日は特別な制服を着る」という話を聞くや否や、こぞって休みを調整して来ることにしたそうだ。
「ああなんかこの間ボク『クリスマスは絶対来て!』って言われたのそういうことだったんだ…」
「そういうこと(笑)」
ラジオ「シトリン酒造が、10時をお知らせします。」(オーソドックスなラジオの時報音)
こうして、今日も仕事が始まった。
未青「いらっしゃいませー。」
クリスマスにして今日は日曜日。それだからか開店からお客さんがいつもの日曜日と比べて多く来ている。
客A「あらサンタさんの格好してるしてるわね。可愛いわ。」
未青「あ… ありがとうございます(照)」
客A「あらあら。恥ずかしがらなくていいのよ。」
サンタ衣装を褒められたボク。サンタ衣装が女ものであるのも相まって、ボクはちょっと恥ずかしかった。
(カウンターに移動する未青)
レクファニー「私さっきこのサンタさんの服お客さんに褒められちゃった。未青ちゃんはどうだった?」
未青「ボクもだよ。」
ハミン「やっぱり?未青ちゃんが一番似合ってる気がする。」
未青「そうかなあ…?」
仕事を続けるボク。みんなクリスマスの雰囲気を味わっている様子だ。
客B「クリスマススペシャルミラノサンドと、あとブレンドコーヒーをお願いします。」
未青「分かりました。」
今日限定のメニューもある。「クリスマススペシャルミラノサンド」やら「スノーケーキ」やら、いろいろだ。カレンデュラもかなりの力の入れようであることがボクも窺えた。
未青「お待たせしました。こちらクリスマススペシャルミラノサンドとブレンドコーヒーです。」
客B「ありがとうございます。ではいただきます。」
未青「ごゆっくりどうぞ。」
カウンターに戻る途中…
女の子「あーこのお姉さんもサンタさんの服着てるー。可愛い。」
突然親子連れのお客さんの女の子に話しかけられたボク。さっきみたいに恥ずかしかったが、なんだか嬉しかった。
(ボク本当は「お兄さん」なんだけどなあ…(苦笑))
と、心の中で思ったが。
時間は流れ、11時半過ぎのことだった。
(店のドアが開く音)
未青「いらっしゃいませー。」
お客さんが食べたお皿を下げながら、新しく来たお客さんに挨拶をするボク。
ボクはそのお客さんの方を見た。すると…
「未青くん。やっほ。」
「センセイ!フィオさんも!」
そのお客さんはセンセイとフィオさんだった。
フレイン「ベルーザから聞いたよ。今日はサンタさんの格好してるって。」
未青「うん。」
フレイン「フィオも連れて来ちゃった。」
フィオ「久しぶり。未青くん。」
未青「お久しぶりです。」
フィオ「ここが未青くんのバイト先か。初めて来るけど本当に良い雰囲気のカフェね。」
未青「ありがとうございます。空いてる席にどうぞ。」
フィオ「分かったわ。」
ボクがそう案内すると、2人は窓際の席に座った。2人の注文はハミンちゃんが取りに行った。
ハミン「未青ちゃん未青ちゃん、ウィンガーウルフドッグ2つ持ってきてくれるかな?」
未青「うん。センセイとフィオさんそれ頼んだの?」
ハミン「そうだよ。」
ボクはバックヤードに入り、キッチンにウィンガーウルフドッグを2つ取りに行った。
キッチンに入ったボク。そこにはたくさんのウィンガーウルフドッグがあった。
ベルーザ「あら未青くん。ウィンガーウルフドッグ取りに来たの?」
未青「はい。こんなにあるなんて…」
ベルーザ「だってクリスマスだもん。たくさん用意しなきゃ。バイト終わりのタイミングでいくつウィンガーウルフドッグいくつ売れたか教えてあげるから。」
未青「分かりました。なんだか楽しみです。」
その後ボクは持ってきたウィンガーウルフドッグの2つハミンちゃんに渡した。ハミンちゃんはそれを2杯のカフェオレと一緒に、センセイとフィオさんの席に運びに行った。
ハミン「ご注文のカフェオレと、ウィンガーウルフドッグです。」
フィオ「ありがとうございます。」
フレイン「ありがとう。」
ボクはその様子をカウンターから見ている。するとセンセイはそれに気づいたのか、ニコッと笑って少し手を振った。
(フレインに向けて少し頷く未青)
その後も仕事は続く。昼休みに入ったのは12時半過ぎだった。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい…!)
(トイレのドアが閉まる音)
仕事もいつもより30分長い上に忙しい。トイレに行く暇なんてなかったから、ボクはおしっこが限界だった。
トイレに駆け込むボク。そんなボクは今日は珍しく、1滴もチビらずに間に合った。
(トイレから出てくる未青)
セレスティーヌ「未青ちゃん、トイレ間に合うなんて珍しいね。」
未青「えへへ…(苦笑)でもかなりヤバかったよ。漏れちゃうかと思った…(照)」
昼ご飯を食べた後、1時15分に午後の仕事だ。
ベルーザ「ごめんね昼休みいつもより短くて。」
ホールに戻るボク。センセイとフィオさんがいた席には別のお客さんがいた。どうやら2人は昼休みの間に帰っていたようだ。
未青「いらっしゃいませー。」
午後の仕事が始まって、30分ほどが経った時のことだった。
(あっ…)
ボクの体に尿意が走った。しかも強めだ。
さっきトイレに行ったボク。どうも限界まで我慢した直後は、(間に合ったか間に合わなかったかに関係なく)またおしっこがしたくなる。
(どうしよう…)
今すぐにでもトイレに行きたいボク。トイレに行きたいと感じてからまだ5分近くしか経っていないが、膀胱が激しく痛んでいる。
未青「ありがとうございました。」
お客さんが食べ終わった食器を下げてカウンターに戻るボク。
「ハミンちゃん…」
「未青ちゃん、どうかした?」
「ボク、トイレ行きたい…」
「未青ちゃんトイレ?困ったなあ今未青ちゃんがここ離れたらカウンター私一人になっちゃう…」
「そんな… も、漏れちゃう…」
「んー… とりあえず、ルキかセレちゃんが戻って来るまで我慢できる?未青ちゃん?」
(首を振る未青)
「分かった。テレパシーで2人には伝えておくから。」
「うん…」
お客さんに見られているかもしれないから、大事なところを押さえることはできない。ボクは今にも力尽きそうな膀胱括約筋に必死に力を込めながら我慢を続けた。
「とりあえず未青ちゃんはここにいて。もしお客さんの前でおもらししちゃったら大変だから。」
「わ、分かった。」
(ジュウウ…)
ハミンちゃんに返事をした直後、ボクはパンツにおしっこを少しチビってしまった。
(ジュウウ… ジュウウ…)
その後もパンツにチビり続けるおしっこ。膀胱括約筋に必死に力を入れながら、ボクはルキちゃんかセレちゃんがホールに戻ってくるのを待ち続けた。
ハミン「ルキがもうすぐ来るよ。未青ちゃん、もう少し頑張って。」
未青「うん…」
それからしばらくして、
ルキ「お待たせー。」
ルキちゃんがホールに戻ってきた。ボクの膀胱は括約筋に力を込めるだけで我慢できる段階をとうに超えている状態で、チビったおしっこでパンツが濡れている感覚も、はっきり分かるほどだった。
ルキちゃんがホールに入った、その直後だった。
(…!!)
ボクの体に、膀胱を起点とした苛烈な痛みが走った。そして…
「あっ… あああっ…!」
(出ちゃう…!出ちゃう…!!)
(ジュジュッ、ジュジュッ、ジュウウッ、ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…)
ボクはとうとう我慢していたおしっこを漏らしてしまった。ルキちゃんの目の前、しかもホールで。
ルキ「み、未青ちゃん!?だ、大丈夫?」
(首を横に振る未青)
ハミン「とりあえず私が伝えるね。」
ハミン・通信魔法で「ベルーザさん… 未青ちゃんがカウンターでおもらししちゃった…」
ハミン「とりあえず未青ちゃんはシャワー浴びてきて。未青ちゃん戻ってくるまでマリーユさんが入ってくれるから。」
未青「ありがとう…」
パンツとストッキングがぐしょぐしょの状態で、ボクは一人シャワーを浴びに行った。
(未青の泣き声)
ボクはシャワーを浴びながら泣いた。
シャワーから出たボク。そこにはセレちゃんがいた。
「セレちゃん…」
「未青ちゃんとっても頑張ってたね。」
「えへへ… おもらししちゃったけどね…」
「いいのいいの。私だってよく(おもらし)しちゃうんだから。」
「そうだね(笑)」
ボクは仕事に戻った。その後はバイト終わりの4時までノンストップで仕事を続けることができた。
ベルーザ「そうだ。ウィンガーウルフドッグの売れた数なんだけど…」
未青「一体何個だったんですか?」
セレスティーヌ「気になる気になるー!」
ベルーザ「今現在で300個。」
ハミン「300個とか凄い…!」
ルキ「みんな考えることは同じみたいだね。」
ルキちゃんの言う通りだとボクは思った。
未青「じゃあねみんな。」
セレスティーヌ「また明日ね。」
家に帰るボク。
「ただいまー。」
「おかえり未青くん。」
センセイが出迎えてくれた。
「そうだセンセイ。今日カレンデュラね、ウィンガーウルフドッグ300個も売れたんだよ。」
「300個も!?凄いじゃん!」
「うん。ルキちゃんも言ってたけど、みんなクリスマスはウィンガーウルフ食べるのかな?」
「そうみたいだね。帰り際寄ったアクセサリー屋さんの近くに会ったハンバーガー屋さんも、ウィンガーウルフの肉使ってるバーガーが大好評でそれだけ1時間待ちになってたよ。」
「そうなんだ…」
その後の晩ご飯は、やはりと言うべきかウィンガーウルフのローストだった。
未青「いただきまーす!」




