Case 77「はじめての魔法専門学校」
「あっ… ああっ… あっ…」
(ジョロロロロロロロロロロロ…)
ある日、ジョギング中に尿意を催したボクは珍しく家まで我慢できたものの、間に合わずトイレのドアの前でドアノブの握りしめたままおもらしをしてしまった。
「あらあら。シャワー浴びて着替えよう。」
「うん…」
センセイに言われるがまま、シャワーを浴びて部屋着に着替える。その後は朝ご飯だ。
「いただきます。」
すると、センセイがこんなことを言い出した。
「そうだ未青くん。未青くんってあと半年くらいで転生してきてから2年経つよね?」
「うん。センセイ、2年経ったら何かあるの?」
「今それ言おうとしてたとこ。2年経ったらね、魔法専門学校に入れるんだ。」
「魔法専門学校!?魔法専門学校ってあの?」
「そうだよ。転生者の人はね、転生してから2年経った年の4月に魔法専門学校に入れるの。未青くんが転生したのは去年の4月だったから、来年は受けられるんだ。」
「そうなの!?」
魔法専門学校。センセイから話だけは聞いている。その名の通り魔法を学ぶための専門学校で、数々の上級魔法を学ぶこともできる場所だ。魔法を勉強することが好きなボクにとっては、憧れの場所と言ってもいい。
「ねえねえセンセイ、その魔法専門学校で何かあるの?」
「うん。今度の週末文化祭があるんだ。未青くんも行く?」
「うん!行く行くー!」
こうして、ボクは魔法専門学校に行くことが決まった。
そして、週末。
「じゃあ未青くん行くよー。」
「うん!じゃあシャピアさん、行ってきます。」
「はい。行ってらっしゃい。楽しんでくるのよ。」
「はーい。」
センセイと一緒に魔法専門学校へ。舞嗣遠駅南口からバスに乗っておよそ15分のところに、魔法専門学校はある。
バスを降りるボクたち。「舞嗣遠魔法専門学校」に着いた。
「これが文化祭かー。」
「未青くん文化祭に参加するの自体初めてだよね?」
「うん!アニメとか漫画とかでは見たことあるけど。」
出店がたくさんあって、非常に楽しい雰囲気だ。
「まずどこから回る?」
「じゃあ…」
パンフレットを見るボク。
「じゃあ、とりあえず漫画研究会見に行きたい。」
「漫研ね。実はここの漫研、この世界で人気の漫画家さん何人か輩出してるんだよ。」
「本当!?」
「うん!」
ここの漫研には、この世界で人気の漫画家を何人か輩出しているという。更に楽しみになってくる。
魔法専門学校の3号棟。センセイによると部活動の部室に使われている部屋が大多数を占めている建物だ。漫研のブースはそこにある。
ブースに入るボクたち。
漫研部員A「こんにちはー。」
部室の中には、漫研の人が描いた漫画やイラストが並んでいる。
(これ面白そう。)
ボクは1冊の冊子を手に取った。漫研の人が描いたオリジナルの読み切り漫画の本だ。
その漫画は魔法アクションものの作品だった。それを読んでいると…
漫研部員B「こんにちは。」
未青「あ… こんにちは…」
漫研部員B「あなた、好きな漫画はありますか?」
未青「はい!『ハングアウト1440』です。単行本全部持ってます!」
漫研部員B「あららハンフォー好きなんですか?私の妹も大好きで、単行本全巻やらアニメの円盤やら、後特典も全部持ってるんですよ。」
未青「そうなんですか!ボクは特典までは持ってないなあ…」
漫研部員B「それでもあなたと話合うかもしれませんね(笑)」
未青「はい!」
その後ボクはその人から、この漫研を出た漫画家さんの話をされた。どれもアニメ化やドラマ化もされている作品で、ボクも聞いたことのある作品ばかりだった。その人が手掛けた漫画も読んでみたくなった。
それにオリジナルの漫画も面白かった。その後ボクたちは漫研の部室を後にする。
その後ボクたちは、漫研でのハングアウト1440の話をした流れでスケートボード部を見に行った。
未青「こんにちはー。」
スケボー男子部員「あ!こんにちは!」
女子部員「試しにボードに乗ることもできますよ。」
フレイン「どうする未青くん?やってみる?」
未青「うん!お願いします!」
試しにスケボーに乗ってみたものの…
「あああっ!」
結構バランスが必要で大変だった。
未青「結構… 大変ですね…」
女子部員「最初はみんなそうですね…(苦笑)」
すると付き添ってくれた部員さんは、こんなことを聞いてきた。
「ところであなたは何がきっかけでここに来たんですか?」
「はい。漫研でハングアウト1440の話をそこの部員さんとして、それがきっかけで見に行きたくなって…」
「そうなんですか!?私実はそれ(ハングアウト1440)きっかけでスケボー始めたんです!原作から追ってて!」
「そうなんですか!?ボクはアニメから入ったんですが。」
「アニメからですか。私含めここにいる部員のほとんどが、ハングアウト1440きっかけでスケボー始めたんですよ。」
「そうなんですか。確かに結構スケボーの技リアルに描かれてますよね。」
「そうそう!しかもそれきっかけでスケボー始めた、他の(魔法専門)学校とかのスケボー部員にも多く会ってきました。」
「そうなんですか!?影響力凄い…」
ハングアウト1440は、どうやらこの国のスケボー界に地味に大きな影響を与えたという。ボクは特にその辺は意識して見たり読んだりはしていなかっただけにびっくりだ。
「本当に楽しかったです。」
「よかったら部活入ってね。」
「考えてみます…」
ボクがこの部活でやっていけるかどうかは不安だが。
その後は露店で焼きそばとたこ焼き、それにパンケーキを買い、センセイと2人で食べた。ちょうど食事時とも言える時間だからか、露店はどこもとても並んでいた。
2人「ごちそうさまでした。」
来場者A「あの2人礼儀正しいな。」
来場者B「姉妹かな?」
その後は進学説明会だ。ボクたちが今日ここに来た一番の目的だ。
トイレを済ませ、席に着くボクたち。
そして午後1時半。進学説明会が始まった。
いろいろ学校に関する説明を受けた後、受験方法に関する説明が始まった。
ここ、というかこの国ほとんどの魔法専門学校の入試には、前の世界でも聞いたことがある推薦入試や一般入試、それにAO入試の他にも、ボクみたいに家庭教師から勉強を習っている人には家庭教師の人から推薦してもらうという、「家庭教師推薦」という仕組みもある。
それを聞いたボクは、「ボクの場合はクルルスさんに推薦して頂くことになるな」と思った。
それからしばらく話は続く。今までの合格率やら、過去問の入手方法やら、いろいろな情報が出てくる。
その最中で…
「あっ…」
ボクはトイレに行きたくなってしまった。この進学説明会は、後30分近くある。
かれこれ30分経って進学説明会は終わったが…
ボクの膀胱はもう限界のレベルになっていた。
続々と進学説明会に参加していた人が席を立ち会場を後にする。しかし出口に近い左の方の席から順番に退出するから、右の方の席に座っているボクたちはまだ席を立つまでに時間がかかる。
「センセイ…」
「未青くん?どうしたの?」
「トイレ…」
「あらあら。まだ我慢できそう?」
(首を横に振る未青)
「大変… この席だから出られるまでにまだ時間かかりそうだね…」
「漏れちゃう… 漏れちゃう…」
「おもらし」という言葉が頭に揺らめくボク。「椅子に座ったままでのおもらしだけは避けたい」とボクは思っていた。もしここで椅子に座ったままでおもらししたら、前の世界での中学校の入学式の時と変わらないからだ。
それからさらに数分が経ち、ボクがいる列が退出する番になった。
しかし…
「未青くん、私たちが出る番だよ。」
「…!」
膀胱の痛みは苛烈さを増し、立ち上がることができないほどになっていた。
そしてついに…
(出ちゃう…! 出ちゃう…!)
(ジュジュッ、ジュジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュウウウウウウウウウウウウ…!!)
ボクは結局、椅子に座ったままおしっこを漏らしてしまった。
「未青くん… 大丈夫?」
(首を横に振る未青)
周りはボクのおもらしで騒然としている。
スタッフ「こちら、私たちで片付けますね。」
フレイン「ありがとうございます。」
ボクたちは逃げるように会場を後にした。その後はトイレで、センセイが家から転送してくれた替えのズボンとパンツに履き替える。
「センセイ。」
「着替え終わったのね。じゃあ行こう。」
「うん。」
その後は露店でハニートーストを買って食べた後、アンケートを記入する。。
最後の欄の楽しかったかどうかの質問には、10段階中10(最高)の評価をつけた。
家に帰るボクたち。とにかくボクには1つの目標ができた。
それは、「この舞嗣遠魔法専門学校に入る」ということだ。




