Case 70「短い浴衣 ネルル編」
(ピンポーン)
未青「はーい!」
今日はネルルが家に来る日だ。午前10時ごろ、ドアのチャイムが鳴ったのが聞こえたボクは1階の玄関まで急ぐ。
ドアスコープで外の様子を見るボク。間違いなくその姿はネルルだった。
「!」
しかもネルルは水色と黒のチェックのスカートを履いている。夏っぽくて可愛い。
「ネルルー!」
「未青!」
「待ってたよネルル!そのスカートめっちゃ可愛いじゃん!」
「ありがとう未青。ユイ姉とレイ姉がさ、『未青くんの家に行くならスカート履いてけ』とか言ってさあ…(苦笑)」
「そうだったんだ(笑)」
ネルルは手洗いうがいを済ませ、ボクと一緒に部屋へ向かう。その部屋にはセンセイがいる。
「あ。フレインさん。こんにちは。」
「こんにちはネルルくん。」
するとセンセイはこう続ける。
「ねえ、ネルルくんに見せたいものがあるんだけど…」
センセイはそう言うと、クローゼットを開ける。それはおとといボクが選んだ短い浴衣だった。
「これは?」
「浴衣だよ。」
「一応確認ですけど、これ、俺が着るんですか?」
「そうだよ。黒いのは未青くんがもう選んだから、それ以外を選んで欲しいんだけど。」
「俺が着る!?」
ネルルはとてもびっくりしていた。まあ今履いているスカートより短いんだ。無理もない。
「うん。未青くんも選んだから、せっかくだからネルルくんにもおすすめしてあげたくて。」
「ボクの提案だよ。ごめんねネルル。話すの遅くなっちゃって。」
短い浴衣をネルルにも選んで欲しいから。それが今日ボクがネルルを家に呼んだ理由だ。
「未青も関わっていたのか… マジかよ…」
未青「でも着てみてよ。可愛いから。」
ネルル「確かに見た感じ可愛いし、俺自身スカート履くのに最近抵抗はなくなってきつつあるはあるけど… こんな短いのはちょっと…」
未青「大丈夫だよ。ここにいるのはボクたちだけなんだから。」
ネルル「いいけど… 本当に基準厳しいからねそれ着て行くかどうかの判断基準。」
ネルルはとりあえず、浴衣を試着はしてみることにした。ちょっと嬉しくなった。
「未青が俺にこういうの着させる日が来るだなんて思ってもなかったよ…」
「ネルル、とりあえずどれにする?一つだけでもいいんだけど。」
「じゃあ… 赤いやつにしようかな…」
「やったあ。ボクもこれおすすめだよ。」
「俺浴衣は藍色入っているのが好きなんだけどな…」
ネルルは赤い地に白い花の柄、それに紫の帯がついたものを選んだ。
フレイン「ネルルくん帯は巻ける?」
ネルル「男ものの帯は巻けるかもしれないけど… 女ものは…」
フレイン「そうだよね。じゃあ私が巻いてあげる。」
ネルル「ありがとうございます… でも…」
フレイン「ん?ネルルくんどうしたの?」
ネルル「まあ俺も未青みたいにスカートの中にスパッツ履いてるけど、やっぱりフレインさんの前で服脱ぐのはちょっと恥ずかしいです…」
フレイン「じゃあ迷彩魔法かければいいよ。」
ネルル「ありがとうございます… じゃあそうしよう…かな…?」
ネルルは自分に迷彩魔法をかけ、服を脱いだ。
服を脱ぎ終えたネルル。
「脱ぎました。」
「じゃあ行くよ。」
センセイはネルルに浴衣を着せる。その様子はさながら、透明人間に浴衣を着せているかのようだ。
未青「迷彩魔法ってこんなこともできるの!?」
ネルル「俺だって初めてだよこういうの。」
「これを… こうして…」
帯を結び終わった。
「できたよー。」
浴衣を着せ終えたセンセイ。あとはネルルが迷彩魔法を解くだけだ。
「じゃあ魔法解きまーす。」
ネルルは迷彩魔法を解いた。
「わぁ… ネルル可愛い…」
「余計恥ずかしいわ。ただでさえ思った以上に裾短いってのに。」
ボクより若干背が高いネルル。ネルルも太もものほとんどが露出していた。そのネルルは両手で浴衣の裾を押さえている。とても恥ずかしいと思っているのは容易だ。
ネルル「ただでさえ慣れてきているとはいえ、俺スカート履く時って毎回少し勇気出してるんだからな…」
未青「似たようなものじゃん。」
ネルル「この浴衣なんかなおさらだよ。さっきのスカートよりも短いわ!未青も見比べりゃ分かるでしょ!」
ネルルに言われる通り思い出してみた。確かに太ももの露出範囲は浴衣の方が断然広い。
「まあ確かに可愛いけど…」
とネルルは言う。
「本当!?よかった。」
「じゃあネルル…」
ボクもセンセイも、ネルルに「一つと言わずもっと着て」という眼差しを向けた。
「分かったよ未青… じゃあフレインさん、次がラストで。お願いします。」
「やったあ!うん。次も手伝うよ。次はどれにする?」
「じゃあ… 水色のにします。」
ネルルは水色の地に白い花の柄、それに黄色い帯がついたものを着る。ネルルはまた自分に迷彩魔法をかけて透明になると、浴衣の帯をほどいて浴衣を脱ぐ。
「じゃあ行くよ。」
「はい。」
センセイはネルルにまた浴衣を着せる。
「ねえネルル。ネルルってスカート履いて行動している時に学校の人に会った… っていうか遭遇したことってある?」
「ああ… 2回くらいあったけど、いずれもバレてなかったなぁ…」
「そうなの?」
「多分『どっかで見覚えのあるような感じがする女の子』ってスルーされたのかなぁ…」
「確かにそうだね。ネルル、スカート履いてても違和感全くないし。」
そうこうしている間に浴衣を着終わる。
「できたよー。」
迷彩魔法を解くネルル。
「どうかな?未青。」
「うん!水色の浴衣も可愛い!」
「ありがとう。でもやっぱり…」
「やっぱり?」
「丈が短い… 太ももがまたスースーする…」
ネルルはまた両手で浴衣の裾を押さえた。
「浴衣姿のネルルも可愛いな。そうだ。ネルルって普段どんな浴衣着てるの?」
「ああ。確か写真があったよな…」
ネルルは持ってきたSurprushをボクに見せてきた。写真データを見せるという。
「これなんだけどさ…」
「どれどれ…」
ネルルは去年の川祭りの時の写真を見せた。ネルルは白地に藍色の模様が入った、カッコいい浴衣を着ている。
「ネルル!これめっちゃカッコいいじゃん!」
「ありがとう未青。でも俺その写真撮った後…」
「撮った後?」
「おもらししちゃったんだ… トイレめっちゃ並んでて… 我慢できなくって…」
「あらら。実はボクも去年川祭り行ったんだけど、トイレ見つけられなくてやっちゃった…」
「やっぱり未青も?」
「うん…(苦笑)」
ネルルは浴衣を脱いだ。実はさっき話していた時スパッツが見えていたことは、言わないでおいた。
「で話は戻るけど、ネルルはどっちの浴衣着る?」
「うーん…」
ネルルは悩んでいる。
「やっぱり… 俺が持ってる男ものの浴衣着ることにするよ。わざわざ着せてもらったのにすいません。フレインさん…」
フレイン「あらら。」
未青「な~んだ。」
ネルルは結局、普通の男ものの浴衣を着ることにした。
「だって、もし学校のやつにスカートみたいな浴衣着ているの見られたら恥ずかしいから…」
「でも今日ネルルスカート履いてるよ。」
「そういう問題じゃねえよ… スカートより短いってさっき言ったじゃん…」
でも、ネルルと一緒に川祭りに行けるとなれば、楽しみだ。
「ネルル、川祭り、楽しみだね!」
「ああ。」
思えば2話連続でおもらしをしていない未青くん。
でもご安心(?)を。次回はちゃんと(?)おもらししますので、お楽しみに。




