Case 69「短い浴衣」
舞嗣遠川祭りが迫っている。今年はいつも通り、8月の中旬だ。
そんなある日のこと。
未青「ただいまー。」
フレイン「おかえり未青くん。あらスカートぐっしょりじゃない。おもらししちゃったの?」
未青「うん… 家まであと少しってところで出ちゃった…」
バイトから帰って手洗いうがい、それにシャワーを浴びる。その後は晩ご飯の支度の手伝いだ。
そして、晩ご飯の後のこと。
「ねえねえ未青くん?」
「なあに?センセイ。」
「ちょっとこれ見て欲しいんだけど。」
センセイはボクに見せたいものがあるという。見てみると…
「これ?」
「うん。」
「なんか、凄く短いね…」
それはなんと、ミニ丈の浴衣だった。5種類ある。
「私が10代の頃に着てたやつなんだけど。」
「これを、ボクが着るの?」
「そうだよ。未青くんなら似合うんじゃないかなって思って。」
「ええ… でもこれ、かなり短いよ…」
ボクはこの浴衣の丈の短さを見て恥ずかしくなった。今もミニスカートを履いているからそのミニ丈の浴衣を着ること自体には抵抗はないが、これほどの短さでは、スカートの中に吐いている一分丈のスパッツが見えてしまうかもしれないからだ。
「いいじゃん。未青くん今ミニスカ履いてるし。」
「これより短いかもしれないよ!?スパッツ見えちゃうよ!?」
「大丈夫。見た感じそのくらいじゃないから。」
「そう…?」
センセイはスパッツが見えてしまうほど短くはないと言うが、やっぱり抵抗はある。
「実際未青くんショートパンツならめっちゃ短いの履いたことあるじゃん。」
「あれはズボンだからまだよかったんであって… まあ着てはみるけど…」
とりあえず、物は試しということでその短い浴衣を着てみることにした。
「まずはどれにする?」
「じゃあ… これにする。」
ボクはまず赤い地に白い花の柄、それに紫の帯がついたものを着てみることにした。
「はい未青くん動いてー。」
「うん。」
センセイに帯を結んでもらって、完成する。
「どう?未青くん?」
「まあこうして立ってるだけならスパッツ見えないけど… でもやっぱり足がスースーする…」
たしかにただ立ってるだけならスパッツは見えないからそこは大丈夫だ。しかしやっぱり、太ももの9割が見えるくらい短い。
「やっぱり… ちょっと恥ずかしいな…」
「そうかな?繰り返し着れば慣れてくるんじゃない?」
「そうかもしれないけど…」
ボクはさらに浴衣を着てみることにした。水色の地に白い花の柄、それに黄色い帯がついたものを着る。
「長さはさっきと変わらないけど…」
「そうだね。これはどうかな?」
「うん… でもなんか、水色の方もかわいいな。」
「じゃあ次はこれなんてどう?」
「うん!」
次はピンク地に白い花の柄のものだ。これについては帯はついていないが、
「帯はそうするの?」
「じゃあこの黄色い帯のものをそのまま使おうか。私もそうしてたから。」
「分かった。」
ボクはピンク地のものを着る。
「はい未青くん動いてー。」
「はーい。」
センセイにまた帯を巻いてもらうボク。
「なんとなくだけどほんわかした感じがして可愛い。」
「ちなみにだけどセンセイはどれが一番好きだったの?」
「これだよ。」
センセイは床に置いてある、黒地に赤紫の花柄、それに赤紫の帯のものを指さした。
「じゃあ、これ着てみようかな…?」
「いいね!未青くんこれも似合いそう!」
黒地のものを着るボク。
「未青くん動いて。」
「うん。」
センセイに帯を巻いてもらっている途中のこと。
「あら。2人とも何してるの?」
するとそこへ、シャピアさんがやってきた。
フレイン「お母さん?ああ。未青くんに私が前着てた浴衣着せてるの。もうすぐ着る作業終わるところ。」
シャピアフェ「そうなの?じゃあ私も見てみようかしら。」
未青「シャピアさん。いいけど、なんかちょっと恥ずかしいな…(照)」
シャピアさんが見守る中、黒地のものの帯を巻き終わった。
未青「ボクこれ一番好きかな。」
フレイン「そう?」
シャピアフェ「あら。とても可愛いわね未青くん。」
未青「ありがとうシャピアさん。それにしてもシャピアさん…」
シャピアフェ「なあに?」
未青「なんかさ… 目線が下の方行ってない?」
シャピアフェ「えへへ。だってあまりにも短いんだもん。」
未青「あんまりそこ見ないでよお… 恥ずかしい…」
シャピアさんの目線が脚の方に向いているのが、ボクにはとても恥ずかしかった。
シャピアフェ「次はどれ着るの?」
未青・フレイン(フレインは未青からワンテンポ遅れて)「これだよ。」
次着るのは黄色地に白い花柄で、緑色の帯のものだ。
シャピアさんに見守られながら、またセンセイに帯を巻いてもらうボク。
「フレインも帯巻くの上手になったわね。」
「そう?去年の川祭りで未青くんの浴衣の帯巻いたの以来なんだけど。」
「懐かしいわね。帯全然巻けなくて泣いてた日の事。」
「あーあったあった!」
ボクの浴衣の帯を巻きながら、センセイとシャピアさんの思い出話が続く。
「センセイって前は帯巻くの苦手だったの?」
「うん。川祭りの度にお母さんに巻いてもらってたの。」
そうこうしている間に、帯は巻き終わった。
未青「どうかな?センセイ?シャピアさん。」
フレイン「うん!これも可愛いよ未青くん!」
シャピアフェ「私もそう思うわ。でも…」
未青「でも?」
シャピアフェ「この短さでこの色だと、ちょっと屈んだ時とかに黒いスパッツが見えたら目立っちゃうわね。」
未青「もうシャピアさん何言ってるの~。恥ずかしくなっちゃったよ~。」
フレイン「お母さん今のちょっと余計だった気がする。(苦笑)」
5種類の浴衣の試着を終えたボクは、浴衣を脱いで元の服に着替える。
フレイン「じゃあさ未青くん。まだ間あるけど、川祭りの日どれ着る?」
未青「じゃあ… 黒いやつにする。」
フレイン「うふふ。当日が楽しみね。」
シャピアフェ「未青くん黒いのが一番好きなのね。」
未青「うん!あ、そうだ!」
ふとボクは思いついたことがある。ネルルの通っている私学校はたしか今日から夏休みだ。
(Surprushの通信をする未青とネルル)
未青「ねえねえネルル。ネルルあさって暇?」
ネルル「ああ。明日は無理だけどあさっての午後なら大丈夫だよ。」
未青「そうなの?じゃあ、あさっての午後ボクの家来ない?」
ネルル「未青の家?うん。いいよ。」
ボクは家にネルルを誘うことにした。理由は…まだ秘密だ。




