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Case 63「義怪盗あらわる」

それは、朝ご飯を食べながらテレビを見ていた時のことだった。


テレビの女性アナウンサー「京杜(けいど)連続現金輸送車襲撃事件、犯行グループ逮捕の裏側に義怪盗の活躍?」


京杜(けいど)地区で相次いでいた現金輸送車襲撃事件の犯人グループが逮捕されたというニュース。ボクも4日前の夜にアニメを見ていたらニュース速報のテロップが流れたから知っている。


しかし、ボクには一つ気になったことがある。それは「義怪盗」という言葉だ。


「センセイ、『義怪盗』ってなに?」

ボクは聞いてみることにした。

「『義怪盗』ね。事件の犯人のアジトを見つけて盗まれたものを持ち出したり誘拐されている子を連れだしたり、他には組織犯罪のグループと戦って治安兵団に突き出したりとかとかしている人たちのことだよ。」

「そうなんだ。凄い人たちなんだね。」

「『義怪盗』ねー。私の同級生にいたけど、それ知った時はなぜだが頼もしく思えてきたなあ…」

どうやらシャピアさんの同級生にも義怪盗がいたという。


「でも、その義怪盗の人たちって、正体バレたりしないものなの?」

「うーん。前にその義怪盗の人たちが治安兵団からの表彰を辞退したって話があったなあそういえば…」

「そうねえ… 何かのきっかけで正体がバレちゃって義怪盗引退って話も聞くし…」

「結構、大変なんだね…」


義怪盗もどうやら甘くはないようだ。ボクはいろいろな意味で、義怪盗にはなれなさそうだなと思った。


それから数日後。ボクがセンセイの仕事の手伝いについて行った時の事。

「クソが!」

「キャー!ひったくりよー!」


商店街に立ち寄ったボクたち。この近くでひったくりが現れたようだ。

「未青くんも手伝って。」

「うん!」


違法改造したであろう魔法のほうきを使って逃げるひったくり犯。かなりのスピードだ。センセイも臨戦態勢に入る。するとその直後…


(?)

黒い影がボクたちの頭上を掠めた。そしてその直後…

「ギャーッ!」

叫び声が聞こえてきた。ひったくり犯の声だ。しばらくして、女の人がひったくり犯を引き摺ってきた。

(こんな速いスピードで逃げた犯人をいとも素早く捕まえるなんて… どんな人なんだろう…)


そう思っているとその人は交番にひったくり犯を突き出した。その一部始終を見届けると、センセイがこんなことを言い出した。

「まって。あれチェトラーサじゃない?」

「え?センセイその人知り合いなの?」

「うん!魔法専門学校で一緒だったの。」


その人はどうやらセンセイの魔法専門学校の同級生であるという。


「ねえ、チェトラーサ!」

「あ、フレイン!」

「今の凄かったよ!」

「えへへ。朝飯前だよこのくらいは。でもあの違法改造されたほうきは初めてだな…(苦笑)」

「そうなんだ。チェトラーサ運動神経高いからなあ。私じゃ魔法いくつか組み合わせないと追いつけないよ~。(苦笑)」

「そう?(苦笑)」


2人のおしゃべりは続く。

「申し遅れたわ。私は『チェトラーサ・タリクチール』。あなたがフレインが引き取った転生者の未青くんって子?」

「はい。赤砂(あかさご)未青です。よろしくお願いします。」

ポニーテールの髪型のチェトラーサさん。見るからに運動神経が高そうな雰囲気だ。


「ちょっと未青くんにチェトラーサの技見せてあげたら?」

「え~私何だかちょっと恥ずかしいなあ…(苦笑)だってさっき私ひったくり犯捕まえたばかりだし。だって周り見てみ?私たちすっごく注目されてるんだよ。」


ボクはチェトラーサさんの言う通り周りを見てみる。すると、周りにいる人がこちらの様子を見ているのが分かる。

「センセイ… なんかボクも緊張してきた…」

「あーやっぱり?ちょっと近くの公園で休憩しようか。」

「その方がいいね。私は後から行くわ。ね、フレイン?」

「そうしようか。」


ボクはセンセイと一緒に、商店街近くの公園に移動した。公園のベンチに座り、センセイが近くの自販機で買ってきてくれたジュースを飲んだりして休憩する。


「フレイーン。未青くーん。」

「チェトラーサさん。」

しばらく経って、遅れてチェトラーサさんが公園にやってきた。


「チェトラーサ。」


チェトラーサさんとしばらくおしゃべりした後…


「じゃあ、事態も落ち着いてきたみたいだし、ちょっと見せようかな。」

チェトラーサさんの運動神経を披露する時が来た。


「じゃあ行くよ。」

チェトラーサさんは準備をする。どうやらここから、公園の中にある遊具の上を飛び越えながらここに戻ってくるという。


「頑張って!チェトラーサさん!」


「ふんっ!」

飛び上がるチェトラーサさん。広い公園の中にある滑り台・ジャングルジム・雲梯・フェンスの上などを次々に飛び回っていく。その姿はまるで忍者のようだ。


チェトラーサさんは1分も経たない間に戻ってきた。

「チェトラーサさん凄い…!」

「待って。魔法専門学校の頃より凄くなってるじゃん…。どうすればそんなことができるまでになるの?」

「えへへ。運動するのやめられなくてね。気がついたらこれができるまでになってた。」


ボクはこの時にふと思った。「チェトラーサさん、これ絶対何か隠してる言い方だ。」と。


「私バイクが好きなんだけど、たまーにこんな感じで山の中や建物とかを飛び越えながら移動することもあるよ。」

「チェトラーサさん、なんか忍者みたい…!」

「うふふ。忍者みたいってよく言われるよ私実際。」

「やっぱり?」


チェトラーサさんのあの様子は完全に忍者だ。それでいて全く疲れた様子を見せているなんて、チェトラーサさんは凄い。


…と思ったところでボクはまたふと思った。忍者とよく似たところがあって、激しい行動や運動をしても数分程度なら全く疲れない。義怪盗に共通することであるという。

(あの様子… もしかして…)

とボクは思った。


「じゃあ、私の家に行く?」

「いいの?チェトラーサ。」

「うん!」

「チェトラーサの家行くの久しぶりだな。未青くんも行く?」

「いいんですか?じゃあボクも!」


ボクたちはこうして、チェトラーサさんの家に行くことになった。ここから歩いて15分ほどのところにあるという。


「チェトラーサの家にはどんなのがあると思う?未青くん。」

「なんか運動関係の器具とかありそう。」

「えへへ。分かっちゃった?」


どうやらボクの察しは合っていたようだ。


しかし家に向かっていた最中のことだった。


「あっ…」

「どうしたの?未青くん?トイレ?」

「うん…」


ボクの体に突然強い尿意が降りかかってきた。

「大丈夫?チェトラーサの家まで我慢できそう?」

「…(未青、首を横に振る)漏れちゃう…」

「未青くんってトイレ近いの?フレイン。」

「うん… そのせいでほぼ毎日のようにおもらししちゃってて…」

「そうなんだ… じゃあ、私に任せて。未青くん。ここに乗って。」


チェトラーサさんは自分の背中に乗るようボクに言ってきた。


「じゃあ…」

抵抗はあるが今にも漏れそうなおしっこには代えられない。


「乗った未青くん?」

「はい。」

「絶対に下を見ちゃ駄目だよ。行くよ。」


チェトラーサさんはそう言うと…




ボクをおんぶしたまま、空に飛び上がった。


「チェトラーサさん、凄い…!」


ボクをおんぶしながら建物の屋根の上を次々と飛び移るチェトラーサさん。

完全にどう飛べば安全かを分かっている様子のチェトラーサさん。チェトラーサさんは誰かを背負って飛ぶのが、慣れているように思えた。


それから2分もしない間で、チェトラーサさんが住んでいるマンションの廊下に着いた。


しかしながら、ボクの膀胱はかなりの痛みを帯びている。脚は震え。パンツは徐々に濡れはじめている。


「今鍵開けるからもうちょっと待っててね。」

「はい…!」


鍵を開けるチェトラーサさん。鍵が開いたと同時に、ボクは玄関に飛び込んで()()()で靴を脱ごうとする。


「あっ… ああっ…」

膀胱括約筋に必死に力を入れ、靴を脱ぐボク。しかし…


「あっ… ああっ… ああっ… あっ…」

(ジュジュッ… ジュジュッ… ジュウウウウウウウウウウウウウウウ…)


限界値を超えた痛みが膀胱に走った後膀胱括約筋に込めていた力がフッと一気に抜け、それと同時に大事なところからおしっこが溢れだした。


「あー間に合わなかったかー。(苦笑)」

「チェトラーサさん… 間に合わなかった…」

「いいのいいの気にしないで。」

(未青が無言で頷く)


間に合わず靴を脱いでいる最中におもらしをしてしまったボク。そんなボクをチェトラーサさんは優しく慰めてくれた。


「フレインには伝えておいたから。未青くんは先に家に上がってていいよ。」

「はい…」


(ズボンもパンツもぐしょぐしょの状態のまま)家に上がるボク。センセイがチェトラーサさんの家に着いたのはそれから数分後のことだった。

「未青くん?着替えよっか。」

「うん…」

「私も手伝うわ。」

「ありがとう。チェトラーサ。」


着替えにチェトラーサさんも手伝う。チェトラーサさんは非常に手際が良い。その手際の良さは、何度もボクのおもらしの着替えを手伝っているはずのセンセイ以上だった。


「チェトラーサマジで手際よい…」

「そうだね。センセイ。」

と、センセイも認めるほどの。



その後はテレビをつけながらセンセイ・チェトラーサさんと一緒にいろいろおしゃべりをする。

ボクもボクでチェトラーサさんにいろいろ話した。バイトのこと、魔法の勉強のこと、とにかくいろいろ。


かれこれボクたちは30分近くチェトラーサさんの家にいた。


「そろそろ帰ろっか。」

「うん。チェトラーサさん。今日はありがとうございました。」

と、ボクはチェトラーサさんに挨拶をする。


それにしても、これほどの運動神経の高さに行動の速さや手際の良さ。それに何よりも、誰かを背負って飛ぶことに慣れている様子。

ボクは改めて確信した。間違いない。チェトラーサさんは義怪盗だ。


「未青くん、じゃあね。」

そう言ったチェトラーサさんの表情は、「バレちゃった?私が義怪盗であること。」と言いたげな表情だった。


「はい!」

ボクはその秘密をセンセイにも黙ってあげることにした。チェトラーサさんが義怪盗であることを。

-用語解説-

【治安兵団】

アスムール民主国ほかフレインたちの世界における9割の国家で採用されている実力組織。

早い話こちらの世界における警察のようなもので、転生者を中心に「警察」と呼んでいる人も少なくはない。


-新しい設定付き登場人物-

チェトラーサ・タリクチール(Chetlasa=Taliktiil)

癒師の女性でフレインとは魔法専門学校の同級生。22歳。癒師歴は10年。

魔法専門学校進学にあたって実家を離れており、今は舞嗣遠からやや近い街で一人暮らしをしている。

実は義怪盗でもあり、これまで数々の事件の犯人検挙に協力してきた実力派。

性格:正義感に溢れた性格で、優しい。サバサバした一面もある。

身長:約158cm

誕生日:4月11日

趣味・特技:飼育しているアーティニマルの世話・バイク

好きな食べ物:メロンパン・シュークリーム

好きなもの:可愛い服

苦手なもの:スプラッター映画・ゾンビ映画(ただのホラー映画なら大丈夫)

一人称:私

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