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Case 62「センセイの眠れない夜」

ある日の夜中の2時半頃のこと。


未青「んっ… んんっ…」

(ジュウウウウウウウウウウウウウウ…)


尿意で目が覚めたボク。しかし目を覚ましたと同時にそのままベッドの中でおしっこを漏らしてしまった。


「センセイ…」

「ん?どうしたの未青くん?」

隣で寝ているセンセイにおもらしをしてしまったことを報告するボク。センセイはすぐに反応した。


「おしっこ出ちゃった…」

「あらあらやっちゃったのね。シャワー浴びに行こう。」

「うん…」


そう言うとセンセイはクローゼットから替えのパジャマを出して、ボクをシャワー室へと連れて行った。


数分後、ボクはシャワーから出て替えのパンツとスパッツ、それにパジャマのズボンに履き替え、部屋に戻る。


「ただいまー…」

「あ、未青くんおかえり。」

「センセイ?まだ起きてたの?」


大体夜中におもらしをしてしまった時、センセイはボクをシャワー室へと連れていって部屋に戻った後はすぐにまた眠ってしまっている。ただいまと言っても返事がなくて寝ていることがほとんどだ。

しかし今日は違った。センセイはまだ起きている。きっとセンセイは眠れないのだろう。それはボクも理解できていた。


「うん… ねえセンセイ。」

「未青くん?」

「もしかして、センセイ、眠れないの?」

「うん… なんでだか知らないけどなかなか眠れなくて… あ、別に気にしなくていいよ。」

「うん… おやすみ。センセイ。」


ベッドの濡れてしまったところはタオルが敷いてあって安心だ。ボクはまた眠ろうとする。


しかししばらく経ってから、またボクは目を覚ました。理由はトイレに行きたくなったからではない。


「ん~?」

センセイはスマホを見ていた。夜中であるために画面がブルーライトカットの暖色系の色になっているのはここからでもなんとなく理解できる。


「あら。未青くん起きちゃった?ごめんね。」

「センセイまだ起きてたんだ。」

「うん… なんかどうしてもまだ眠れなくて…」

「そうなんだ…」


眠れないセンセイ。なんだかこっちも心配になってきた。


「ASMRとかもいろいろ試してみたんだけど、どうも眠れなくて… いつもなら眠れない時にASMR聞いたら眠れるはずなんだけど…」

「それでも寝れないの?」

「うん…」

「なんだか、ボクも心配…」

「えへへ。なんか… ごめん…」


センセイは眠れない時はASMRをいろいろ試しているという。しかし今日に至っては、なかなか眠れないようだ。

「ねえセンセイ。とりあえずリビングでも行ってみるってのはどうかな?たしかシャピアさんがよく飲んでるハーブティーか薬草茶があったはず。」

「あ、そうだった。なら行ってみようかな。それで眠れるならいいんだけど…」

「うん。」

「たしか私も飲んでいいよって言われてるんだよね。思い出した思い出した。」


ボクたちはベッドを出て、1階のキッチンへ向かった。


1階ではシャピアさんがソファーで寝ていた。

(このソファー、ベッドとしても使えるんだ)と思いながら、ボクはそれを横目にキッチンへと向かう。


「あった。たしかこれ。」

「これ?」

センセイは瓶に入ったティーバッグを見せてきた。

「これなんて薬草茶?」

「『ハイプノラベンダー』の葉っぱよ。」

「これに眠れる効果あるやつなの?」

「そうよ。」


ハイプノラベンダーの薬草茶。極度の不眠症とかでない限りは飲めば1時間立つか経たないかの間で眠れて、それでいて後に疲れや眠気を残さない効果があるといい、睡眠薬よりも安全という理由で眠れない時に飲む人も多いという。


「適温はたしか70度くらいだったわね。」

そう言うとセンセイは電気ケトルでお湯を沸かしはじめる。お湯を沸かし始めたセンセイは、電気ケトルにスマホを向けていた。


「センセイ、何してるの?」

「温度が分かるアプリを使って、お湯の温度を調べているの。」

「ちょっと画面見てもいい?」

「いいよ。」


その画面は、前の世界で見ていたアニメみたいなものだった。


しばらくして…


「うん。そろそろいい頃かな。未青くんも飲む?」

「うん。」

どうやらお湯の温度が70度くらいになったようだ。センセイはティーバッグを入れた湯飲みに、お湯を注いだ。ボクの分もある。


「これから何分くらい待てばいいの?」

「5分くらいね。」


それから5分くらいが経った。

「このくらいでいいかな。」

ハイプノラベンダーティーが完成した。


ハイプノラベンダーティーを飲むセンセイ。ボクもそれを見よう見まねで飲む。


たしかに気持ちが落ち着いて、すぐに眠れそうな感じがする。

「未青くん、ハイプノラベンダーティーの味、どう?」

「なんだろう。緑茶に近い感じかな?それでいて透き通った感じがする。」


お茶を飲み終わった後ボクはまたトイレを済ませ、ベッドに戻る。


「たしかに気持ちが落ち着く感じがする… 未青くんはどう?」

「ボクもそんな感じ…」

「これで… ぐっすり眠れそう…」

「おやすみ。未青くん。」

「おやすみ…」


気がつくと、ボクもセンセイも寝落ちしてしまっていた。


数時間後、ボクは布団が動く感覚で目を覚ました。

(センセイ… どうかな…)


(フレインの寝息の音)

(センセイ、ぐっすり眠れてるみたい。)それが分かったボクも一安心だ。


(センセイ、改めておやすみ。)


次の朝。

「センセイ。おはよう。」

「おはよう未青くん。おねしょしなかったの?」

「うん!」


まるで夜何時間も眠れなかったとは思えないくらいのセンセイがそこにはいた。

-用語解説-

【ハイプノラベンダー】

アスムール民主国などに群生しているラベンダー科の植物。花の見頃は6月下旬。

葉っぱには催眠効果があり、入眠効果がある薬草茶として多用されている。

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