Case 58「ネルルと陽夏ちゃん」
ある日、家の自分の部屋でネルルと一緒に遊んでいた時のこと。
(ドアのチャイムが鳴る音)
フレイン「はーい。」
1階のドアのチャイムの音が聞こえてきた。
ネルル「誰か来たみたいだね。」
未青「うん。」
遊びを続けるボクたち。すると…
(誰かが階段を駆け上がる音)
誰かが階段を駆け上がる音が聞こえてきた。その音は段々とこの部屋に近づいてくる。
ネルル「誰だろう。確実にこの部屋に近づいてきてるよね…」
未青「うん… この足音の感じはまさか…」
ネルル「未青。誰だか分かるの?」
未青「うん。」
足音から伝わってくるリズミカルな感じがするこの走り方。ボクには心当たりがある。
すると。
陽夏「未青くーん!」
ボクが足音で予想した通り、部屋に来たのは陽夏ちゃんだった。
未青「陽夏ちゃん!」
陽夏「来たよ。」
家に遊びに来た陽夏ちゃん。ネルルはというと…
ネルル「だ… 誰…?」
と、戸惑っている様子だった。陽夏ちゃんとは初対面のネルル。無理もないかなと思っていた。
未青「紹介するね。陽夏ちゃん。前の世界で同じ病院に入院してたんだ。」
陽夏「えへへ。未青くん。この人、未青くんの友達?」
未青「うん。ネルルって言うんだ。」
陽夏「ネルル… ちゃん?」
ネルル「あ… 『ちゃん』じゃなくて『くん』です…(苦笑)」
陽夏「男の子なんだ。ごめんね。見た感じと声聞いた感じで、一瞬女子かと思っちゃった(苦笑)」
ネルル「別に初めてじゃないんで…」
未青「ボクも初めて陽夏ちゃんにあった時も男の子と間違えられたてたなぁ…(苦笑)」
ネルルが陽夏ちゃんから女の子に間違えられていたのを見て、ボクは自分が初めて陽夏ちゃんに会った時に陽夏ちゃんから女の子に間違えられたのを思い出した。
~回想・数年前、未青と陽夏の初対面~
陽夏「未青… ちゃん?」
未青「あ、いや… ボク男の子なんだ…」
陽夏「そうだったの?ごめんね未青くん。」
未青「いいよ。女の子に間違えられたの初めてじゃないから…」
~回想終わり~
未青「ふふっ。」
陽夏「未青くんどうしたの?」
未青「ああ… 初めて陽夏ちゃんに会った時のこと思い出してた。」
その後は陽夏ちゃんも混ざって3人で一緒にいろいろおしゃべりをする。
ネルル「陽夏さん…」
陽夏「ネルルくん。『陽夏ちゃん』って呼んでいいよ。あとタメでいいからね。」
ネルル「そうなの?ありがとう。陽夏…―」
陽夏「うふふ。」
ネルル「陽夏…ちゃん…。」
陽夏ちゃんはネルルを友達と認めたようだ。しかしネルルには陽夏ちゃんのことを「陽夏ちゃん」と呼ぶことが恥ずかしいようだ。ボクも陽夏ちゃんも、その様子を見守った。
陽夏「ネルルくんはどうやって未青くんと仲良くなったの?」
ネルル「未青といろいろ話してたら、いつの間にか仲良くなってたんだ。」
陽夏「そうなんだ。私も初めて入院した時、そんな感じで未青くんと仲良くなったなぁ…」
前の世界で入院していた病院で、陽夏ちゃんと初めて出会った時のことを思い出していたボク。とても懐かしいと思っていた。
~回想・陽夏と未青が初めて出会った時~
看護師A「ほら、未青くんにもご挨拶して。」
陽夏「真間…陽夏です…」
未青「陽夏ちゃんか。よろしくね。ボクは赤砂未青。よろしくね。陽夏ちゃん。」
~回想終わり~
気がつけばネルルは陽夏ちゃんとも打ち解けたようだ。ボクとしても一安心だ。
すると、
未青(?)
ボクはネルルの足の方に目をやった。
すると、ネルルが足をモジモジしているのが見えた。トイレに行きたいのだろうか。
未青「…」
でもボクはあえてそのことは指摘しないでおいた。ネルルがびっくりしておもらしをしてしまったら元も子もないからだ。
それからさらにしばらくが経った後のことだった。
ネルル「未青… 陽夏ちゃん…」
未青「ネルル?」
陽夏「ネルルくん、どうしたの?」
ネルル「ちょっと… トイレ行ってくる…。」
未青「分かった。」
ネルルはトイレへと急いで行った。しかし…
未青(?)
その足音は、部屋を出てすぐに聞こえなくなった。
未青(まさか…)「陽夏ちゃん」、ちょっと行ってくるね。」
陽夏「いいけど…」
ボクの心配は的中した。部屋を出てみると、そこには廊下で立ち尽くしながらおしっこを漏らしているネルルがいた。
ズボンから床に零れるおしっこが止まるのを待って、ボクはネルルの元に駆け寄った。
「ネルル… 大丈夫…」
「うぁっ… ううっ… 間に合わなかった…」
(ネルルの泣き声)
ボクは泣き出したネルルを、1階でスピーサさんと話しているセンセイのところへ連れて行った。
「ネルル、着替え持ってきてる?」
「(涙声で)うん… 持ってきた手提げバッグの中にあるよ…」
「じゃあボクが持ってくるね。」
「(涙声で)あ、ありがとう…」
シャワー室へ行ったネルル。ボクは部屋に戻ってネルルの手提げバッグの中を調べて替えのズボンとパンツを出した後、シャワー室のドアの傍にある洗い桶の中に入れた。
「ネルルー。着替え持ってきたよー。」
「ありがとう未青…。」
そうしてボクは部屋に戻っていった。
陽夏「未青くん。ネルルくんもしかして…」
未青「うん… 間に合わなかった…」
ボクと陽夏ちゃんの間に微妙な空気が流れた。
それからしばらく経って、ネルルが戻ってきた。
未青「おかえりネルル。」
陽夏「おかえり。」
ネルル「なんか… ごめん…! 未青から聞いているとは思うけど、俺さっき…」
未青・陽夏「…」
ネルル「おもらし… しちゃって…」
陽夏「うふふ。大丈夫だよ。」
ネルル「陽夏ちゃん…」
陽夏「私も実は、前の世界でやっちゃったことあるんだ。だから気にしないでいいよ。」
ネルル「陽夏ちゃん… うん…!」
ボクはその様子を見て、陽夏ちゃんと出会って数日後、陽夏ちゃんがトイレの場所を見つけられずおもらしをしてしまった時のことを思い出していた。
~回想~
(陽夏の泣き声)
看護師B「あらあら。陽夏ちゃんと未青くんどうしたの?」
未青「あの… 陽夏ちゃんがおもらししちゃって…」
看護師B「碧山さん、陽夏ちゃんをお願い。」
碧山「はい。陽夏ちゃん。おいで。」
(陽夏が泣きながら碧山のもとに歩み寄る)
~回想終わり~
ネルルに笑顔が戻った。ボクとしてもなんだか嬉しい。
それからボクたちは、3人でババ抜きをして遊んだ。
ネルル「よっしゃ上がりー!」
ネルルは2回とも1位抜けだった。
2ゲーム目を終えてしばらくした後、ネルルは家まで迎えに来たプラルさんと一緒に帰った。
ネルル「じゃあね。陽夏ちゃん。」
陽夏「うん!うちにも遊びに来てね!未青くんは場所知ってるから。」
ネルルも陽夏ちゃんと友達になれた。そう考えていいだろうとボクは思っていた。
未青(次はいつ3人で遊べるかな?)




