Case 47「我慢に強くなりたくて」
「ああっ…あっ…!」
(ジョロロロロロロロロ…)
ある日の夜のこと。ボクはトイレの便器を前におもらしをしてしまった。
とそこまではありがちな「ギリギリアウト」とかいうものだけど、そうじゃない。ボクはそんな感じのおもらしを、8日連続でしてしまっている。
フレイン「今日もトイレの前で… 未青くん大丈夫…?」
(未青のすすり泣く声)
「また間に合わなかった」「あと少しだったのに今日もまた」そんな悲しくて悔しい気持ちも、これで8日目だ。
次の日。センセイは癒師の仕事に出かけていて留守。そんな中家で一人、普通にトイレでおしっこをしているボク。
「ボクって膀胱が弱いから、昨日までみたいにトイレまで来たところで出ちゃうのかな?」ボクはそんなことを考えていた。
考えている中で、ボクの中で一つの疑問が生じた。
「いっぱい我慢すれば、その分膀胱も強くなるのかな?」
ボクは居間に移動してパソコンを取り出し、「膀胱 強くするには」というキーワードで検索をかけてみた。
「…」
やっぱりだ。「我慢して膀胱の容量を上げる」「膀胱を鍛える」みたいなことが出てくる。
「やるしかない。」
ボクは意を決して洗面所に移動し、コップの水を3杯飲む。「我慢する量が多ければ多いほど、膀胱は強くなるのではないか」ボクはそう思ったからだ。コップの水を3杯も続けて飲むのなんて、もしかしたら初めてかもしれない。
水を飲んだ後は部屋に戻った。
センセイには内緒の我慢訓練の始まりだ。前にチャンファレビー聖堂では70分くらい我慢した(末にトイレの小便器の目の前でおもらしした)から、今回は2時間にしよう。アラーム設定をした。
タイマー設定の後はクルルスさんから出された宿題の続きを始める。その宿題の最中のことだった。
(体を少しモジモジさせる未青)
トイレに行きたい感覚がした。尿意はそこそこ強め。時計を見てみると、15分くらいが経過していた。
「あと1時間45分頑張らなくちゃ…」ボクはそんなことを考えていた。
宿題はその後30分くらいで終わった。尿意は強くなっていて、膀胱が痛む感じがする。普段なら大急ぎでトイレに行っているレベルだ。
(あと1時間15分…)
ボクは次に本を読み始めた。センセイの部屋にあった、上級魔法の練習本だ。
(こうかな?)
ダンスのように細かく寸分の違いもない腕の動作が求められるその魔法。その腕の動作を実際に動きながら確認する。膀胱の痛む感覚からは必死に意識を背けながら。
(いや違うなやっぱりこうかな?)
膀胱が痛む感覚がやっぱり少し気になるけど、魔法の動作を覚えるのはとっても楽しい。
「この魔法の練習、クルルスさんと一緒にやってみたいな。」ボクはそんなことを考えていた。
しかし時間が経つにつれ尿意は高まっていき、ボクの膀胱の痛みも魔法の練習程度では無視できないほどになっていた。
「ヤバい… 漏れちゃう…」
我慢を始めてから大体90分が経過していた。「70分以上我慢する」という至上命題はクリアしたものの、膀胱括約筋が熱を帯びているかと思うほど膀胱の痛みは激しくなっていた。
「おもらし」という言葉が揺らいでいるボクの頭の中。ボクは左手でズボンの上から大事なところを握りしめた。
我慢すればするほど膀胱は強くなる。おまじないみたいなものかもしれない。ボクはそんなことを考えながら、必死に我慢を続けた。
(ダメ… 一滴もチビっちゃダメ…)
「あっ… ううっ…」
体を細かく震わせながら、膀胱括約筋に必死に力を入れ、両手で大事なところを押さえて我慢するボク。時間まであと10分だ。
膀胱括約筋はすっかり熱を帯びているのがはっきりと伝わってくる。そしてついに…
(ジュ… ジュジュジュジュ…)
あと6分。かなりの量をパンツにチビってしまった。その後もボクのおしっこは、細かく断続的にパンツに滲み出ていく。
(ああっ…!あああっ…!)
あと3分。ボクの体はもう完全に動けなくなっていた。
「少しでも動いたら崩壊する」そんな状況だ。こんな感じはいつぶりだろう。ボクはそんなことを考えていた。
そしてそれから2分が経ったあと1分という段階で、ボクは「その時」を迎えた。
(ジュジュ、ジュジュジュ、ジュ… ジュウウウウウウウウウウウ―!)
あと残り1分。ボクはついに、タイムリミットを迎えた。
「―…!」
ボクの大事なところからは勢い良くおしっこが溢れ出ている。その「おもらし」が終わったのは、力尽きてから30秒ほどのことだった。
(時計のアラームの音)
あと1分というところで力尽きたボクを煽るかのように、時計のアラームが鳴り響いた。
我慢訓練は、言い訳のしようがない失敗に終わった。
時計のアラームを止め、ボクはクローゼットから着替えを出してシャワーを浴びに行った。
シャピアフェ「あら未青くん。おもらししちゃったの?」
未青「うん…」
ボクは一人寂しくシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終わって着替え、部屋に戻るボク。
「うっ… ううっ…」
(未青の泣き声)
ボクは部屋に戻った後、泣いた。そして居間に移動した。
「(涙声で)シャピアさん…」
「未青くん、どうしたの?」
「実はボク、さっき…―」
ボクはシャピアさんに、我慢訓練の一部始終を話した。
「そうだったの。未青くんなりに我慢に強くなろうと思ってたのね。」
(泣きながら頷く)
シャピアさんはボクを優しく抱きしめ、頭を優しくぽんぽんした。
そして…
フレイン「ただいまー。ってお母さんに未青くんどうしたの?」
シャピアフェ「おかえりフレイン。実はね…」
センセイが仕事から帰ってきた。
「未青くん、あの事話してもいい?」
(無言で頷く未青)
シャピアさんはボクの我慢訓練の一部始終を話した。
「未青くん。とっても頑張ってたんだね。今はもう大丈夫?」
「… うん…」
その直後ボクはセンセイに駆け寄って、センセイに抱き着いた。
「あらあら。」
そしてその夜。晩ご飯の最中急に強い尿意に襲われたボク。トイレに急いだものの…
(ジョロロロロロロロロロ…)
トイレのドアを開けたところでおもらしをしてしまった。トイレの便器の前でのおもらしは、これで9日連続だ。
「ま、間に合わなかった…(苦笑)」
「あらあら(苦笑)」
ボクはシャワーを浴びに行く。センセイが持ってきてくれた着替えはスカートだ。
そして、お風呂のあとパジャマに着替える。
「ねえ未青くん。」
「どうしたの?センセイ?」
「未青くん、前に聖堂のトイレでやっちゃった後、おしっこほぼ止まらなかったじゃん。」
そういえばそうだ。前の聖堂であと一歩間に合わなかった後、ボクはほぼ際限なくおしっこを漏らしてしまっていた。
「うん。」
「でも、あの後晩ご飯中にトイレの前でやっちゃうまではしてなかったよね?」
「あ、うん!」
「それでいいの。無茶なこと、しなくていいんだよ。」
「えへへ…」
そうセンセイに言われたボクは、なんだかちょっと嬉しかった。
そして次の朝。
(ぐしょ…)
「センセイ… おはよ…」
「おはよう未青くん。もしかしてやっちゃった?」
「うん…」




