Case 43「センセイのカレンデュラ現場視察」
(ビチャビチャビチャビチャ…)
シャピアフェ「あらあら(笑)」
未青「ううっ…」
ボクがカレンデュラから帰ってくる最中に尿意を催し、家の玄関まで来たところでおもらしをしてしまったある日。
それは、晩ご飯の最中のことだった。
フレイン「ねえ未青くん。」
未青「センセイ?」
フレイン「未青くんがカレンデュラでバイトを始めてからもうすぐ半年になるよね。」
未青「うん。」
そしてセンセイは、思いがけないことを口にした。
「明日、カレンデュラ行こうと思うんだ。」
「!?」
ボクは戸惑った。センセイがカレンデュラに行く。それはつまりボクが働いている様子を見に来るということだ。それも明日。いくらなんでもいきなりすぎる気がする。
「いいけど… いきなりどうして?」
「うふふ。未青くんが働いてる様子を生で見てみたくて。」
「ええっ…(チョロ…)」
ボクはびっくりしておしっこをちょっぴりチビってしまった。最初からボクが働いている様子を見に行く前提だったからだ。
フレイン「楽しみだな。未青くんの接客とか。」
シャピアフェ「もう(苦笑)フレインったら未青くんにプレッシャーかけすぎよ。」
フレイン「えへへ。だって楽しみなんだもん。」
シャピアフェ「ごめんね未青くん。いくらフレインが来るからっていつも通りでいいんだからね(苦笑)」
未青「うん…」
いつも通りでいいというシャピアさん。でもやっぱりセンセイが来るとなると緊張してしまう。それもセンセイは何時ごろ来るとは言っていなかったものだから、それが余計に緊張を際立たせてしまう。
そのせいなのか翌朝…
(ぐしょ…)
ボクはおねしょをしてしまった。シャピアさんもボクの今朝のおねしょについて
「もう未青くんに余計なこと言うからよ。行くならわざわざ言わないで普通に行けばいいのに。」
なんてことをセンセイに言っていた。
「だって、突然来た未青くん余計に緊張しちゃうと思ってたから…」
とセンセイは言っていたけれど。
「いってらっしゃーい。」
「センセイの前でも上手くやれるか」カレンデュラへ向かうボクはそのことばかり考えていた。
バイトの時間。やっぱり緊張してしまう。仕事の間ボクは「センセイはいつ来るのか」そんなことばかり考えていた。仕事に身が入らないというわけではなかったが。
お昼休み。バックヤードでのこと。
マリーユ「ねえ未青ちゃん。」
未青「マリーユさん。」
マリーユ「未青ちゃん今日ずっとソワソワしてたみたいだけど、何かあったの?フレインさんのスカートの中見ちゃったの?」
未青「そうじゃないんですが…」
ボクは意を決して続きを言った。
未青「実は今日、ここにセンセイが来るんです… それで、朝からずっと緊張しちゃって…」
マリーユ「そうなの。大丈夫よ。いつも通りやればいいから。」
ハミン「未青ちゃんなら大丈夫。もし何かあったら通信魔法使えばいい話なんだし。」
みんな、ぼくを元気づけてくれていた。少し安心した。
そして午後。1時半くらいのこと。
(ドアが開く音)
未青「いらっしゃいませー。」
店に来たお客さんは…
「!」
センセイだ。フィオさん・クルルスさん・ヘブンさんを連れている。
「…」
一気にボクの緊張が高まる。
ルキ(通信魔法で)「ねえ、あの人がフレインさん?」
未青(通信魔法で)「うん…」
マリーユ(通信魔法で)「緊張しなくていいのよ。いってらっしゃい。」
未青(通信魔法で)「はい…」
ボクは心にいつも通りいつも通りと言い聞かせながら、4人の元へ水を運びに行った。
未青「いらっしゃいませ。」
フィオ「この子が未青くん?かわいいわね(笑)」
フレイン「でしょ?」
ヘブン「本当に女の子みたい。」
クルルス「うふふ。ありがとうございます。」
未青「注文決まりましたらお声かけ下さい。」
カウンターに戻ったボク。とりあえず乗り切った感がある。
ルキ(通信魔法で)「上手くできたね。未青ちゃん。」
未青(通信魔法で)「えへへ… でもちょっと緊張しちゃった…かな…」
それから数分くらい経ったこと。
ヘブン「すいませーん。注文いいですか?」
ヘブンさんが注文を申し出てきた。
未青「はーい。」
ボクは4人のところへ行く。
未青「ご注文は?」
ヘブン「私は秋栗のアイスとローストコーヒー。」
フィオ「エッグサンドと… 私もローストコーヒーにしようかな。あ、コーヒーはシロップで。」
フレイン「さつまいものチュロスとカフェオレをお願い。」
クルルス「私は秋栗のデニッシュにしようかな。ドリンクはロイヤルミルクティーで。」
未青「分かりました。秋栗のアイスとローストコーヒー。エッグサンドとローストコーヒーでシロップつき。さつまいものチュロスとカフェオレ。秋栗のデニッシュとロイヤルミルクティーですね。しばらくお待ちください。」
注文を取ったボクは、それをバックヤードに見せに行った。
バックヤードでストックがない食べ物を作っている間、ボクはルキちゃんと一緒に飲み物を作る。
「!」
センセイの視線を感じたボク。センセイはこちらの様子をずっと見ていた。
「…(照)」
ボクはちょっぴり恥ずかしくなった。ベルーザさんがカウンターのボクらの元に秋栗のアイスとエッグザンドを持ってきたのは、ローストコーヒーを入れ終わった直後のことだった。
ベルーザ「お願いね。」
未青「はい。」
ボクはまずできた2つのセットを、ヘブンさんとフィオさんのところに運びに行く。
未青「お待たせいたしました。秋栗のアイスとローストコーヒーの方。」
ヘブン「はい。」
未青「あと、エッグサンドとローストコーヒーのシロップつきの方。」
フィオ「私です。」
(アイスを乗せた皿とローストコーヒーを入れたカップをヘブンの前に置く音)
ヘブン「ありがとう。」
(エッグサンドを乗せた皿と、ガムシロップを添えたローストコーヒーを入れたカップをフィオの前に置く音)
フィオ「ありがとうございます。」
未青「あとのお2人の注文ももうすぐ来ると思います。もうしばらくお待ちください。」
フレイン・クルルス(フレインの方がワンテンポ遅く)「分かりました。」
センセイの頼んださつまいものチュロスと、クルルスさんが頼んだ秋栗のデニッシュができたのはいボクが一旦カウンターに戻ったのとほぼ同時のタイミングだった。
ボクはそれをセンセイとクルルスさんのところに運びに行く。
未青「大変お待たせしました。さつまいものチュロスとカフェオレの方。」
フレイン「はい。」
未青「それと、秋栗のデニッシュとロイヤルミルクティーの方。」
クルルス「はい。」
(フレインの前にさつまいものチュロスが乗った皿とカフェオレの入ったカップ、クルルスの前に秋栗のデニッシュが乗った皿とロイヤルミルクティーの入ったカップをそれぞれ置く音)
フレイン・クルルス「ありがとう。」
未青「ごゆっくりどうぞ。」
4人が注文した品がそれで全部揃った。ボクはカウンターに戻る。
一安心したボク。しかしそこで異変が起きた。
「…!」
強い膀胱の痛みがボクの体を襲ってきた。
いつ食べ終わるかも分からない。ここにいるのはボクとルキちゃんの2人だけ。「おもらし」が現実味を帯びてきている中、ボクにはシフト終わりのあと20分、ここで我慢するしかない。
仕事中だから大事なところを押さえることもできない。段々とパンツにチビり始める中、ボクは必死に膀胱括約筋に力を入れて、今にも溢れだしそうなおしっこを堪えていた。
(もう…ダメ…)
ボクは意を決して、通信魔法でマリーユさんにトイレに行きたいと訴えた。
(通信魔法で)
未青「マリーユさん…」
マリーユ「未青ちゃん?どうしたの?」
未青「トイレに行きたいです…」
マリーユ「本当?もう出ちゃいそうなの?」
未青「…はい…」
マリーユ「分かった。でもセレちゃんが今トイレ使ってるんだ。セレちゃんが出たらすぐに未青ちゃんを呼ぶから、それまでそこで我慢できる?レジは私に任せて。」
未青「はい…」
そのおよそ5分後。
マリーユ「未青ちゃーん。ちょっとこっち来てー。」
ボクはそれを合図に、バックヤードに移動した。バックヤードに入るや否や、ボクはトイレにダッシュだ。
(もうすぐだから…もうすぐだから…)
もういつ決壊してもおかしくないボクの膀胱。「我慢しなくちゃ」「絶対にセンセイがいる間はおもらしは避けたい」なんてことを考えながら、ボクはおぼつかなくなりつつある足を無理やり同然に動かしながら、必死にトイレに急いだ。
時間の経過とともに膀胱の痛みが一気に増していく。
トイレのドアを開け、
ドアを閉め、便器を背にし、
制服のスカートをたくし上げ、
ストッキングとパンツに手をかけ―
「あっ…ああっ…あっ…あああああ…」
(ジョロロロロロロロロロロロ…)
間に合わなかった。
あとはパンツをストッキングを下ろして便器に座るだけだったのに。便器直前でそれを背にしたまま、ボクは力尽きた。
トイレでパンツとストッキングに手をかけた状態でそれを履いたまま、お尻を後ろに少し突き出した状態で、ボクは「おもらし」をしてしまった。
「あとほんの少しだったのに…」「今日だけは絶対におもらししたくなかったのに…」それに対する絶望で頭がいっぱいのボク。パンツやストッキングはみるみるうちにおしっこで濡れていき、床にはおしっこがどんどん水溜まりとなって広がっていく。
(泣き出す未青)
ボクはトイレから出る気力をも完全に無くしていた。ボクはぐしょぐしょのパンツとストッキングを履いたまま、本来ならパンツとストッキングを下ろした後に腰かけるはずだった便座に座って泣き続けた。
それくらい、今回のおもらしが本当にショックだったからだ。
(トイレのドアが開く音)
マリーユ「未青ちゃん…」
ドアの鍵を閉める暇なんてなかったボク。マリーユさんがトイレのドアを開けた。
マリーユ「大丈夫?立てる?」
未青「…」(無言で頷く)
ボクはマリーユさんに付き添われながらトイレから出た。
(未青の泣き声)
マリーユさんに付き添われ、ボクは泣きながらシャワーを浴びに行く。セレちゃんが心配そうな表情でボクの方を見ているのも分かった。
マリーユさんは、シャワーを浴びている間もシャワー室の入り口の側でずっと待ってくれていた。
その後マリーユさんと一緒に、いつもの部屋に入るボク。
マリーユ「ねえ未青ちゃん。」
未青「んっ…?」
マリーユ「もしかして、休憩時間になるまで我慢しようとしてたの?」
未青「うん…」
マリーユ「やっぱりそうだったんだ。うふふ。」
そう言ってマリーユさんは、ボクを優しく包み込んで、頭を優しく撫でた。
マリーユ「未青ちゃん、フレインさんの前でもいつも通りできてたわよ。」
ボクはマリーユさんから、センセイがいても緊張せずいつも通り接客できていたことを褒められた。ボクはそれがとても嬉しかった。
マリーユ「未青ちゃん、もう少しここにいる?」
未青「いえ。戻ろう…かなって…思います。」
マリーユ「そう?よかったわ。この後も頑張ってね。」
未青「はい!」
その後、ボクはまた夕方4時までまた仕事を頑張った。しかし店舗スペースに戻った後には、もうセンセイはいなかった。
「フレインさん達ならちょっと前に帰ったよ。」
と、ルキちゃんは言っていた。
バイトが終わり家に帰るボク。その最中、ふと一つの不安が生じた。
「もしかしたら、お店でおもらししちゃったことがセンセイにバレてしまうのではないか。」と言うことだ。
未青「ただいまー。」
シャピアフェ「おかえり。」
フレイン「おかえり。今日は本当にお疲れ。」
洗面所で手洗いうがいをする前に、ボクは密かにカバンの中のビニール袋からおもらしで濡れたパンツを取り出し、他の洗濯物の中に埋めるようにして洗濯機の中に入れた。
そして手洗いうがいを済ませリビングに出てくると、センセイが待っていた。
「未青くん。」
「センセイ?」
「未青くん、今日とっても頑張ってたよ。」
そう言ってセンセイはボクを優しく抱きしめた。お店のトイレでのおもらしがセンセイにも察されてしまったのは確実かもしれないが、センセイから今日の頑張りを褒められたボクはそれがとっても嬉しかった。おもらしを察されてしまったことなんか、もうどうでもよくなっていた。
部屋に戻ったボク。
「あ…」
センセイが来るから緊張してしまったのか。センセイからも褒められて安心してしまったからなのか。それとも(間に合わなかったけど)間に合うかどうかギリギリまでおしっこを我慢したからなのか、眠くなってしまった。
「…」
ボクはそのまま床に寝転がり、寝落ちしてしまった。
「―未青くん。未青くん…」
ベッドの上。晩ご飯の時間に、ボクはセンセイによって起こされた。
「ん〜… う…」
(ぐしょ…)
ボクはおねしょをしてしまっていた。
「あらあら(笑)シャワー浴びて着替えたらご飯にしよう。お母さんには私から話しておくから。」




