episode.002 二人目の“側近”
「“開拓ポイント”……、何気に10,000ポイントあるけど……何をどうすれば、いいんだろう?」
『それは、わてが教えてあげるニャ!』
「えっ?」
メニューのパネルから、何故か三毛猫のような姿をして赤い貴族のような服装をしたケットシーが現れては嬉しそうに笑っている。
「えっと?」
『わては、“クロロム”というのニャ!お主の付き人ならぬ付き猫とでも思ってくれていいニャ』
「あ、うん?」
『では、“開拓”について説明をするニャ!よく、ちゃんと聞くんだニャ?』
“開拓について”。
空中大陸の中には、開拓の出来る大陸が存在している。
その空中大陸の管理として、“開拓ポイント”があるのだ。
『この“開拓ポイント”は、特定の条件で付与されるニャ!今回の“10,000ポイント”については、そこの兄ちゃんを呼び出したのとランクがSSだったからサービスポイントも含まれているのニャ』
「ヴェニタスが?」
「俺ー?」
『だって、兄ちゃんは“六花の楔”ニャろ?だから、ポイントも大きいのニャ』
「なら、マスターが残りの六花を呼べば大量やん」
ククルの側近として居たのは、遥か昔の英雄とも言われた“六花の楔”の五人の事である。
本当は、もう一人いるのだが“呼び出し条件”が満たされる前に亡くなったので分からないままである。
「まぁ、後々呼び出そう……」
『嬢ちゃんって、凄い嬢ちゃんやったんニャ~?さて、次は使い方なのニャ!“開拓リスト”から、モノを選んで選択し押せば完了なのニャ!』
「このリスト?」
『試しに、“屋敷の修繕.3,000ポイント”をやってみるといいニャ!』
ククルはクロロムに言われて、“開拓リスト”から“屋敷の修繕.3,000ポイント”に触れると同時に、オンボロな屋敷が光に包まれると直ぐに屋敷が新品同様に修繕されていた。
「すごっ……!」
「へぇー、便利やん」
『“開拓リスト”には、色々とあるから考えながらやるといいと思うニャ!』
「ん、分かった」
ククルは“開拓リスト”と“開拓ポイント”を確認してから、クロロムの頭を優しく撫でるとクロロムは嬉しそうに笑っている。
『ではでは、また何か分からない事があれば!わてを呼び出して欲しいニャ』
「ん、ありがとうね?クロロム」
『あいあいさーっ!』
クロロムは、ポンッという音と共に出てきた煙に包まれてはククル達の目の前から消え去る。
「さて、まずは……どうしようっか」
「先に、アイツを呼ばへん?マスターは、調合とか出来へんようになってるやろ?だったら、“ノルン”を呼んだ方がエエと思うで?」
「あー、確かに……薬とか魔道具とか必要になりかねないもんね」
ククルはパートナーアイコンに触れて、その中のリストから“ノルン”という文字に触れると、勢いよくククルに抱きつく金色の髪色に左サイドの短めのポニーテールに、尖った耳をしていてややツリ目のパッチリ目をした翡翠色の瞳をしたエルフの少女が現れる。
「ま、ますたぁー!会いたかったですぅーっ!!」
「の、ノルン……」
「ノルン、それマスターが圧死するで」
「あぁっ!?ご、ごめんなさいっ!? 」
ノルンの豊富な胸に、ククルは窒息もしくは圧死しかけてしまう。
ノルンは慌てて、ククルから離れると土下座をする。
「ま、まぁ……だ、大丈夫だったから」
「あうっ、……でもお久しぶりですっ!ますたぁーっ」
ノルンが顔を上げて涙をポロポロと流していて、ククルは何とも言えないほどの罪悪感を感じていた。
「ごめんね、心配かけて」
「いえっ!あれは、致し方ない事だと思いますっ!……ですから、ご自身を責めないでください」
ノルンは謝っているククルの手を両手で包み、ククルの心情を察して心配している表情をしている。
「私は、ますたぁーの為にこれからも尽かせてください!」
「……ありがとう、ノルン」
「んじゃー、マスター?ノルンが来たなら、“工房”とか“素材ダンジョン”ってのが必要になるとちゃう?」
「あー、確かに」
ククルはヴェニタスに言われて、“開拓リスト”を確認すると同時に“開拓ポイント”が17,000ポイントになっていた。
やはり、ノルンやヴェニタスが入ると“10,000ポイント”は確実に入るようである。
「えっーと、まずは“工房”だねー?ノルンは、どれぐらいの大きさがいい?」
「“工房”の大きさ、ですか?そうですね……、乾燥とか倉庫とかも欲しい所ですけど……」
「んじゃ、“特大”にしようっか」
「えっ!?」
ククルはノルンの返答を聞いて、“開拓リスト”の中にある“工房(特大)建設.7,000ポイント”に触れると屋敷の側に屋敷並みの建物が光と共に出現する。
「これなら、倉庫もあるし乾燥部屋もある!それに、販売用にも使える場所もあるから大丈夫でしょ?」
「もう、ますたぁーは太っ腹過ぎですっ!こんな立派な工房なんて、見たことありませんよっ!?」
「え、そうなの?」
「まぁ、マスターはノルンに快適にやって欲しいからやろうな」
「もうっ!そんなに、期待されるなら私は頑張ります!」
ノルンは何やら勘違いをしているのか、ちょっと恍惚な表情を浮かべていて二人に引かれているなど気付いていない。
「あとは、“素材ダンジョン”だったよね?何階層まで、作れるんだろ?」
「ますたぁー!私に、提案がありますっ!!」
「え?」
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