1・一般市民人生終了のお知らせ
それは何の変哲もない、いつもの日常。
朝起きて仕事に行って帰って寝るただそれだけの、毎日毎日飽きもせず同じことを繰り返すだけのそんな日常。
こんな日常が毎日続き結婚して、子供に恵まれ子孫を残し、自分の役割は終わったとばかり思い、寿命で死ぬ。
こんな平々凡々な人生を終えれたらなと思い毎日を生きる。と、思っていた。
ある朝会社に向かおうと駅に向かいまたこの毎員電車の中に乗り会社近くの駅までの10分間を憂鬱な気分で過ごすのかと考えながら電車が近くまで来たのを確認し、スマホをいじるのを辞めてポケットにスマホに入れた。
すると俺の隣でJR、JCぐらいの女子生徒が近くに通りかかった人に方を押され足を滑らせ線路に落ちかけていた。
「きゃっ」
その瞬間。
俺の体はとっさに反応し脳が理解するよりも早く女子生徒が駅のホームから落ちる前に手を取り遠心力で女子生徒を駅のホームに投げ飛ばしていた。
「危ないっ」
ここでやっと自分の脳が今の状況を鮮明に理解した。
俺は女子生徒を投げ飛ばした遠心力で線路に落ちてしまう寸前だった。
「やばい。これは本当にやばい」
右を見ると迫り来る電車は目と鼻の先。
ホームまでの距離と高さは約1m。
「あ……死んだ……」
ドォンッという音と共に俺の第一の人生が幕を閉じた。
「ん?ここは…?」
気がつくとそこは何も無い真っ白な空間だった。
「はっ!!俺は確か死ん…だ…んだよな?」
と、半信半疑になりながら状況が理解出来ず、身体中をぺたぺた触りちゃんと肉体があることを確認した。
すると目の前の空間にどこからともなく光が集まり1人の女の人が現れた。
「ようこそおいでくださいました。非力な人間様」
「あんたは?」
「はい。私ですか?私は非力な人間様を異世界転移させるために参上した女神ですっ」
「俺は…死んだのか?」
すると自称女神は。
「はいっ、電車にひかれ木っ端微塵に、見るも無残に、面影すら残さず無残にあなたは死にました」
「あっなんでしたら映像をご覧になられますか?」
「いや、やめておく。それと要らないほど詳しい説明ありがとう。出来ればどんな状態だったとか聞きたくなかったとだけ言っておこう」
「それで俺はこれからどうなるんだ?善行をして死んだから神にでもして貰えるのか?」
自称女神はそれを聞いて嘲笑うように軽く笑った。
「ん?何か俺おかしなこと言ったか?」
「いえ。思考も発想も頭がおかしいのですが、随分と落ち着いていられる様子でしたのでつい」
「まぁ終わったことばかり気にしていてもしょうがない今この現実を受け止めるしかない…そうだろ?」
「左様でございますか」
自称女神まるでは興味無さそうにそう答えた。
「それで、俺は元の世界に戻ることは出来ないのか?」
「はい。それは無理な相談でございます。通常、人は死ぬと世界の理である転生輪廻によって新たな魂として生まれ変わるのです。ですが何故か貴方様はその理から外れてしまった。なのでそんな可哀想なあなたを異世界へ転移させてあげよう。という話でございます!」
「それでっ?何か特殊能力とかあるのか?」
「はい?いいえそんなものはありませんが?」
自称女神は何を言ってるんだこいつという顔でしれっと答えた。
「いやいや!なんかこう"そんな可哀想なあなたには国を滅ぼせるほどのチート能力を与えましょう"的なやつないの?」
「はい。そんなものは一切ございません。」
「さいですか…。」
あぁ~俺TUEEEEルートが…。などと考えていると。
「はい。では、行っててらっしゃいませ。」
すると面倒臭くなったのか唐突に自称女神が手を叩いた。
すると俺の体から光の粒子出てきて。
「え?あっちょまっ」
消えゆく意識の中自称女神が。
「流石に何もなしで、すぐ死んでまたここに戻ってこられてグチグチ言われるのは面倒臭いので"鑑定"という能力だけ付けておきます」
そんな話が微かに聞こえてすぐ俺の意識は完全に消えた。