第7話 女神様降臨
どうもアークティックです。物語の中間なので少し前振りのような感じになりました。気楽に読んでみてください。
仁人と彩香は2人で町に向かう途中、話しながら歩いていた。
「ところでさ、仁人の家の人達はみんな仁人みたいな剣技が使えるの?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。この能力が発現する原因はまだわかっていない。それに発現する人はだいぶ減って来てるんだよ。俺の父さんも発現しなかったしね。俺の知ってる人でこの能力が使えるのはじいちゃんと父さんのお兄様、あとは俺の妹くらいだね。」
「へぇー、、、って仁人って妹いたの?」
「ん?いるよ?2歳年下なんだ。俺と誕生日が一緒でね、いつも一緒にお祝いしてもらってたよ。」
「し、知らなかった。今まで一度も妹さん見たことないなぁ。2歳年下ってことは今は14歳かぁ。」
「そうだよ。まぁ、妹は人見知りというかなんというか心を許した人じゃないと会話してくれないだけじゃなくて存在すら認識しようとしないからね。それで気付かなかったんじゃないかな。」
「ふぅーん。名前はなんて言うの?」
「風香だよ。俺たちは兄妹で能力が発現したから一族の間ではかなり有名になっちゃってね。注目されすぎる生活が続いてね、引きこもっちゃったんだ。でも、毎日俺が行くと出て来てくれて、一緒に修行したり遊んだりしたよ。」
「そうなんだ。いろいろあるんだね。」
「さて、俺のこともそうだけど彩香のことも教えてよ。」
「え?私のこと?」
「そう。彩香のこと。ずっと不思議だったんだよ。なんで俺なんかと一緒にずっといるのかなって。」
「そ、それは、えと、その。はぁ、もう仕方ないよね。仁人はさ、山中家を怒らせてはいけないっていう暗黙の了解があるのを知ってる?」
「え、なにそれ。そんな暗黙の了解があったのか。」
「うん。あの辺に住んでる人たちはみんな知ってるよ。」
「そうなんだ。やっぱり、強力な力を持つから恐れられちゃうよね。」
「ううん。そうじゃないの。理由は誰も知らなかった。ただ、怒らせてはいけないって代々言われ続けているの。」
「そうなんだ、、、」
「私の家はね、理由はわからないけど先祖代々山中家の人の近くで過ごして何かあったら助けるっていう役目があるんだ。」
「てことは、彩香が俺のところにずっといるのは、、、」
「ち、違うの。最初は確かに家の事情だったけど、今は好きで仁人の近くにいるの。これだけは信じて。」
「そっか。わかった。命令とかそういうやつじゃなくてよかったよ。たぶんその何回か出て来た理由ってのは山中家の能力のせいだろうな。」
「そうだね。まさか仁人がそんな能力を隠してたなんてなぁ。全然気付かなかったよ。」
「そりゃ、気付かれたら困るからね。」
「それもそうね。」
その時、2人の前に白い光が発生した。
「今度はなんだよ。」
「ま、また何か起こるの?今日は疲れたから早く町に行きたかったのに、、、」
白い光は少しづつ大きくなりそしてはじけるようにして消えていった。そして、その中には1人の人影があった。
「女神メリス、ここに降臨!」
女神メリス様だった。
「メリス様、遅いですよ、いくらなんでも。呼んでから軽く2時間は経ってますよ。」
「え?ご、ごめんね。ちょっと忙しくてね。」
「いや、どうせ寝てたんでしょ?」
「うっ、いや、そういうわけでは、、、。ところで困ってたんじゃないの?」
「あぁ、困ってましたよ。解決しましたけど。」
「何よ。せっかく来たのに解決しましたって。自分たちでなんとかできるなら女神を呼んだりしないでよね。」
「いや、あなたが来てくれないから自分たちでなんとかしたんでしょうが。」
「女神の力がなくてもなんとかできるならその努力をしてから呼んでください。ここに来るのは疲れるんですよ。」
「あ、女神の力なら借りましたよ?」
「え、女神の力を借りた?誰です?私を差し置いて下界に手を差し伸べたのは。一応私は現在最強の女神なんですよ。天界の責任者みたいなもんなんで、一言いってから下界に手を差し伸べるはずなんですけど。」
「最強なんですか。それってランキングとか出るんですか?」
「そうですよ。いつでも女神たちは自分の順位を知ることができます。それより名前を教えて下さいな。」
「フェミルです。」
「フェミル?誰ですそれは?聞いたことありませんね。」
「そうでしょうね。さっき誕生したばっかりの新人女神ですからね。」
「そうですか。誕生したばかりならしかたありませんね。、、、今なんて?誕生した?女神が?この時代に?そんなまさか。誰が女神を誕生なんてさせれるものですか。」
「あ、それは俺がやりました。」
「えぇぇぇ!いや、待ってください仁人さん。そもそも女神というのは何百何千という多くの人が祈ることによってはじめて誕生するのです。それを一人でなんて到底不可能なんですよ。」
「いやぁ、自分でもよくできたと思いますよ。人間の祈りが神の強さの源ならとても強い祈りを捧げれば神さまも生まれるんじゃないかなぁって思ってやってみたらできたんですよね。」
「そんなことが、、、。その話が本当ならばこれは緊急事態ですね。」
「え?緊急事態?なぜです?」
「神々の創造主は皆、それぞれが創造した神の祝福を受けるのですが、先ほども説明したように大抵はたくさんの人が一緒になって創造するんです。その場合、祝福は全ての創造主達に分配されます。が、あなたの場合はあなただけなのです。一体何が起こるか予想もできません。」
「ふーん。ま、なんとかなるんじゃない?」
「そ、そんな呑気な、、、」
「あ、あと、フェミルすごい強いんでランキングも入れ替わってるんじゃないですかね。」
「それはさすがにないですよ。私はこの世界で最初に生まれて、それ以来一度もほかの神々に負けたことは無いんですよ?それが生まれたばかりの女神に抜かれるわけな、、、。あ、あ、あ、あ、」
「ど、どうしたんですか?メリス様。」
「わ、私のランキングが2位になってる!なんで!何があったのよ!い、1位は!1位は誰なのよ!1位、、、1位、、、フェ、フェミルですってぇぇぇぇ!」
「やっぱりね。」
「そんなはずはないわ!なんでよ。信仰値950ですって!何かの間違いよ。信仰値が100を超えることなんてありえないわ!何をしたら100を超える信仰なんて得られるのよ!」
「それは信者が俺だけで、その俺が信仰をしてるからですよ。」
「普通、一人の信仰はどんなに熱心でも100を超えないのよ。」
「そんなこと言われてもなぁ。超えてるんだから仕方ないじゃん。」
「なんてことなの。この私の時代がこんな訳の分からないことで終わってしまうの?そんなぁぁぁぁ。仁人。その、フェミルに会わせてもらえませんか?」
あれ、名前が呼び捨てに、、、
「と言われましても、彼女は天界に行かなきゃいけないらしくて、行ってしまったんですけど。」
「信者が呼びかければ来るはずです。やってみてください。」
「じゃ、やってみますよ。」
(フェミル様!時間があったらちょっと来てくれませんか?他の女神様に絡まれて困ってるんです。)
「呼んでみましたよ。」
「私を悪い奴みたいに言いませんでした?」
「そ、そんなことはないですよ。」
「そう、それならいいですけど。」
おなじみの白い光が現れ、そして、消えてフェミルが現れた。
「お待たせしました。仁人さん。どうしたんですか?」
「あ、フェミル様。ありがとうございます。実はこのメリス様がどうしてもあなたに会いたいそうで。」
「まぁ、そうなのですね。はじめまして、私はフェミル、友情の女神です。どうぞよろしくお願いします。」
「そ、そんな。本当にいるなんて、、、。ちょっとフェミルさん。私と勝負して頂けませんか?」
「え、勝負ですか?今は私、いろいろと忙しいのですけれど、、、」
「あぁ、誕生したばかりの女神ですものね。たしかに忙しいでしょうね。」
「私が誕生したばかりだとなぜ知っているのですか?それに忙しいのも知っているなんて。あなたは一体、誰なのですか?」
「私はメリス。安堵の女神です。この世界の神の中で一番の存在の女神です。」
「さっきまではね。」
「余計なことを言わないでもらえますか?仁人。」
あ、やっぱり呼び捨てになってるよね。わざとだろ〜なぁ。
「メリス、、、あ、メリス様ですか!先程、天照大神様から聞きました。今までたった一人でこの世界を統治してきたとか。」
「あ、天照大神様ですって!な、なぜ誕生したばかりのあなたが、天照大神様に会えるのです!やはりこれは決着をつける必要がありますね。さぁ、準備はいいですか?」
「え、えぇぇぇ!」
読んでいただきありがとうございます!最近暑すぎて大変ですが、これからも少しづつ書いてみようと思います。よろしくお願いします。