第1話 決断の時
はじめまして!アークティックと申します。何も知らない若輩者ですがどうぞよろしくお願いします!
その地には伝説となった暗黙の了解があった。それは、、、
「山中家を怒らせてはいけない」
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
決死の覚悟で斬りかかった最後の一撃をいとも容易くその魔導師風の男は弾き返した。対峙する騎士風の男はついに膝をついた。
「ふん、この程度か。またハズレか。おい!こいつを始末しておけ!」
「かしこまりました。」
後ろに控えていた数人の男達が一斉に騎士風の男を取り囲む。
「待ってくれ!なぜこんな事をするのだ。俺が何をしたと言うのだ!頼む!なんでもするから助けてくれ!」
「黙れ。貴様と話している暇は我々には無いのだ!事態は一刻の猶予もないのだ!」
「な、なんの話をしているんだ。突然こんな場所に来たかと思ったらぁぁぁぁぁぁぁ!」
言い終わる前に騎士風の男がいた場所は閃光に包まれ、そこには何も残されてはいなかった。
「、、、まくん。」
「、、、まくん。」
ん?うっせーなぁ。人が気持ちよく寝てるのに。どーせ母さんかなんかだろ。あれ、でもくんって言ってるな。ま、いっか。
「、、、まくん。」
「、、、やまくん。」
あーもぅ!コレはガツンと言ってやらねぇといけねぇみたいだな。
「うっせぇーんだよ!人が気持ちよく寝てるのにギャーギャー言いやがって!何様のつもりだ!あ、」
勢いよく立ち上がって怒鳴ってみたら目の前に立っているのは母さんではなく、学校の担任教師だった。
「何様ってそんなに偉そうにしているつもりはないんだけれど、、、私の態度が酷かったかしら?ごめんなさい。まだ新米だから接し方とかよくわからなくて、、、許してくれる?」
いやいや、コレはどー見ても俺が悪い!なんで謝ってくるんだこの教師は!あぁでもコイツはとことん純粋なんだったなぁ。やっちまったなぁ。どーしよこれ。とりあえず誤解を解かないと、、、
「あ、先生すいませんでした。寝ぼけて先生を彩香と間違えちゃいまして。ほんとすいませんでした!」
「あぁそうなの?良かったぁ。先生嫌われちゃったかと思って心配しちゃったわよ。」
「そんな先生みたいに優しい人を嫌いになるだなんてことがあるはずないじゃ無いですか。」
「そう?それなら良かった。じゃぁ授業を続けましょうか。」
ふぅ、なんとかなったな。先生落ち込むと1週間は休んじゃうもんなぁ(1ヶ月前に1度やってしまったことがあるのだ)。しかしクラス中からの視線が痛いぜまったく。特に彩香のがヤバめだな。これは放課後絶対やられる。その前にとっとと帰らねば。
〜放課後〜
「気をつけ、礼」
「ありがとうございました」
ここだ。全員が立ち上がったその瞬間に素早くドアまで移動し、そして帰る。これしか無い。などと考えていたのだが、、、
ドアに届く少し前で肩を掴まれた。もちろん彩香に。
「仁人〜どこ行くのかなぁ?」
笑顔が怖いですよ彩香さん。せっかく美人なのにもったいない。とか言えるわけもなく。
「い、いやちょっとトイレにね」
「ふーん。トイレかぁ〜。それ、後ね。」
「あ、はい」
彩香の有無を言わせぬ表情にはいと言わざるをえなかった。
「さて、仁人くん。」
「なんでしょうか彩香様」
「様だなんてよそよそしいわねぇ。別にとって食おうってわけじゃないんだからそんなに警戒しなくてもいいじゃない。」
ヤバイどうしよう。このままだと確実に詰む。ここは正直に謝って褒めるしかないな。
「ほんとごめんって!悪気はなかったんだよ。先生を落ち込ませたらまた大変なことになると思ってさ。でもクラスの中で頼れる奴なんてお前くらいしか居なかったからさ。ごめんな。」
「頼れるのが私だけ?」
彩香は口が滑ったことに気付いてハッと顔を上げた。幸いにも小さい声だったようで仁人は聞こえていないようだった。
「そ、それなら仕方ないわね。でも、いくらなんでも私のせいにするのはやめてほしいわね。以後気をつけるように。」
「は、はい!2度とこのようなことは致しません。」
「今日は罰として私を家まで送ること!わかった?」
「わかった。必ず家まで送ることを約束しよう。」
そんなこんなで2人は一緒に帰ることとなったのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。1話目で転移させる予定だったのですが、なかなか予定どうりにならないものです。これからも続けていこうと思っていますので、応援していただけると嬉しいです。