夢
小学六年生です。初めて書いた作品を投稿しました。
よろしくお願いします。
夢
「うわぁ!!!」
暗闇の中でひたすらに走る。何かにぶつかった。痛い。だけど、そんなこと考えている暇はない。なぜかって?それは。。。
奴らに追いかけられているから。「そんな漫画みたいなことあるわけない」そうおもうだろ?だけど残念なことにあるんだよ。
それは5時間前
目を覚ますとまぁ、普通に自分の部屋だ。のどが乾いたので何かジュースはないかとキッチンへ行った。冷蔵庫を見てみると中には何もなかった。どうしてもジュースが飲みたい気分だった。
「しかたない。コンビニにでも行ってお菓子とジュースを買うか。」
そう言って俺は財布とスマホを持って、家に鍵をかけて外へ出た。
今は高校で初めての夏休み。俺はひとりっこ。でもって両親は共働きで今はいない。ひとりで夏休みをエンジョイ中だ。
コンビニに着いた。当たり前だけどコンビニの中は夏とは思えないくらいに涼しい。店内のなかで少しぼーっとしていると
「よぉ!貴志!何してんだ?」
振り返ると、幼馴染の雅人がいた。
「よぉ雅人。何してるって、見れば分かるだろ。買い物だよ。か・い・も・の。」
雅人は、俺の友達で、クラスで一番のお調子者だ。
「じゃあ、俺にも何かおごってくれよ。なぁなぁ~。」
「あぁもう分かったよ。しつけぇなぁ。」
俺はコーラを2本買って、雅人とコンビニを後にした。
出た直後、いきなり雨が降ってきた。さっきまで嫌なくらいに晴れていたのに。おかしい。何か嫌な予感がする。
「まいったなぁ。。。」
そうつぶやくと、雅人がにかっと幼い子供のような笑顔を浮かべながらこっちを見てきた。おい、何たくらんでるんだよ。。
「そう言えばさぁ、この近くの森に俺たちが昔作った秘密基地があるよな。」
まさか行くとか言い出すんじゃないだろうな。嫌なのであえて冷たく
「あぁ。あると思うけどそれがどうかしたのか?」
頼む!森の秘密基地に行くなんて言わないでくれ!しかし雅人は俺の期待を裏切り、
「だからぁ、雨降ってるんだし、雨の中の探検だと思って久々に行こうぜ!」
もちろん、俺は、
「嫌だ。」
「なんで?」
「雨の中、森に行くなんてめんどいし、濡れたくない。あと、探検とか汚れるから嫌だ。」
あぁ。言い忘れていたが俺は潔癖症だ。そんな俺を森に連れて行くとか、こいつはいったい何を考えているんだ。まぁ、どおせ雅人はこいつはそんなこと気にしないで俺を無理やり連れて行くだろう。だが、せめて抵抗はしておく。
「何言ってんだ!そんなこと気にしてたら何もできないぞ!」
「はいはい。分かりましたよ。行きますよ。行けばいいんでしょ。」
そして俺たちは、森へ向かってダッシュした。
秘密基地に着いた。森の中で走っているうちに服もズボンも泥だらけだ。俺は潔癖症だが、ここまで汚れてしまうと開き直って何も気にしなくなんだ。
そして、秘密基地はと言うと、あるにはあったが中には何もなくただの小さな小屋という感じだ。本当にこんな所に来てまで何をしようと言うのだろう?
「まさか、本当に探検でもするんじゃないだろうな?」
「いや、本当は違うんだ。」
雅人がいきなり真剣な表情になった。いつものお調子者の雅人じゃない。
「じゃあ何だよ?」
「実は相談があるんだよ。」
「へぇ。なんの?」
「笑わないで聞けよ。」
「おう!!」
「実は、悪夢を見たんだ。ゾンビにみんなが襲われていき俺たち以外みんなゾンビになっちゃうんだ。」
「へぇ。なんだそんなことか。ただの夢だろ。」
あっ。思ったことをつい口にだしてしまった。
「違うんだよ!夢の中でもこうしてお前に話してたんだ!そして、俺がゾンビに襲われそうになったところで目が覚めた。なぁどう 思う?」
「はぁ?どう思うってそんなのただの夢に決まって。。。」
「ん?どうした?」
俺には、それに思い当たることがあった。そんなことはないと思うが俺は念のため雅人にきいた。
「お前、その夢まったく今と同じなのか?」
「あぁ。そうだぜ。」
「じゃあ、俺がこの次に言うことを当ててみろ。」
「あぁ、いいぜ!」
雅人がにやりと笑う。
「お前、貴志は俺のこの話を聞いて、予知夢。。。って言ったぞ。」
まさか。。。
「予知夢。。。」
顔から血の気が引いていくのを感じた。ヤバイ。これは、もしかすると、本当に起こってしまうのではないか?そんな焦っている俺のことなど考えなしに雅人はドヤ顔で
「なぁ当ってんだろ!!」
などとのんきなことを言っている。それは置いといて、ヤバイかもしれないことをこいつにも伝えなければ。
「そうか。それはヤバイな。。。そういえば夢の中でもそんなこと言ってたぞ。マジでヤバイんだな。。」
「やっぱり夢の中でも言っていたか。そうなると本当の可能性が高くなる。なぁ雅人、何時ぐらいにゾンビに気がつくんだ?」
「ん~。時間は分かんないけど、夕方だった。」
ヤバイ。なぜなら今、すでに夕方だからだ。
「おい!もう夕方じゃないか!どこでゾンビがでるんだ?」
「森の入り口だ。」
怖いが本当か確かめる必要性がある。もし、ゾンビがいたとしたら危険なので俺と雅人はそこら辺に落ちていた太めの木の棒を持って秘密基地から出た。気がつくと雨は止み、空は厚い雲で覆われていた。
「おい!念のため音を立てるなよ!」
「了解!!貴志隊長!」
ゾンビがいるかもしれないのにのんきなものだ。まぁ、俺はゾンビなんかいないと信じたいのだが。
「「ガサッ」」
俺と雅人は木の陰からおそるおそる音の方を見た。
「うっ」
俺はその光景に絶句した。
いたのだ。 ゾンビが。血が流れ、頬は痩せこけている。そして、何よりも恐ろしいのが人間を食べているのだ。
雅人を見ると、さっきまでの笑顔が消え、顔が青ざめている。俺はここにいてはいけないと思い、雅人に目で合図して、音を立てないでその場を離れた。秘密基地に戻ると、少しの間沈黙が流れた。
「どうする?」
雅人が話をきりだした。
「町にはもう奴らしかいないかもしれない。森の奥に行けば安全かもしれないがもう夜になろうとしているから、森の奥には行け ない。だから、秘密基地で朝になるまで待とう。」
いつもなら何かしら文句を言う雅人だが、そんなこと言っている暇もないのだろう、めずらしく何も言わずに
「あぁ。分かった。そうしよう。」
「よし決まりだ!それでお前今、何持ってる?」
俺は、雅人に聞いた。すると雅人は首を横に振って
「スマホと、コーラ。」
「そうか。俺は、10円玉2枚と、スマホと、コーラだけだ。でも、飲み物はあるな。」
「そうだな。でもあまり飲まないようにしなきゃな。」
「あぁ。飲み物は貴重だからな。」
すると、雅人が秘密基地を見渡しながら
「で、ここで朝になるまで過ごすのは分かったが、朝になるまでに奴らが来たらどうするんだ?」
「お前の夢では、夜に来たか?」
「確か来たはず。」
「分かった。じゃあ、奴らが来たときは、棒で殴れば倒れるだろう。そのうちに、スマホで明かりをつけながら森の奥に逃げればい いだろう。」
「そうだな。そうしよう。」
そして、俺たちは交代で見張りをした。
「「ガンッガンガン!!」」
「ん。。。なんだ。。。」
どうやら、見張りながら寝てしまったらしい。ハッとしてもう一度ドアを見た。
「「ガンガンッ!!ウーウー!!」」
急いで、寝ている雅人を起こし、棒を持って、スマホに明かりをつけ、外に出る構えをして、雅人を見た。雅人も準備OKのようで、こっちを見てうなずいた。そして勢いよくドアを開けて外へ飛び出した。ゾンビがいっせいにこっちを向く。全部で、大体8体ぐらいだろう。
「奥へ向かって走るぞ!!」
「おうっ!!」
だが、すでに囲まれていた。俺たちは、棒で思いっきりゾンビを殴った。やった!倒れた!
「急いで行こう!」
そう言って走ろうとしたとき奴らのうちの1体に足を掴まれた。
「貴志!!」
「俺は後から行くから、お前は先に行ってろ!」
「でも。。。」
「いいから早く行け!」
まるで、漫画のワンシーンのようだな。こんなことを言う日がくるなんて。
「早く行け!!」
ゾンビを殴りながら雅人に向かって叫ぶ。雅人は何かを決心したような顔で
「待ってるからな」
と言って走っていった。そして、ゾンビを殴った隙にゾンビの群れを抜けて。。。。。。
そして、今に至る。ってわけ。あいつはうまく逃げ切れただろう。しかし、俺は、まだ逃げ切れていない。特に困るのが暗くて前が見えないということだ。途中でスマホの電池が切れてしまったのだ。それでも、走っていくうちにだんだん目が慣れてきた。
「はぁはぁはぁ。」
息を切らしながら走っていると急に開けた場所に出た。前を見るとそこは行き止まりだった。ヤバイ。どうしよう。泣きそうになりながらもどうしようか考えていると、前に見覚えのある後姿が見えた。
「雅人。。。。」
そう言いながら、俺は気が遠くなっていくのを感じた。。。。
「。。志。。。」
「お。。。志。。」
誰かが何か言っている。なんだろう?
「「おい!!貴志!!」」
顔を上げると、いつもの教室にいた。雅人もいる。そして、俺の前には怒った顔の先生が立っていた。なんだあれは夢だったのか。
「なんだ。。よかった。。。」
「何がいいんだ!!寝てないでしっかり授業を。。。。」
あれ?なんか聞こえな。。。。。
「「ぎゃぁぁー!!!」」
今度は悲鳴で目を覚ました。前を見ると、雅人がゾンビに食われていた。その光景を俺は、呆然と見ているしかなかった。
あぁ、そうかやっぱりこっちが現実なんだ。
そんなことを思っているうちに奴らが近づいてきた。
そして、旨そうとでも言いそうな顔で俺を囲んだ。