これが世に言うハッピーエンド
あれから二週間。辻谷の体もだいぶ落ち着いたのか、普通に教室に姿を見せるようになってきた頃。俺はいつものように苦心しながら女子の下着を透かしていたが、アンナはゾンビとなってしまった。
追っかけのやつらも声をかけれないようだ。愉快愉快。ああ、いや、おほん。
帰りのホームルームも終わった頃、俺はアンナの机の前に立った。手を枕にすることもなく、上半身だけを机に乗せて寝ている。
止めてよぉ、こんなアンナ見たくないよぉーっ!
…………。ちっ、ダメだ、うざくやっても顔すら上げねえ。どうすりゃいいんだ。初恋なんてのは実らないもんだってHなマンガに載ってたゾ? チュウしたいぐらい好きって告白できたんだから、いいじゃねーk――うぉお!?
「てんめえええええッ!」
がるるる、と俺の首根っこ引き絞って持ち上げるアンナ。ちょ、ギブギブ! うふふべふぅ!
そんなアンナの肩をちょいちょいと叩く少女がひとり。「あん!?」と振り返ったアンナも思わず俺を絞め殺さんばかりの腕の力を緩めた。た、助かっ……て萌ちゃんだ。やほー。
萌ちゃんは、口をぱくぱくさせるアンナを上目遣いに、頬を染めて一言。
「い、一緒に帰ろ?」
……も、も、――萌ちゃうぐふぁ!!
あまりの可愛さに飛びつこうとした俺をアンナの手刀が叩き落とす。もちろん、きっちり首筋にいれられた。
ぴくぴくと痙攣する俺のそばを、アンナと萌ちゃんは、まるでウブな恋人のように、恥ずかしそうにして、そしてどちらともなく手を差し出し、握り合う。
……お、想いが通じたのか――それとも、元気を出してもらうために萌ちゃんがアンナにしてくれたのか。教室を仲良く出て行くふたりを、俺は床に突っ伏したまま眺めて、にやりと笑った。
――計画通り!!
我が親友ならば、確実に萌ちゃんを堕としてくれると、俺はこれから覗くふたりのプライベートな時間を妄想して鼻血を垂らした。
いかがでしたでしょうか? これぞコメディと胸をって分類できるものだと思っていたのですが……口の端があがる程度でも笑えていただけたら幸いです。とてつもなく荒い仕上がりですが。
それでは、またなにか別の作品で。もっと上手になれるよう励みます。