悲劇と喜劇の始まり
ふぅ……。今日もとりあえず1日終わったな。バイトもないし帰ってアニメでも見るかぁ〜!
「じゃあな!」
「おーう」
俺は駿河幸慈。今は高校三年だ。
1年の頃は野球をしていたが、だるくなって辞めた。
そんな俺はクラスに溶け込めていたのが幸いしてムードメーカー的な存在だった。
俺のオタクは既にみんなには周知であり、それ込みで俺なのだ。
さて、帰るか……!?
ドアを開けた途端、床が光り出した。俺は咄嗟に外へと飛び出たが、体半分出たところでその光に巻き込まれた。
「は?」
目を開けるとクラスの28人が城の中?みたいなところに集まっていた。
これはまさに夢にまで見た異世界召喚!!?
俺はテンション上がるにゃーー!したけど冷静に考えてみよう。
ここは異世界。そしてクラス全員召喚。嫌な予感がする。このパターンは俺以外は高レベル、または高スキル、高性能ジョブって流れだ。それはまずい。
よくそこから成り上がるけど俺にはできる気がしない。捨てられて秒で死ぬ自信がある。
「いきなりで申し訳ない。早速だが君たちのステータスを見てくれ。」
ハイきたテンプレ!
「ちょっと待て。いきなり呼び出しておいて他に言うことはないのか?」
クラスで運動神経が特にいい榊原が偉そうにしてる恐らく王に食ってかかる。
「ふむ。それは済まなかった。私は王である。そして、今世界は勇者を求めているのだ。そう!それが君たちだ!」
……で?って感じなんだけど、みんなは何か知らないが王に魅せられてる。多分これが王の能力なんだろう。
「そうか!みんな!ステータスを見よう!」
あちゃー。こりゃ完全に催眠だな。何故か俺はかかってないが、流れに乗るのが吉か。
駿河幸慈 (勇者?)
種族 人
Lv1
筋力 100
耐久 100
敏捷 100
エナ 100
称号
異世界からの半勇者
スキル
なし
……多分弱い。
「この中で最強はサカキバラだな。」
榊原 鷹臣 (勇者)
種族 人
筋力 800
耐久 740
敏捷 700
エナ 200
称号
異世界からの勇者
スキル
シャイニングブレイブ
「逆に最弱は……スルガか。これは一般人と変わらないな。」
やっぱりね!これからどうなるんだろう。捨てられんのかな?
「では、スルガ以外は自身の能力の使い方を我が王国の騎士に教えてもらえ。スルガはここに残れ。」
「で……なに?」
王は俺を見下していた。そして、これから言うことも大体は予想がつく。
「うむ。お前は弱い。だから修行してこい。ここからは少し離れたところに洞窟型のダンジョンがある。そこで修行してるくがいい。もちろん最低限の持ち物は持たせよう。」
なるほどね。つまり、
「つまり使えねぇから野垂れ死ねってか。」
「「貴様っ!」」
俺は騎士に押さえ込まれた。とても敵わない膂力だ。
ドスッ!
「がっ!」
俺は騎士の一人に殴られて気を失った。