序章 なんでうちのは女子高生にハァハァ言っているんだろう
想定外に100件を超えるブクマ登録をしていただいたので続編書いちゃいました。
そんなに長くならず完結予定です。
真尾田さん視点からのスタートです。
毎朝「女神宅」兼「事務所」に出社し、二人で朝食を取りながら1日の仕事の予定を確認する。
今朝は社長ポジションにいる綾から「脱水機的な物を作って欲しいんだけど。サラダの水切りマシーンみたいな感じの」と構想を伝えられた。
設計の経験もあるから、少しの絵を書いてもらえば分かるが……
「それだと力が要るからお前しか使えないだろ。みんなも簡単に使える造りの方が自分で出来ていいだろ。ちゃんとしたの考えとく」
「わたしがやればいいんだからいいじゃん。これなら簡単に作れるでしょ?」と今朝も社内ミーティングで揉めた。
本当に会社員状態になって来た。
「魔王さーん、緊急事態です!」
頼まれたベッドの修理をしていたら、ピーターがただならぬ様子で走って来る。
ああ、その勢いで転ぶと大参事だぞ。大丈夫か。
「アヤさんが!」
ピーターのその一言で反射的に立ち上がっていた。
主に軽作業担当の綾とは基本的に別行動だ。
今日は畑の収穫の手伝いだと言っていた。特に問題なんて起きないはずなのに。
駆け出そうとすれば、ピーターが肩で息をしながら喘ぐように言う。
「ジョシコーセーちゃん? が来たからすぐ来いって」
━━は?
走り出すのをやめて、思わずピーターを振り返った。
村の広場に向かえば、綾とブレザーの制服姿の女の子が見えた。
可哀想に。
困惑している事だろう。
なんと言って説明するのが一番、精神的にヤられなくて済むのか━━ダメだ。
まったく思いつかない。
「なんでアンタがそんな辛そうな顔してんの」
綾に引いた顔で言われた。
だってそうだろ、と反論しかけて制服姿の女の子を見れば。
「ホントにトリップとかあるんだ! すっごい、来ちゃったー! あ、こちらが魔王様ですか? イケメンさん! セオリーです! 正義です!」
なんか……めちゃくちゃ盛り上がってた。
最近の若い子の適応能力はハンパないものがあるのか。




